雑誌「新潮」8月号に、漫画家の水木しげるが20歳の時に書かれたと推定される手記が掲載されている。「もう俺を苦しめるな。時代だ、運命だ。自己を、凡てを捨てゝ死にながらにして生きるのだ。」掲載された手記はラバウルに出征する前年、昭和17年10月のものだという。ほぼ1ヶ月分だが、めまぐるしく、濃密だ。堂々巡りな苦悩に満ちている。「今日も恥多き日だつた。」「一体俺は何をしたらいゝだらう。」1日にいくつもの断片文が