「アイスキャンデー」(1本140円〜)/北極

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混じりけなしの素朴な甘味にこまやかな心配りが込められた大阪の夏を潤す名物アイス「北極のアイスキャンデー」。人気の秘密と知られざる製造工程をご紹介。<※情報は関西ウォーカー(2017年7月18日発売号)より>

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「アイスキャンデー」(1本140円〜)。創業以来の一番人気・ミルクや、北海道・十勝産小豆を100%使用したあずきをはじめ、10種をラインナップ。口溶けのよさとさっぱりとした甘さ、素材の風味を生かした味わいが魅力。

■ 子どもから大人まで愛され続けて70年

1945(昭和20)年の創業以来、変わらぬ姿と味を守り続ける名物冷菓は、大阪の暑い夏に欠かせない存在だ。終戦直後、食べる物にも困っていた時代、創業者が「せめて子供や女性にだけでも、冷たくておいしいものを」との思いから誕生したアイスキャンデー。当時、貴重だった砂糖が入った、ひんやり甘い口溶けは、飛び切りの贅沢だったに違いない。添加物は極力使わない、素朴で懐かしい味わいは、今や2代目、3代目のファンも少なくない。

屋号からして涼感が伝わる、北極のアイスキャンデー。ユーモラスなペンギンが登場するCMを覚えている人も多いだろう。

■ 知られざる製造工程を紹介!

職人の手作業で丁寧に作る製法はもちろん、アイスに刺す棒に使う木の種類や刺し込む角度にまで気を配る、こまやかな工夫もおいしさの理由の一つだ。持ち帰りできるよう、ドライアイスを詰めて販売したのも、実はここが始まり。一本一本に込められた優しさと職人気質の仕事が、70年以上愛され続ける所以だ。

<1>釜で“アイスキャンデーの素”作り。釜に種類ごとの原料と白ザラ糖を入れて、煮込みながらムラなく混ぜ合わせる。液状の“アイスキャンデーの素”を型へ流し入れる。

<2>棒を刺すのは手作業で一本ずつ。原料が入った型に、一本一本手作業で位置を調整しながら棒を刺す作業を繰り返す。この道20年の職人もいる、経験を要する工程。

<3>原料を芯までしっかり冷凍する。マイナス24℃で約2時間かけ冷凍して原料を固める。棒を斜めに刺すのは、アイスを落ちにくくし、最後まで食べやすくするため。

<4>表面の窪みで硬さを見極める。型をぬるま湯につけ丁寧に抜き取る。表面にくっきり型の窪みが出るのが、しっかり固まったあかし。最後も手作業で包装後、出荷。

■ 北極のアイスキャンデーヒットの裏側

製造に携わるのは少数精鋭「7人」の職人。なかには30年ほどのベテランも!細長いオリジナルの「北極型」に合わせて、棒の長さもきっちり計測。

キャンデーの棒は香りのいい奈良・吉野産ヒノキの間伐材を創業時から使用。エコにも貢献!

和菓子にも使われる上質の白ザラ糖が、食べたあとに喉が渇かない、さっぱりした甘さの秘密。

2017年7月下旬に、溶けてもおいしい「本くずアイス濃茶」(230円)が登場。定番の味を守りつつ、新たな味作りにも挑戦。「きな粉をかけて2度楽しむ新感覚の味わいをぜひ!」と、代表取締役の久保田光恵さん。

■株式会社アークティック<住所:大阪市中央区難波3-8-22 電話:06-6641-3731 創業:1945年 社長:久保田光恵 事業内容:アイスキャンデーなどの製造・販売 従業員数:2名(2017年現在)>【関西ウォーカー編集部】