ドイツ代表のヨアヒム・レーヴ監督は12日、2−1で勝利した土曜日のロシア戦の最中にスタジアムから許可も取らずに姿を消したFWのケヴィン・クラニー(26歳)について、今後は代表に招集しないと話した。
 シャルケ04に所属するクラニーは、18人の出場メンバーに入らなかったため、スタンドからロシア戦を観戦していた。しかし、試合終了後、スタジアムから代表合宿地へ戻るチームバスに戻らず、12日午前中の段階でもチームに連絡を入れていなかった。
 レーヴ監督はこれに対し、「ケヴィンのような態度を許す訳にはいかない。今後は彼を代表に招集することはない」とドイツサッカー連盟(DFB)の公式サイトで発表した。

 ドイツのメディアによると、クラニーの友人二人が11日晩に、代表の宿泊するデュッセルドルフのホテルに赴き、同選手の荷物を持ち帰ったという。
 ブラジル生まれのクラニーはこれまで代表52試合に出場したが、ロシア戦ではメンバー入りしなかったほかの選手とともに前半をスタンドから見ていた。そしてハーフタイムに、友人に会うために着替えをする許可を得た。しかし、試合終了後30分以上かけてDFBの関係者がスタジアムを探したが彼の姿を発見できず、チームバスはクラニー抜きで出発した。

 シャルケのアンドレアス・ミューラー監督は、クローゼ、ポドルスキ、ゴメスに次ぐ四番手のストライカーという立場を考えると、クラニーが行方不明になった理由も理解できると話した。
「ハーフタイムに姿を消すのがよかったかという問題はあるが、これを見ても、ケヴィンがどういう気持ちでいるのかは私は理解できる。彼は耐えられなかったんだと思う。メンバーに入れなかったことにものすごく落胆していたんだろう。その気持ちを考えてやるべきだ」
 クラニーは2006年W杯では、開幕直前にメンバー落ちしているが、ミューラー監督は、「それから彼は再び代表に復帰し、EURO2008予選のチェコ戦では2ゴールを決めた。しかし、本大会ではほかのストライカーの調子があまりよくなかったにもかかわらず、ほとんど出場機会がなかった。そして今回、ロシア戦でメンバー入りさえできなかったことで、もうたくさんだと思ったんだろう」と説明する。