マーリンズの新オーナーに就任したデレク・ジーター氏【写真:Getty Images】

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「ファイヤーセール」に批判続々「3Aのチームにお金は払えない」

 マーリンズの新オーナーに就任したデレク・ジーター氏が、就任早々にディー・ゴードン内野手、ジャンカルロ・スタントン外野手、マルセル・オズナ外野手というチームの核を次々に放出するクラブ史上3度目の「ファイヤーセール」を敢行して波紋を広げている。

 スター売却と引き換えに獲得したプロスペクト(若手有望株)の乏しさや、人件費削減のためにチームの功労者を次々に解雇する“大ナタ“に対して、公開討論会に参加したファンから怒りの質問と批判が殺到。ジーター氏が“炎上”する事態に発展している。地元紙「マイアミ・ヘラルド」やESPNなど米メディアが一斉に報じた。

 マーリンズを買収して共同オーナーとなったジーター氏は19日夜(日本時間20日)、マーリンズパークで、約200人の年間チケット保有者とミーティングの場を持った。そこで待っていたのは批判の嵐だった。過去にもワールドシリーズ優勝後に主力を大量放出する「ファイヤーセール」を2度敢行したジェフリー・ローリア前オーナーは地元マイアミで不人気だったが、「キャプテン」の愛称で尊敬を集めたヤンキースの英雄の評価は、すでに前任者を下回るほどだ。

「ローリアが懐かしい。こんなになるなんて誰が思っただろうか」
「“3Aのチーム”を観戦するためにお金は払えない」
「なぜ放出せずに先発投手を補強しないのか?」
「(球団買収に)12億ドル(約1356億円)使ったら、金欠なのか」

ジーター氏は「時間と努力が必要」

 実業家ブルース・シャーマン氏と手を組んで発足した新体制は、12億ドルでローリア前オーナーから球団を買収。集客の少ない状況を一変させる救世主と待望論が湧き上がっていたが、ファンに待っていた現実は主力の大量放出だった。この現状に不満を持つJ・T・リアルミュート捕手がトレードを志願し、クリスチャン・イエリッチ外野手も球団側と会談を持つなど、さらなる主力離脱の危機に直面している。

 新体制はそれ以前にも、球団の功労者に対する処遇などで批判を集めていた。この日の90分間のミーティングでもマーリンズファンの怒りで“炎上”した格好となったジーター氏は、こう語りかけたという。

「ただ座ったままで、私を信じてほしいとは言えない。みなさんは私のことを理解していない。信頼を得るには時間がかかるものだ。球団がどれだけ長い時間をかければ持続可能な状態になるのか知っている。皆さんがこれまで色んな目に遭ってきたのはわかっている。困難な道のりになるでしょう。時間と努力が必要になります」

 現役引退後に異例の転身を果たしたジーター氏。マーリンズファンの信頼を取り戻すことができるだろうか。(Full-Count編集部)