話題の『奥取り』に見る「一人で生きる」「二人で生きる」それぞれの強さと弱さ

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多くの女性から支持を受けている『奥様は、取り扱い注意』(日テレ系)、ご覧になっていますか?

主人公は綾瀬はるかさん演じる伊佐山奈美、隣近所に住む大原優里、佐藤京子の主婦三名。彼女たちの、三者三様の結婚生活が描かれています。

DV・誘拐・連れ去りなど、派手な事件が勃発する一方で、姑と上手く付き合えない悩みや子どもをつくりたいと言い出せない葛藤など、既婚女性に共感されやすい要素も盛り込まれているんです。

■弱さを受け入れる強さ


このドラマには、たくさんの身勝手な人物が登場します。
どの人も「弱さ」を抱えていて、中には誤った「強さ」を振りかざす人もいます。

例えば、第三話に出てくる貴子は元女子プロレスラーで、ママ友いじめの常習犯。貴子が自分を強く見せようとするのは、実は心に秘めた「弱さ」を隠したいからなんですね。

そんな貴子は、本音を奈美に見透かされ諭されます。そうして彼女は自分の「弱さ」を認め、他者に対して心を開く「強さ」を手に入れるのです。

このドラマのように、自分の弱さと対峙して強さを得ようとする局面が、誰の人生にも一度は訪れるでしょう。
一言で「弱さ」「強さ」と言っても、実は一人で生きる場合と二人で生きる場合で性質的な違いがあるんです。

■一人で生きる強さと弱さ


一人で生きるということは、望むと望まざるとに関わらず、どうしても自分と向き合う機会が多くなります。
自分はどうしたいのか、どうなりたいのか、どうすべきなのか、といったことを問いかけ、ベストと思える選択をし、進むべき道を見出し、一人の力で突き進んでいくことになりますよね。

そのため、経済的にも精神的にも独力で生活を築いていく「自立心」が培われます。同時に、自分が決めた規律に従って行動する「自律心」が育つのです。
このような「自立心」ないし「自律心」が、「強さ」といえるでしょう。

一人で生きると、「第三者からの称賛や承認を求める心情」が生まれやすくなります。
他者から評価されたいと思うのは自然の心理です。ただ、評価は必ずしもプラスであるとは限らず、時に耳に痛い内容だったりもするでしょう。

苦言を呈してくる人を「敵」とみなして攻撃し、自分が住む世界から消滅させようとする人っていますよね。このような現実と向き合おうとしない心理こそ、「一人で生きる弱さ」といえるでしょう。

■二人で生きる強さと弱さ


例えば、あなたが一人でするには気が進まないことがあったとします。でも、それをすることで恋人や伴侶が喜んでくれるなら、やってあげようと思いますよね。

やった結果、相手が「うれしい」と言ってくれたらあなたも快いでしょう。
二人で生きるということは、自分の利他的な行動に対して相手からの笑顔・ねぎらい・感謝の言葉といった「報酬」が得られやすくなります。

そういった相手のリアクションを求める気持ちが、関係向上の「やる気」へと還元されていきます。
このような内的モチベーションが、「二人で生きる強さ」なんです。

また、長く一緒にいると相手に対して遠慮がなくなってしまいがち。他人行儀な気遣いなら、むしろなくなったほうがいいのですが、人に対してあるべき配慮をおろそかにするような、そういう遠慮の無さに発展することも。

相手に対して「わかってくれるはず」「許してくれるはず」と思って、自分本位な期待を抱く。
こういう「甘え」が、二人で生きる際に生まれる「弱さ」といえるでしょう。

■まとめ


一人で生きる強さと弱さ、二人で生きる強さと弱さ、ご理解いただけましたでしょうか。

どちらが良くてどちらが悪いということはありませんが、向き不向きはあります。
ですから、自分が幸せになれるのはどちらなのか、その点を見極めるべきでしょう。決め付けない目で、自分を見つめ直してみてくださいね。

ライタープロフィール


黒木蜜
一般企業に勤めながら執筆した作品が日本文学館のオムニバス本に掲載され作家デビュー。古事記への造詣が深く、全国300ヶ所以上の神社紹介記事を執筆。現在、古事記の観点から紹介する神社コラム/恋愛コラムなども手がけている。