大きな青いルーフが目印。店名の「嘉饌」とは“ごちそう”の意味

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西東京を代表する行列店「煮干鰮らーめん 圓(えん)」。その店主・田中秀明さんの新たな店が「煮干鰮豚骨らーめん 嘉饌(かせん)」。「いやあ、お客さんがあまり来なくて参っちゃいますよ」と苦笑いを浮かべて話す田中さん。しかしその表情は、充実感に満ちていた。

【写真を見る】強烈な煮干しの風味が広がる「煮干鰮豚骨らーめん」(750円)

煮干しマスターの田中さんだけに、「圓(えん)」とは異なるアプローチで煮干しの魅力を伝える。超濃厚な煮干し豚骨スープに負けないよう、醤油ダレも強め。町田・岡直三郎商店の「日本一しょうゆ」など数種を配合。醤油本来の旨味とコクで、個性の強いスープをまとめ上げる。

■ 店主の執念で実った煮干しと豚骨の恋物語

ややとろみのあるスープは濃厚な豚骨の旨味のあとに、強烈な煮干しの風味が広がっていく「煮干鰮豚骨らーめん」(750円)。昆布でしっかりダシをとった大根が箸休めに。肩ロースのチャーシューはなんと3枚ものっている。

こだわりのスープは、強いダシが出るハラワタの多いカタクチイワシを中心に、ウルメイワシや真イワシを大量に使用。あえて苦味を出し、煮干しらしさを強調させた。豚骨スープも同様。130℃の圧力鍋でゲンコツがスカスカになるまでプレスをかけ、骨の髄から旨味を抽出。そんな2つが融合したスープは、ガツンと脳天を貫く強烈な破壊力を備えているのは言うまでもない。

■ラーメンデータ<麺>極細・丸・ストレート/製麺所:自家製麺・130g<スープ>タレ=醤油・仕上げ油=なし/濃度: こってり●○○○○あっさり/種類: 豚骨・魚介(煮干)<具>チャーシュー、大根、ネギ

煮干しは九十九里産のカタクチイワシをメインに、3種類のイワシを惜しげもなく使用。同じ煮干しでも脂身の量などでダシの出方が変わるため、一尾ずつ慎重に見極める。

煮干しが苦手な人は、キレのある「正油らーめん」(600円)がおすすめだ。

ラーメン用は全粒紛を配合した低加水玉子麺。大盛はなく、「替玉」(100円)。具におでんの大根がのるのがユニーク。他にも「煮玉子」(100円)や「煮コンブ」(30円)も人気だ。

「嘉饌」のスープは田中さんが2009年まで町田で営んでいた「中華そば 勇次」の夜ブランド「オードリー」の味がベースになっている。「私がずっと作りたかったのが、この煮干し豚骨ラーメン。当時は時代を先取り過ぎましたが、煮干しのジャンルが確立された今こそ、もう一度食べてもらいたいです」と話す田中さん。執念でよみがえらせた町田時代の伝説の一杯が8年の時を超えて復活。新たなブームを巻き起こしそうだ。【ラーメンウォーカー編集部】