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パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は2月3日、マイクロソフトの中堅・中小企業企業向けERPパッケージ「Microsoft Dynamics NAV」の最新版「Microsoft Dynamics NAV 2016(Dynamics NAV 2016)」の日本版、中国版、香港版、タイ版、ベトナム版を4月より販売を開始すると発表した。

同製品は、マイクロソフトが昨年10月にリリースした「Dynamics NAV 2016(英語版)」に、PBCが各5カ国の商習慣に合わせた機能を追加し、各国の言語にローカライズして提供するものとなっている。「Dynamics NAV 2016」より初めて、タイ版とベトナム版が追加されることとなった。

同日開かれた記者会見で、同社の代表取締役社長である小林敏樹氏は、同製品の販売戦略について、次のように説明した。

「タイは日系企業の進出が最も多く、製造拠点、物流のハブ拠点として位置付けられていることに着目し、PBCは昨年9月に、香港、上海に次ぐ3カ所目の海外拠点をバンコクに設立した。タイ商工会議所に確認したところ、タイは現在日本企業が約6000社、日本人が約10万人にのぼり、アジアの中では非常に大きな日本企業の進出拠点となっている。PBCは、タイをはじめとする東南アジアにおける、自動車関連製造業、製薬・医薬関連企業、組立製造業、食料品加工製造業などの日系企業を主要なターゲットとして同製品を訴求していく」

「Dynamics NAV 2016」では、タイ版・ベトナム版の追加以外にも、マイクロソフトの他製品との連携も強化された。PBCの取締役/事業部長 兼 戦略事業推進室 室長の吉島良平氏は、「機能強化のポイントとして覚えてもらいたいこと」として、「In Office 365, On Azure, With CRM」というコンセプトについて説明した。

「In Office 365」については、これまでSharePoint/OneDriveやExcel、OneNote、Word、Outlookといった各種「Office 365」と連携していたが、今回新たに、「Power BI」とも連携。事前に定義されたダッシュボードを活用することで、特別な設定を行わず、即日でデータ分析が行えるという。

「On Azure」については、今回「Microsoft Azure」上でPaasとして提供される「SQL Database」を「Dynamics NAV 2016」のデータベースとして利用できるようになった。データ量や処理量に応じて従量課金で利用できるという。「仮想環境をつくり、そこにNAVをインストール、リモートアクセスするまで15分ほど」と吉島は言う。なお、「Microsoft Azure」以外のクラウドやオンプレミスにも対応しているという。

「With CRM」については、「Dynamics NAV 2016」上で「Dynamics CRM」のURL・ID・パスワードを入力することによって、簡単に連携設定が行えるようになった。さらに、CRM側に「Dynamics NAV 2016 連携ソリューション」をインストールすることによって、「Dynamics NAV 2016」の売上実績データなどをCRM側から参照することも可能になったという。

そのほかにも、利便性を向上する機能として、純正ワークフロー機能や証跡データ管理機能、操延計算機能、スマートフォンでの操作に最適化されたPhoneクライアントが追加されている。

同製品の優位性について小林氏は、「これまでクラウドに乗せづらかったERPが、クラウド上で最初から販売・購買・在庫・会計といった一通りの機能が使えること」「携帯電話でERPの内容を見ることができること」を挙げた。

今後の機能強化については、Azure上でWebサービスとして提供される機械学習ツール「Azure Machine Learning」が、次バージョンで連携される予定だ。

同製品の価格(税別)は、パッケージ版で各国モジュールが各50万円+各国対応機能費用となる。日本対応機能のEssentials Versionは50万円、Extended Versionは150万円、タイ対応機能はEssentials Versionのみで100万円、ベトナム対応機能もEssentials Versionのみで50万円。クラウドサービス価格は1ユーザーあたり月額1万5000円程度だという。

(石原由起)