雲南省曲靖市に住む朱さんは、これまでたびたび、「地震の予知」を行った。頭部内に特殊な脈動を感じるという。地元紙の春城晩報の記者が確認したところ、3月から5月3日までに朱さんが発信した「予知メール」12件のうち10件は、正しかった。的中率は約83%で、「特殊能力」は本物とみられるという。

 朱さんは定年退職した軍人だが、ショートメールで友人に「地震予測」を配信している。メールには「10時間以内に、南西の方角でマグニチュード6前後の地震が発生する」。送信時間は4月6日午前7時34分で、実際には7日午前6時15分にインドネシアのスマトラ島北部(北緯2.4度、東経97.1度)で、マグニチュード7.8の地震が発生した。

 4月12日午前9時には「2日以内に、マグニチュード7以上の地震が発生する。地球は地震の活動期に入ったと思われる」と送信。方角までは書かれていないが、4月14日午前7時49分、青海省玉樹チベット族自治州でマグニチュード7.1の地震が発生した。

 朱さんが予知しているのは、大部分がマグニチュード6以上の地震だ。「はずした」と判断された2回は、地震は発生したが、マグニチュードが大きく異なったという。発生時間は、朱さんの予知より、1日程度遅い場合が多い。

 朱さんによると、地震が発生する前に、頭のある部位で、特別な脈動を感じる。自動車のエンジンが起動する時のような音のような感じの振動で、地震の規模が大きいほど強い。「マグニチュード5以上の場合には、激しい脈動から逃れられない感じだ」という。

 自分の特異体質に気づいたのは1969年だった。工兵として軍に所属していた朱さんは、トンネル工事に従事していたが、頭部の一部に突然、強い脈動を感じた。本能的に後ろに飛びのいたが、上から大きな石が落ちてきて、あやうくかわしたという。2008年にも散歩をしている時に、「頭部の脈動」でビル6階からの落下物に気づき、避けることができた。

 地震の予知につながったのは最近のことで、1月4日午後に頭部の脈動」を感じ、息子にむかってなんとなく、「しばらくしたら、大地震が起こるかもしれない」と言った。後になり、2010年1月12日にハイチで発生した地震を感じていたと分かったという。

 朱さんは地震と自分の予知能力に興味を持ち、書物を入手して地球物理学や日本の阪神淡路大震災、地震を予知したとされる生物の記録などの勉強を始めた。「頭部の脈動」を感じた時には、地球儀や世界地図を見て、「どのプレートの動きなのか」と、自分の感覚を確認。自宅には気象観測用の窓を新たに作り、望遠鏡で気流や雲、星などを観測して、それらの結果と自分の感覚を総合して、「予知」するようにしたという。

 雲南省地震観測予報所も朱さんの「地震予知」を知り、省地震局予報センターに報告した。「朱さんのような人は、他にもかなりいる。ただし、確実性に乏しいケースが多い」という。朱さんにも「地震を感知した場合には、事前に連絡してもらってかまわない。参考にしたいと思う。確度が高ければ、あらためて予知能力の持ち主を登録したい」との考えだ。(編集担当:如月隼人)



■最新記事
44年目の余震−専門機関が見解、中国河北省・4月30日の地震で
中国で「この世の終わり」式デマが続発−がん誘発の酸性雨・大地震
困難承知、地震予知の実現に挑戦続ける−中国専門家
青海地震は08年四川地震と関係、M6級が再発生の恐れ−専門家
中国で「大地震近い」の噂、専門家は否定−不思議な雲・井戸の異常