東北楽天が16日に開催されたNPBの実行委員会で、ポスティング・システムの見直しを提案したそうです。
昨年オフに同制度でメジャー移籍を目指した楽天の岩隈久志が、アスレチックスとの契約がまとまらず移籍を1年繰り延べにしたことを受けての改革提案だったようです。

世の中に完璧なものなど存在しませんから改善提案は常にウエルカムです。
しかし、楽天の具体的な提案を知ってガッカリ。
それは、最高額を提示した球団だけでなく上位3球団に交渉権を与えよ、というものだからです。

その背後にあるロジックは、3球団あれば岩隈投手もアスレチックスとの契約が破談になっても2番手、3番手に売れたはずだ、というものでしょう。
だとすると、何と浅はかな思考でしょう。

最高額を入札した球団にしか交渉権が与えられないからこそ入札金額(送り出す球団の収入になります)が跳ね上がるのです。
上位3位に入れば交渉権が得られるとすれば、それこそ10ドルといったような入札額もあり得るでしょう。
それは極端な例としても、実際の入団交渉にて複数球団と競争しなければならないとなると選手との契約条件は高騰しますから、いきおいその分交渉権を得るための入札金額が下がることになります(これが経済原則というもの)。

例えば、岩隈の場合契約条件は5年総額5000万ドルで、楽天への入札金額はわずか100万円と言うことは十分あり得ます。
それでも楽天はポスティングでのメジャー移籍を容認するのでしょうか?

結局、今回の楽天案を実施すれば選手との契約条件は競争原理で高騰しつつも、交渉権を得るための入札では逆に競争原理が低下し金額も低下。
その結果、ポスティング移籍要望を認める球団が少なくなり、この仕組み自体が形骸化する、というのは火を見るより明らかです。

こんな提案をする楽天は、よほど思慮が浅いか、これによりポスティング・システム自体を潰すことが目的か、単なるポーズでの提案か、そのいずれかでしょう。