試合終了のブザーが鳴ると、文田健一郎は雄叫びを上げるでもなく、大きくガッツポーズをするでもなく、ただ小さく拳を握りしめると、まるで「これこそが自分のあるべき姿」だと自らを納得させるかのように、何度も、何度もうなずいた。グレコで日本勢40年ぶりの金メダルを獲得した文田健一郎photo by Sano Miki「五輪での忘れ物を取りに行く」そう言葉に残してパリへ発った文田は、8月5日のレスリング男子グレコローマンスタ