やはり何も変わっていなかった──。これがオーストラリア戦を終えての感想だ。サッカー協会はプラス思考の考え方を主張して、「チームはよくなっている、確実に進歩している」と言い続けてきたけれど、前回大会時と同じ過ちを繰り返しているように思えてならない。予選最後の試合で、それが改めて如実に表れた。


チームの良し悪しの前に、根本的に協会の日本代表の作り方にも問題がある。それは前任者のときから何も変わっていない。4年契約で監督を据え、勝とうが負けようが、イベントに出場すればいい。終わったらまた次。その繰り返しだよ。首相がサミットに行きたいと言っているように、会長がW杯に行きたい。とにかく行ければいい。それだけじゃないのかな。 


そして、あの監督のままW杯に向かっていいのかという問題点を誰も検討していないのもおかしい。オーストラリア戦では、ベンチにGKが2人も入っていた。そんなことは草サッカー以外では考えられない。勝たなくてはいけないのに、ベンチにFWは2人しかいなかった。交代は結果的にその2人だけに終わったが、DFを入れて闘莉王を上げることだってできたはずだ。


岡田監督は試合後の記者会見で、ベストメンバーで戦えばこうはなっていなかったというような主旨の発言をしていた。そんな言い訳は、監督として最低だよ。材料を自分で揃えておきながら、料理ができないコックさんのようだ。


メンバーを精査して、どういう選手を入れればいいのかということをもう一度考えるべきだ。今のやり方のままで本大会を迎えるのはあまりにも危険だ。交差点でひかれそうになっている人を見ているようだよ。まわりの人が危ない危ないと言っても、本人だけが大丈夫と言っている。でも、最後はひかれてしまう。本当にこれでいいのか、もう一度考え直してほしいね。(了) 

セルジオ越後 (サッカー解説者) 
18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中