【仙台×京都】 出色の出来の富田晋呉
■ 第28節
J1の第28節。残りは7試合となった。残留争いを続けるベガルタ仙台と京都サンガの直接対決である。
ホーム仙台は8勝12敗7分けで勝ち点「31」の13位。シーズン途中で14試合勝利なしという泥沼にはまった時期もあったが、未勝利記録をストップした20節の大宮アルディージャ戦からの8試合は5勝2敗1分け。一気に勝ち点を稼いで降格圏から浮上した。対する京都は3勝17敗7分けで勝ち点「16」の17位。22節にヴィッセル神戸に3対0で勝利して未勝利記録をストップさせたが、その後は5試合で3分け2敗。15位のFC東京との差は「9」。崖っぷちである。
仙台は<4-2-2-2>。GK林。DF菅井、エリゼウ、鎌田、朴柱成。MF富田、斉藤、関口、梁勇基。FWフェルナンジーニョ、赤嶺。MF斉藤は古巣の京都との対戦。27節のC大阪戦でJ1通算100試合出場を果たしている。MF高橋、FW朴がベンチ入り。
■ ベガルタが勝利
日本列島が台風の猛威にさらされている中でのキックオフとなった試合、立ち上がりは静かな展開。両チームともに慎重に試合に入っていく。ともにシュートまで持ち込めないシーンが続く中で、前半25分過ぎに仙台がビッグチャンスを作る。
MF富田の鋭いパスからMF関口がバイタルエリアでボールを持って、右サイドでフリーになったDF菅井にラストパス。決定的なチャンスだったが、DF菅井のトラップが流れてシュートまで持ち込めずに京都のDF森下がクリア。仙台はビッグチャンスを逃すが、そのプレーで得たコーナーキックで先制ゴールを奪う。
右CKでMF梁がファーサイドに蹴ると、DFエリゼウが高い打点からヘディングシュートを放つ。このシュートは京都のGK守田がはじいて、こぼれ球をFW赤嶺が押し込んでゴールイン。仙台が先制する。FW赤嶺は3ゴール目。京都は前半終盤に猛攻を仕掛けて、終了間際にDF水本が決定的なシュートを放つがGK林がビッグセーブ。1対0の仙台リードで前半を折り返す。
京都は後半開始からMF中村太に代えてベテランのMF鈴木慎吾を投入。しかし、流れを大きく変えることは出来ない。試合途中から雨が強くなってきて、悪コンディションになる中で、仙台はきっちり守ってカウンターで追加点を狙うという得意のスタイルに持ち込んでいく。逆転して勝つしかない京都は、MF中村とFW宮吉と若手を投入するが、最後まで攻撃はうまくいかず。結局、そのまま1対0で仙台が勝利。勝ち点「34」に伸ばした。
■ 残留に大きく近づく
好調の仙台は残留争いのライバルクラブの1つである京都を下して今シーズン9勝目となった。これで残り6試合で京都との勝ち点差は「18」。残り試合で、仙台が6連敗して、京都が6連勝した場合のみ、逆転される可能性はあるが、大きな勝利を挙げた。
後半にFW赤嶺やMF高橋がビッグチャンスを逃して試合を決められなかったが、危なげない試合といえた。京都の攻撃が単調だったことも幸いしたが、DFエリゼウとDF鎌田の両センターバックがことごとくサイドからのクロスをはね返し、ダブルボランチも、セカンドボールも確実に拾って流れを作った。
■ 決勝ゴールの赤嶺
決勝ゴールを挙げたのはシーズン途中にFC東京から移籍してきたFW赤嶺。ゴール前の嗅覚に優れたFW赤嶺らしいゴールで、DFエリゼウのシュートのこぼれ球に対して抜群のポジショニングを見せて、ネットを揺らした。今シーズン、FC東京ではあまり出番がなかったFW赤嶺であるが。仙台ではうまくチームにフィットしている。
手倉森監督はフォワードの選手にも「運動量」や「守備意識」を求める監督であり、J2時代は、FW中島やFW平瀬といった選手を好んで起用きた。そのため、ゴール前で力を発揮するタイプのFW赤嶺が馴染むことができるかが心配されていたが、ゴール前からあまり動くことがなくて、一番、相手にとって嫌なところで勝負出来るFW赤嶺の存在は、これまでチームにいなかったタイプとして重宝されており、MF関口やMF梁、FWフェルナンジーニョらの良さも引き出している、という印象がある。
