美山加恋、優香、西田敏行らが声の出演 (C)2012『ももへの手紙』製作委員会
 ゴールデンウィーク(GW)に公開される映画の中からオススメの作品を、編集部員が鑑賞シーン別にプレゼン合戦する特別企画「GOGW映画」。第3弾の「家族編」は、“家族で観たい”GW映画を紹介。ヒーロー妄想の菅田がプッシュするのは『ももへの手紙』。映画はビビビ!のマサキは『HOME 愛しの座敷わらし』をおすすめしているようなので、「家族編」はくしくも“妖怪対決”になっている。どちらが強いか、いや、どちらが面白いか?

ももへの手紙』(公開中)

 “ももへ“という一言を手紙に遺して、亡くなったお父さん。少女ももは、お母さんとふたり、東京から瀬戸内海の田舎に引っ越す。心にぽっかり穴が開いたままのある日、ももは屋根裏で1冊の古本を発見。その日から、周囲で不思議なことが起こり始める。

オススメのポイント1 ジブリのような安心感がある

 まずこの作品の鑑賞後に思ったことは「ジブリだ…」だった。制作は、スタジオ・ジブリではなく『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』のプロダクションI.Gである。ただ作画監督の安藤雅司氏はスタジオジブリに在籍していたこともあり、『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』などの作画を担当していた。美術監督の大野広司氏は『魔女の宅急便』を担当していた。その影響もあってかジブリ色が、にじみ出たのだろう。『おもひでぽろぽろ』のような淡い田舎風景、『千と千尋の神隠し』のような妖怪たち、『となりのトトロ』のようなラストへの盛り上がり方などなど、ジブリの全ての要素が詰まったおもちゃ箱のような映画。大人も子供も安心して観ることができる作品である。

オススメのポイント2 一歩を踏み出すだけで仲良しになれる

 物語の大筋は、「もも」と何やら父と関係がありそうな「妖怪」の三人組がおかしなやり取りをしながら、亡くなった父の残した「ももへ」とだけ書かれた手紙の答えを見つけるということ。“家族の絆”を見つけることがテーマである。だが、もう一つ「心を開く」ということも織り込まれていると思う。ももは、父の死をきっかけに都会から瀬戸内の島に移り住むことになる。その際に、心を閉ざしていて、なかなか地元の子供たちとなじめなかった。それどころか、実の母や親戚たちとも心を通わせようとしなかった。でも、妖怪たちとの出来事をきっかけに、人の輪に入っていくようになる。違った環境で人と仲良くなっていく、既に出来上がっている人の輪に入っていく、それは難しいと考えがちだ。でも、一歩で良いのだ。心を開いて一歩だけ踏み入れば、自然と周囲もその輪に迎え入れてくれる。そんな様子も見せてくれる。

オススメのポイント3 お母さんも頑張っているんです

 「親の心子知らず」とはよく言ったものだが、この映画を観た後は、もしかしたらお母さんの気持ちを少し子供たちが分かってくれるようになるかも知れない。ももの母親のいく子は、これから生活するためのお金を稼ぐために慣れない出稼ぎをするようになる。その上、早く新しい環境に馴染むために、仕事で疲れていても畑仕事を手伝うなどの行動力を見せる。でも、ももと接する時間が減ってしまい心の隔たりができてしまう。ももは「お母さんはお父さんのことをもう忘れた」と言う。でも、そうではないのだ。お母さんは、夫が亡くなって身を引き裂かれるような悲しみに打ちひしがれていたが、ももの前ではその姿を見せまいと気丈に振る舞っていた。そんな話を観たら子供たちも少しはお母さんの大変さに気付いてくれるのでは?

 子供も満足、お母さんも安心の映画。そして、もう一つ、お父さんには懐かしい「たんけんぼくのまち」のチョーさんが妖怪の一人で声の出演をしている。GWに家族で観に行く映画はこれに決まりでしょう。

 映画『ももへの手紙』は絶賛公開中。

映画『ももへの手紙』 - 作品情報

ヒーロー妄想のカンタの所見評価

ほんわか度:★★★★

教育度:★★★★

コメディ度:★★★

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