日本×カタール、埋もれていたかすかなチャンス
アジアカップ準々決勝、日本vsカタールの試合前に、アルジャジーラ・スポーツウェブサイトのシニア・ジャーナリスト、アハメド・エルネフィキィ氏はこう警告していた。
「日本は最初の20分に気をつけるべきです。カタールはそこでゴールを挙げ、そのままの勢いで試合の主導権を握る。クウェート戦の先制点は11分だったのが象徴的です。試合開始直後の攻防がキーポイントの一つだと思いますよ」
予言は的中した。試合開始から日本は主導権を握っていたものの、12分、オフサイド・トラップの失敗から左サイドをセバスチャンに突破され1点を失ってしまった。それでも日本は慌てることなく、右サイドの岡崎を守備ラインの裏に走らせて、じわじわとカタールのディフェンス陣にダメージを与える。実際に岡崎のマーク役だったイブラヒム・マジェドは13分のプレーで負傷退場を余儀なくされた。
その日本の狙いが実ったのは28分。素早いパス回しから本田圭が出したパスで岡崎がGKと1対1になりループシュートを放つ。そのボールを香川がゴール直前で押し込んで日本は同点に追いついた。ここから流れは一気に日本に傾いたものの、追加点は決められないまま1-1の同点で後半を迎える。
後半、試合が大きく動いたのは61分だった。吉田のタックルが反則とされ、吉田は2度目の警告で退場となったのだ。すぐに岩政がアップするが、交代出場する前にファビオ・セザールにFKを直接決められ、日本は1人少ない状態で1点のビハインドを負った。残りは27分。
日本は前田を下げて岩政を投入し、本田圭を1トップにして4-4-1のフォーメーションに変更する。そこに勢いに乗ったカタールが攻め込んだ。日本はカタールに決定機こそ作らせないものの、攻撃の手はほとんど無くなった。
ところが、埋もれていたかすかなチャンスを日本は掘り当てる。70分、本田圭のパスが岡崎に渡り、こぼれたところを香川が拾う。香川はそのままするりと抜け出し、出てきたGKの横をすっとゴールに流し込んだ。
それでもカタールが攻め日本が守る構図は崩れない。人数が少ない日本が体力面で不利になるのではないかと懸念させる延長戦突入も目の前になった。すると89分、長谷部の縦パスがぴたりと香川の足下へ。香川は正確なトラップで前に飛び出しGKをかわした。ところがDFのタックルで香川は転倒し、シュートできない。するとそのこぼれ球に詰めたのは、チームメイトが「なぜそこにいるのか」と首を捻る意外な、だが絶妙なポジションにいた伊野波だった。
ついにこの試合で日本が初めてリードする。ロスタイムの4分、日本が触れていないボールが何度もCKにされるなど不可思議な判定が相次いだが、それでも選手たちは集中力を切らすことなく守りきった。そしてついに日本は3-2と逆転で開催国を下し、準決勝への切符を手にしたのだった。
現地レポート/森雅史
「日本は最初の20分に気をつけるべきです。カタールはそこでゴールを挙げ、そのままの勢いで試合の主導権を握る。クウェート戦の先制点は11分だったのが象徴的です。試合開始直後の攻防がキーポイントの一つだと思いますよ」
その日本の狙いが実ったのは28分。素早いパス回しから本田圭が出したパスで岡崎がGKと1対1になりループシュートを放つ。そのボールを香川がゴール直前で押し込んで日本は同点に追いついた。ここから流れは一気に日本に傾いたものの、追加点は決められないまま1-1の同点で後半を迎える。
後半、試合が大きく動いたのは61分だった。吉田のタックルが反則とされ、吉田は2度目の警告で退場となったのだ。すぐに岩政がアップするが、交代出場する前にファビオ・セザールにFKを直接決められ、日本は1人少ない状態で1点のビハインドを負った。残りは27分。
日本は前田を下げて岩政を投入し、本田圭を1トップにして4-4-1のフォーメーションに変更する。そこに勢いに乗ったカタールが攻め込んだ。日本はカタールに決定機こそ作らせないものの、攻撃の手はほとんど無くなった。
ところが、埋もれていたかすかなチャンスを日本は掘り当てる。70分、本田圭のパスが岡崎に渡り、こぼれたところを香川が拾う。香川はそのままするりと抜け出し、出てきたGKの横をすっとゴールに流し込んだ。
それでもカタールが攻め日本が守る構図は崩れない。人数が少ない日本が体力面で不利になるのではないかと懸念させる延長戦突入も目の前になった。すると89分、長谷部の縦パスがぴたりと香川の足下へ。香川は正確なトラップで前に飛び出しGKをかわした。ところがDFのタックルで香川は転倒し、シュートできない。するとそのこぼれ球に詰めたのは、チームメイトが「なぜそこにいるのか」と首を捻る意外な、だが絶妙なポジションにいた伊野波だった。
ついにこの試合で日本が初めてリードする。ロスタイムの4分、日本が触れていないボールが何度もCKにされるなど不可思議な判定が相次いだが、それでも選手たちは集中力を切らすことなく守りきった。そしてついに日本は3-2と逆転で開催国を下し、準決勝への切符を手にしたのだった。
現地レポート/森雅史