カロリー不足は失敗を招く!? 編集Oの糖質制限ダイエットを栄養士が辛口査定!

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 昼はもっぱらコンビニやファストフード店で済ませ、夜は会食続き。飲みすぎた朝はご飯を抜いて…。そんな生活を繰り返していたら、腹がだぶついてきてしまった。そうかといって、外食や会食を避けた健康的な食生活は無理だし、運動するヒマがあったら1分でも長く眠らせてほしい! そんな中年サラリーマンの編集Oです。

 今までトクホ飲料を心の安定剤に騙し騙しやりすごしてきたが、ラーメン大盛り無料を前に条件反射でお願いしている場合じゃない! こんなわがままボディは恥ずかしすぎる…。丸みを帯びた体形と80kgにまで膨れ上がっていた体重をなんとかしたいと、最近話題になっている糖質制限ダイエットへの挑戦を誓った。

 糖質制限ダイエットはアメリカで発案された今や一大ブームとなり、効果的なダイエット法として、病院でも取り入れられるようになった。日々の食事を変えるだけでトライしやすい反面、ルールや基準がまちまちで、いったいどの方法が正しいのか…。実際に始めてみると分からないことだらけだ。糖質制限は危険だというネットの書き込みを見るとはたして自分は大丈夫なのだろうかと心配になってしまう。

 そこで、私の食事がしっかり糖質制限できているかを食のプロにジャッジしてもらうことに。ご協力いただいたのは、栄養士の若木ふよ子さん。5日間の食事メニューを診断してもらうことに。

 診断内容は、きちんと糖質制限できているか、また、三大栄養素である、糖質、脂質、タンパク質が摂取できているか(糖質は必要最低限量を摂取できているか)、そのほか栄養不足になっているものはないかを調べてもらった。

 計測方法は、摂取エネルギー量に占める糖質・タンパク質・脂質の割合を算出。厚生労働省が発表している目標値(エネルギー産生栄養素バランス)から、無理のない範囲で糖質制限をした場合の、糖質(約30%)、タンパク質(約30%)、脂質(約40%)と比較している。

さて、気になる結果は…。

【1日目】

エネルギー 1100kcal
糖質    ★★★★★ 80.8g(38%)
タンパク質 ★★★   78.8g(28%)
脂質    ★★★   41.4g(34%)

十分糖質制限できています。タンパク質、脂質、糖質のバランスは良いです。ただ、エネルギー量が少なすぎ、この食事が続くと、体重は落ちますが、筋力や体力の低下を引き起こしてしまいますので気をつけてください。

【2日目】

エネルギー 1263kcal
糖質    ★★★★ 64.1g(45%)
タンパク質 ★★   47.6g(15%)
脂質    ★★★  56.1g(40%)

糖質は制限されていますが昨日と同じくエネルギー不足に加え、タンパク質、ビタミン・ミネラル、食物繊維も必要摂取量を満たしていません。朝食のサラダに手軽に使えるツナをプラス、昼食にヨーグルトやチーズなどの乳製品や豆腐などの豆製品をプラスする、間食にナッツを食べるなどいろいろな食材の摂取を心がけると良いでしょう。

【3日目】

エネルギー 2137kcal
糖質    ★★★★ 63.6g(15%)
たんぱく質 ★★   95.2g(18%)
脂質    ★★   59.5g(67%)

糖質は制限されていますが、エネルギー量に対する栄養素のバランスが悪く、特に脂質の摂取が過剰です。脂質は悪者ではありませんが炒め物や揚げ物など調理に使う油の摂りすぎに注意しましょう。

【4日目】

エネルギー 1260kcal
糖質    ★★★★★ 95.3g(30%)
タンパク質 ★★★   78.8g(25%)
脂質    ★★★   63.0g(45%)

タンパク質、脂質、糖質のバランスは良いですが、エネルギー量が少なすぎます。この食事が続くと体重は落ちますが筋力や体力の低下を引き起こしてしまいます。食事の量を増やすことを意識すると良いでしょう。また、食物繊維が不足しています。

【5日目】

エネルギー 1704kcal
糖質    ★★★★ 54.1(16%)
タンパク質 ★★★★ 112.6g(26%)
脂質    ★★   110.3g(58%)

エネルギー量に対して脂質と糖質のバランスが悪いです。16日同様、揚げ物の油の摂りすぎに注意。夕食はお惣菜のようなので、空揚げではなく、市販のサラダチキンに変え、サラダにナッツやチーズをプラスし和えればボリュームのあるヘルシーな1品になります。糖質は制限されています。

■糖質制限は完璧だが…。このまま続けると痩せなくなってしまうかも!?

