弁護士・柳原桑子先生が、堅実女子の悩みに答える本連載。

今回の相談者は、瑞希さん(33歳・派遣社員勤務)。3年間交際した2歳年上の男性と、先日入籍して夫婦になりましたが、早くもレス問題……というより、夫婦の営みそのものを拒否されたようです。

「結婚式の後、入籍しました。その夜に、夫から“君のことは好きで、一緒に生きていきたいし、信頼しているけれど、性交渉は妊娠目的以外できない”と言われました。夫に言わせると、結婚したら家族になり、性交渉は恋人関係じゃないとできない、という理屈のようです。

子供はどうするのか、と聞いたら、“妊娠しやすい期間なら協力するけれど、僕は子どもが欲しくない”と言われてしまいました。

私も、それほど子供が産みたいというタイプではなく、経済的にも子育ては難しいので、ひょっとしたら一生しないのかもしれません。

けっこうショックを受けて泣いていたら、”どうしてもしたくなったらほかの男性としてもいい”と言われました。私は夫のことが好きですし、彼以外とはしたくないと思います。夫も、他の人とはする気がないと言っていました。

今、作家・こだまさんが書いた、夫と性交渉ができない妻の体験談を描いた女性の小説が話題ですが、私は逆パターンです。

もし、このままの状況が続けば、離婚となってしまう場合、性交渉は夫婦の義務と聞いたことがあるので、私は彼から慰謝料をもらうことができるのでしょうか。

離婚をしないで済む方法があれば、たくさんの夫婦を見てきた柳原先生にアドバイスをいただきたいです」

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 話し合いを重ねて、またカウンセリングを受けるなどして、夫が抱える本当の問題について、夫婦で共有することが解決方法になる可能性もあります。

あなたのようなケースのほかにも、独特な性的趣味を有しているなど性的な問題については、結婚してから顕在化する夫婦は意外と多いと感じます。

あなた質問にあったように、性交渉は夫婦の義務かどうかという件ですが、義務とまでは言い切れません。しかし、婚姻生活における重要な要素であることは間違いありません。

よって、健康な夫婦において特に大きな理由もなく性交渉に応じないという場合であり、今後も改善が難しいなようであれば、離婚の理由になりえます。

ただ、夫婦双方が2人の関係性において性交渉を重要視するものでなく、性交渉がないか、ほとんどなくても婚姻関係の継続に問題はないという場合もあります。また、健康上や体調等の理由があって性交渉ができにくい場合には、性交渉が起こらないことがありますので、ただちに離婚理由になるとはいえません。

夫婦関係は良好なのに、性生活がうまくいかないという夫婦は多い。



■賢人のまとめ
性交渉は夫婦の義務とまで言い切れません。カウンセリングなどで相談し、解決策を探るのもひとつの方向

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/