■ 出色の出来の富田
古巣との対決となったMF斉藤のプレーに注目が集まったが、この日のMF斉藤はかなり下がり目の位置でプレーし、その代わりにボランチの相方のMF富田が積極的にボールに絡んでいた。特に前半は出色の出来で、見事なプレーを見せた。
これまでは、MF千葉とボランチを組むことが多かったが、ともにバランスを取るのがうまいタイプの選手。J2時代からダブルボランチを組んできたのでコンビネーションも良くて、チームの安定に貢献していたが、攻撃でプラスアルファをもたらすタイプではなく、J1に昇格して相手のレベルが上がってくるとしんどくなる試合もあった。
そのため、シーズン途中でなかなか勝てなくなった時期にMF千葉が外れてMF斉藤がスタメンに入ってきたが、MF斉藤がスタメンに定着してからの9試合で6勝2敗1分け。ロングパスを出せて、キープ力もあって、危ないシーンでは体を張ることも出来るMF斉藤とコンビを組むことで、MF富田の良さも引き出されている。派手なプレーは少ないが、パスは正確で、判断のミスも少ない。
■ どのようにして点を取るのか？
一方の京都は残り6試合。試合内容はどん底の頃と比べると良くなってきているが、悪い流れを変えるまでには至っておらず、奇跡が起こらない限り、残留は難しくなって、さらに追い込まれてしまった。アウェーの戦いで、天候も悪くて、ピッチコンディションも不良。悪い条件がそろっていたが、もう少し粘っている姿を見せても良かったのではないだろうか？
この日はMFドゥトラが出場停止。MFドゥトラがいたとしても、結果は変わらなかっただろうが、どのようにして点を取るのか？誰が点を取るのか？といった部分は、相変わらず伝わってこない。J1で300試合出場となったFW柳沢は今シーズン3ゴールのみ。いいパスが回ってこないという理由もあるが、さびしい数字であり、エースストライカーと頼りにすることはできない。代わりの選手がいれば、FW柳沢を外したいところであるが、FW柳沢がいないと、さらにボールが回らなくなる。FW宮吉、FW金成勇、FWハウバート・ダンといった将来性のあるストライカーはいるが、計算は出来ずジレンマは続く。
■ ボランチの差
仙台のダブルボランチの出来がよかったのに対して、京都はボランチで苦しんだ。この試合だけの問題ではないが、今シーズン、ボランチで非常に苦しんでいる。
昨シーズンまでは、ボランチのポジションに元日本代表のMF佐藤勇人がいて、彼が軸となっていたが、昨オフにジェフ千葉に移籍。突然の対談だったので、計算が狂ってしまったという気の毒な部分はあるが、残ったボランチは「帯に短したすきに長し」の状態で、MF安藤、MF角田、MF中山、MFチアゴといった選手が起用されてきたが、いずれも物足りないプレーに終わっている。
期待したいのは26歳のMF安藤であり、秋田監督も辛抱して起用し続けているが、攻撃的な良さが発揮できておらず、消極的なプレーが目立つ。「もっと出来るはず。」と本人も思っているだろうが、負のスパイラルに入っているのか、小さなプレーが目立っていて、大胆さにも欠けている。チームが勝てない状況になっていて、頭の中はパニックになっているのではないかと想像できるが、MF安藤の代わりに中盤でボールを落ち着いてつなげそうな選手もおらず、使い続けるしかないのが現状で、戦いの幅が狭い苦しい状況である。
■ 安定しなかった守田
秋田監督になってまだ1勝のみと目立った改善は出来ていないが、1つ、面白いと思うのが、いくつかのポジションで、辛抱して若手を起用していることである。具体的には、MF中村太、GK守田といったロンドン世代の選手であるが、秋田監督は、相当に我慢して二人を起用し続けている。
