ハリウッドで日本の漫画が実写化!のニュースが、先日の「AKIRA」に引き続き、もうひとつ飛び込んできた。
今度は士郎正宗作「攻殻機動隊」。スピルバーグ監督の、あのドリームワークスが映画化権を獲得、実写化するという。
あの世界を実写できるという、今日のVFXの発展に驚嘆し、ドリームワークスだからきっとものすごくお金をかけてくれるんだろうと、完成がものすごく楽しみなような、でも、ちょっと不安なような。

攻殻機動隊」は士郎正宗の、1989年5月に「ヤングマガジン海賊版」に初登場した作品。未来都市の警察組織を独特の世界観で描き、これまで劇場版アニメ、テレビアニメ、小説、ゲームなど派生作品が多数生まれている。
なかでも、押井守が監督し、95年に公開したアニメ『 GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は、ウォシャウスキー兄弟が監督した『マトリックス』に多大な影響を与えるなど、アメリカをはじめとした海外での評価が先に高まったことでも知られている。
04年に発表された続編、『イノセンス』は、北米ではドリームワークスによって公開された経緯もある。

今回のこの企画は、プロデューサーとして名を連ねるアヴィ・アラッド、アリ・アラッドとスティーヴン・ポールの3人が、ドリームワークスに持ち込んだ。脚色はジェイミー・モス。
プロデューサーの中でも、アヴィ・アラッドは、『スパイダーマン』シリーズ、『X?メン』シリーズ、『ファンタスティック・フォー』シリーズなど、コミック本を原作とする企画を続々ヒットさせてきた実績がある。

映画化権に関しては、ユニバーサルとソニーも同作の映画化権を追い求めていた。しかし、スティーヴン・スピルバーグが個人的にこの作品に惚れ込み、ドリームワークスで企画を実現させた。
「『攻殻機動隊』は私のお気に入りのストーリーなんだ」「新しい分野だけど、ドリームワークスは熱意を持ってこの企画にあたるよ」と巨匠スピルバーグは語る。
また、ドリームワークス製作部門の社長アダム・グッドマンは「『攻殻機動隊』は、3D実写版にするための要素をすべて兼ね備えている」とコメントしている。
 
しかし、実写と聞くと、どうしても気になるのがキャストである。
中でも、少佐を誰が演じるのか、もう気になって気になって仕方がない。
あの完璧なサイボーグボディを露出しまくりつつ、少女のような脆く鋭い純粋さと、天才的知性、メスゴリラと呼ばれるまでの強さ、それらを同時に体現できる、そんな人間が人種を問わずいるのか。「AKIRA」のように、舞台をアメリカに移すのか、新浜のままであれば、日本人キャストの起用も考えられるところである。
ほかにも、タチコマは出てくるのかとか、音楽はどんな風なとか、それから、それから――と、あれもこれも、ファンの興味(と心配の種)はつきない。
アニメはもともと北米で先に評価が高まったという経緯もあり、巨匠の描く電脳近未来世界への期待に胸が膨らむ。完成はずいぶん先だろうけれど、早く見たいものだ。

(編集部 上芝まいこ)