ドリブルで攻め込むシーンもあった大久保。ゴールこそなかったが、試合後は勝利の味を噛みしめていた。写真:田中研治

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[J1第1節]鹿島0-1FC東京/2月25日/カシマ

「いや〜、ホッとしたね」
 
 鹿島との激闘を終えた大久保は、頬を緩めてそう言った。
 
「やっぱり不安だったから。相手は鹿島だし、どんな勝ち方でもいいから勝ちたいと思っていたので、実際に勝ててかなりホッとしている」

【鹿島 0-1 FC東京 PHOTO】オウンゴールで鹿島がまさかの黒星スタート!
 
 結果的にはオウンゴールでの勝利と決して綺麗な勝ち方ではなかったが、大久保にとって内容は二の次。「どんな勝ち方」でもいいから、鹿島から勝点3を奪ったことに意味があった。
 
 大久保がなにより満足していたのは「皆が戦えていた」というスタンスである。
 
「開幕戦なんでまだ完璧なチームなんてどこにもないし、でも、そうしたなかカシマ(スタジアム)で勝てたのは大きい」
 
 確かに鬼門のカシマスタジアムで勝てたのは収穫だが、一方で大久保は課題も口にしている。左サイドで中島がボールを持った時、このベテランストライカーは何度か「パスを出せ」とジェスチャーで示していた。ドリブルに頼らずとも、簡単に崩せる。それを分かっているからこそのジェスチャーだ。
 
「出してくれれば(俺は)フリーですからね。右には(永井)謙佑もいたし、ドフリーでゴールまで行けましたよ。まあ、(中島)翔哉もそこは分かっていると思うので、今後やってくれれば。俺が言わなくても分かっているはずだから」
 
 また大久保は自身のシュートミスにも満足していなかった。至近距離のシュートをふかしてしまった59分のシーンを振り返って、次のようにコメントしていた。
 
「ボールにスピンがかかっていて、しかもグラウンドが少し悪かったこともあって、シュートのタイミングが全然合わなくて……。ボールが来た瞬間は相手GKの顔面付近を狙って打つつもりだったけど、イメージ通りのコースにボールが来なくて上手く打てませんでした」
 
 ただ、反省点について話している時も、大久保の表情はどこか明るかった。林のビッグセーブについて訊かれた場面でも「俺は細かく分からない。GKに訊いてよ(笑)」と笑いを誘っていた。
 
 川崎からFC東京に移籍して大きな注目を集めるなか、計り知れない不安、プレッシャーがあったのだろう。それらをはねのけて、掴んだ白星はチームにとっても、大久保にとっても大きな、大きな価値があった。