191㎝のGK守田は1990年生まれの20歳。ロンドン世代の中では、FC東京所属で日本代表のGK権田が飛び抜けた存在であるが、このポジションは試合に出ている選手が少なくて、J1でGK守田は期待したい存在であるが、キャッチングが安定せずに、イージーミスも多い。FW赤嶺のゴールシーンも、GK守田がしっかりとこぼさずにプレーしていたら、防ぐことができたかもしれない。
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後半にFW赤嶺やMF高橋がビッグチャンスを逃して試合を決められなかったが、危なげない試合といえた。京都の攻撃が単調だったことも幸いしたが、DFエリゼウとDF鎌田の両センターバックがことごとくサイドからのクロスをはね返し、ダブルボランチも、セカンドボールも確実に拾って流れを作った。
■ 決勝ゴールの赤嶺
決勝ゴールを挙げたのはシーズン途中にFC東京から移籍してきたFW赤嶺。ゴール前の嗅覚に優れたFW赤嶺らしいゴールで、DFエリゼウのシュートのこぼれ球に対して抜群のポジショニングを見せて、ネットを揺らした。今シーズン、FC東京ではあまり出番がなかったFW赤嶺であるが。仙台ではうまくチームにフィットしている。
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■ 出色の出来の富田
古巣との対決となったMF斉藤のプレーに注目が集まったが、この日のMF斉藤はかなり下がり目の位置でプレーし、その代わりにボランチの相方のMF富田が積極的にボールに絡んでいた。特に前半は出色の出来で、見事なプレーを見せた。
これまでは、MF千葉とボランチを組むことが多かったが、ともにバランスを取るのがうまいタイプの選手。J2時代からダブルボランチを組んできたのでコンビネーションも良くて、チームの安定に貢献していたが、攻撃でプラスアルファをもたらすタイプではなく、J1に昇格して相手のレベルが上がってくるとしんどくなる試合もあった。
そのため、シーズン途中でなかなか勝てなくなった時期にMF千葉が外れてMF斉藤がスタメンに入ってきたが、MF斉藤がスタメンに定着してからの9試合で6勝2敗1分け。ロングパスを出せて、キープ力もあって、危ないシーンでは体を張ることも出来るMF斉藤とコンビを組むことで、MF富田の良さも引き出されている。派手なプレーは少ないが、パスは正確で、判断のミスも少ない。
■ どのようにして点を取るのか？
一方の京都は残り6試合。試合内容はどん底の頃と比べると良くなってきているが、悪い流れを変えるまでには至っておらず、奇跡が起こらない限り、残留は難しくなって、さらに追い込まれてしまった。アウェーの戦いで、天候も悪くて、ピッチコンディションも不良。悪い条件がそろっていたが、もう少し粘っている姿を見せても良かったのではないだろうか？
この日はMFドゥトラが出場停止。MFドゥトラがいたとしても、結果は変わらなかっただろうが、どのようにして点を取るのか？誰が点を取るのか？といった部分は、相変わらず伝わってこない。J1で300試合出場となったFW柳沢は今シーズン3ゴールのみ。いいパスが回ってこないという理由もあるが、さびしい数字であり、エースストライカーと頼りにすることはできない。代わりの選手がいれば、FW柳沢を外したいところであるが、FW柳沢がいないと、さらにボールが回らなくなる。FW宮吉、FW金成勇、FWハウバート・ダンといった将来性のあるストライカーはいるが、計算は出来ずジレンマは続く。
■ ボランチの差
仙台のダブルボランチの出来がよかったのに対して、京都はボランチで苦しんだ。この試合だけの問題ではないが、今シーズン、ボランチで非常に苦しんでいる。
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■ 安定しなかった守田
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