台湾の大学、中国大陸側と「一つの中国」承諾書に署名  教育部「条例違反」

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(台北 2日 中央社)台湾の私立大、世新大(台北市)が中国大陸の大学から学生を招聘するにあたり、教育課程において政治的に敏感な問題を扱わないなどと定めた承諾書に署名していたことが2日までに明らかになった。教育部(教育省)の潘文忠部長は2日、「条例違反」だと同大を叱責(しっせき)した。

報道によれば、承諾書の主旨は同大終身教育学院が中国大陸の学生11人を招き、今年2月から6月まで同大の各学科で研修を受けさせるというもの。だがその中に、「教育課程の内容はいかなる政治的に敏感な活動にも触れてはいけない」ことや「『一つの中国、一つの台湾』『二つの中国』『台湾独立』などに関する活動には携わらない」とする文言が加えられていた。同承諾書は昨年12月20日付で同院の邱志淳院長により署名が行われたという。

台湾地区の安全と人々の福祉を守ることを目的に、両岸(台湾と中国大陸)の人々の交流について定めた「台湾地区・大陸地区人民関係条例」の第33−3条では、台湾の学校が中国大陸の学校と提携締結や書面上で約束を交わす場合、教育部への事前申請が必要で、その内容は法令に違反、もしくは政治的内容に関わってはならないと明記されている。

潘部長は、同大からの事前報告は無かったと指摘。政府は両岸の学術機関の交流を奨励しているとした上で、交流は平等互恵の原則に基づく必要があると述べた。承諾書の問題については、詳しく状況を把握してから対応を決めると説明した。

総統府の黄重諺報道官は同日、学問の自由は民主政治の重要な一環であり、国家政治の発展における基盤だと言及。これは憲法に明文化されており、いかなる理由であれ制限、侵害されてはならないとの見解を示した。

一方、世新大側は、承諾書はただ政治的に敏感な話題を避けるとしただけで、一つの中国に関する承諾書に署名したのではないと釈明した。

(陳至中、許秩維、葉素萍/編集:名切千絵)