アップルがインドでハイエンドiPhone製造を来年開始か。中国からの生産拠点シフト準備?
アップルがiPhone XSiPhone XS Maxなどのインドでの生産を、早ければ来年に開始するとの噂が報じられています。

米大手メディアReutersの情報筋によると、同社は台湾の大手サプライヤーFoxconn(鴻海)の現地子会社を通じて、高価なフラグシップモデルの組み立てを始めるとのこと。今回の動きが、アップルのインドにおけるビジネスを新たな領域に引き上げる可能性があると伝えられています。その生産はインド南部のタミルナドゥ州・スリペルブデュールにあるFoxconnの工場で行うとされています。

タミルナドゥ州の産業大臣は、FoxconnがiPhone生産施設の増強を含めて、工場を拡張するために250億インドルピー(約394億円)を投資すると語ったとのこと。さらに、この投資により2万5000人もの雇用を生み出す可能性があると付言しています。

さらに地元紙ザ・ヒンドゥーは今月24日、Foxconnのインド工場で様々なiPhone製造が開始すると報じたとされており、現地生産は確実と思われます。

インドでのiPhone生産は今回が初めてのことではなく、台湾サプライヤーWistronの現地子会社にて低価格のiPhone SEおよびiPhone 6sを製造していました。これはインドが輸入スマートフォンに高い関税を課しているため、現地生産を余儀なくされている側面が大きかったもの。

そして調査会社Counterpointのデータでは、インド現地でのiPhone販売も廉価モデルが中心となっており、売上台数の半分以上はiPhone 8よりも古いモデルが占めていたとされています。つまり、過去モデルをインド国内で製造する強い理由はあった反面、ハイエンドモデルを生産する動機は薄かったわけです。

では、アップルはなぜインドでiPhoneハイエンドモデルの生産を推進するのか。

Reutersによれば、1つには米中貿易摩擦の影響を回避する狙いから。先月、Foxconnがベトナムに工場建設を検討していると報じられたことを、大手サプライヤーが中国外での生産拠点を確保するための最大のステップだったと分析しています。

もう1つの理由は、インド市場でのシェアを拡大する狙い。Reutersは、世界で最も成長性の高いスマートフォン市場である現地で、昨年モデルのiPhone Xを製造する可能性があると指摘。その背景には、iPhone XSやiPhone XRの生産削減があると示唆しています。

アップルとFoxconnの契約の詳細はまだ分からず、変わる可能性もあるとのこと。中国でのiPhone生産拠点がインドに移されるのか、現地での作業が組み立てに限定されて部品生産は含まないのか否かも不明とされています。

先日、「アップルはiPhoneなどに課される関税が25%まで引き上げられれば、中国外への生産拠点のシフトを検討する」との観測も報じられました。中国での旧iPhone販売禁止に関しても対応が素早かったアップルだけに、すでに準備は始められているのかもしれません。