編集O(以下O):「まずは、米、パン、麺類を抜きました。朝は、少しだけ甘いものも少し食べてしまったのですが、糖質制限オフできていますか?」

ふよ子さん(以下 若木):「糖質制限をきちんと意識した食事内容になっています。北里大学北里研究所病院で行われている低糖質食の糖質量である70g〜130gと比べても、平均で71.58gと十分に制限されていますよ」

O:「しっかり糖質制限できていてホッとしました」

 

若木:「でも、Oさんは1日に必要なエネルギー量に達していない日が多くカロリー不足になっていますね。身長体重、一日の運動量からみて、2300kcalは必要です。糖尿病の予防や治療を行う際の基準エネルギー量の1600kcalは最低でも摂取していただかないと…。Oさんは持病が無いとのことでしたが、糖尿病、腎臓病、膵臓に疾患のある方は糖質制限食を自己判断で行わず、専門家の指導のもとで行ってくださいね」

O:「カロリーが少なければ、その分痩せられるんじゃないですか?」

若木:「食事量の不足により栄養素の不足も引き起こされると、筋肉量が減り体力、体温、基礎代謝の低下が起こります。体に不調をもたらす原因にもなるでしょう。また、カロリー不足が続くと体重が減ってもやがて停滞期がやってきてしまいますよ。ホメオスタシスと呼ばれる恒常性維持機能が働き、痩せない現象が発生するんです。元の食事量に戻すとリバウンドしやすくなりますよ」

若木:「カロリー不足を補うため、また血糖値を安定させるためにも、エネルギー源となるタンパク質と脂質はしっかりと補給する必要がありますね」

O:「痩せようと思っていたから、低ければ低いほどいいと思っていました。これからはカロリーも意識した食事を心がけます」

若木:「食事だけでなく、基礎代謝を下げないために適度な運動を行うことをおすすめです」

■朝夕のスープや味噌汁で、手軽に食物繊維不足を解消

若木:「あと、Oさんの食事メニューで気になるのが食物繊維ですね。どうしても、糖質を制限すると主食に含まれる食物繊維が不足し、便秘や悪玉菌増加が起こる原因になります。食事データからも食物繊維の摂取量が一日の目標量に達していない日が続いています。Oさんの場合、目標量の半分以下の日が4日もありました」

O:「確かに…。糖質制限してから少し便秘気味なんです。糖質制限仲間の間でも悩んでいる人が多いみたいで。手軽に解消するにはどうしたらいいでしょうか」

若木:「糖質が低い豆類、きのこ、海藻、こんにゃくの摂取を心がけてください。朝夕食の汁物にきのこ、わかめをプラスするだけでも効果的ですよ」

■飲み会続きの食生活を挽回するには…

O:「仕事柄、飲み会が多くて。糖質制限ができない場合はどうしたらいいでしょう…」

若木:「翌日の食事で調整可能です。食べたものがすぐに体重に影響することはありません。食べすぎた時は、翌日の食事量を控えめにし、かつ摂りすぎた栄養素を控え、不足した栄養素を補うといいでしょう。糖質制限中にもおすすめの料理は以下のものです。症状や前日の食事にあわせて選んでください」

油っぽいものを食べすぎた・・・お刺身、焼き魚、蒸し料理など
胃がもたれている…ネバネバ食品、大根おろし、胃腸に負担のかからない煮込み料理など
肉、魚料理を食べすぎた・・・納豆、湯豆腐、酢の物、お浸しや和え物など

■ステージに合わせて糖質制限メニューを変えることも大切

O:「糖質制限を長続きさせるコツってありますか?」

若木:「糖質制限=主食を抜くこと、ではありません。糖質量をコントロールすることが大切です。Oさんの場合はかなり糖質量を抑えているようですが、少し見直してみてはいかがでしょうか。ご飯などの主食は軽めに食べるなどのスタイルにすれば、食事に満足感も出ますし、適度な糖質オフになり、継続しやすくなります。食事の時間を楽しむのも日々の疲れをとり、リラックスできる大切なことです」

O:「主食は食べてはいけないと思っていました。少しずつ無理のない範囲で行うことが秘訣なんですね」

若木:「過度な糖質制限は体の不調をもたらすだけでなく、ストレスが溜まり暴飲暴食に走ってしまうケースもあります。心にも負担のない範囲で行ってくださいね」

 いろいろな糖質制限法の情報が溢れているけれど、自分の体に合った方法をきちんと見極めていくことが大切だ。糖質に限らず、今食べているものこそが体の基盤を作り、未来の自分を左右していく。食生活が乱れがちなサラリーマンにとって、糖質制限ダイエットは、自分の体に本当に必要なものと不必要なものを見つめなおすきっかけになるかもしれない。

若木ふよ子(わかき・ふよこ)
鹿児島の専門学校で栄養、調理、製菓を学ぶ。新潟の歯科医院にて栄養指導行った後、東京でフードコーディネートを学び、資格を取得。現在は栄養士、フードコーディネーター、レシピ開発、料理教室講師として幅広い分野で活動している。