2014年もモデルとして、またドラマ、バラエティー、CMなどで大活躍だった西内まりや。

昨年末には念願だった第56回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。誰の目にも順調に見える彼女、しかしその活動は苦悩と葛藤の連続だった。

−2ndシングル『7 WONDERS』が発売されました。

西内まりや
英語から入る曲なんですけど、すごく壮大で前作とは全然違ったイメージです。サウンドもデジタルサウンドにロックが融合されていて、ハードルがすごく高い曲です。音域だったりとか、色の付け方とか、すごく重要になってくる曲になってると思います。

−具体的にどの辺が難しかったですか?

西内まりや
難しいというよりも、今回は歌が中心なので、歌唱テクニックだったり、英語の発音だったりは気をつけました。

−英語の発音は勉強しました?

西内まりや
そうですね。そこはやっぱり綺麗に歌いたいなと思って、ハーフのお友達から結構ストイックに細かく習いました。

−本格的ですね。

西内まりや
はい、本格的に。でも、しゃべれないですけど(笑)。歌詞だったり、発音っていう意味では、完璧にしたくて。まだまだですけど。

−ライブでも披露していると思うのですが、ファンの反応はいかがですか?

西内まりや
前作の『LOVE EVOLUTION』はパワフルな曲ですしアップテンポなんですけど、『7 WONDERS』はどっちかっていうと、聴いてもらう曲なのかな?と感じてます。世界感がすごく壮大なので。ファンの皆さんの反応は、「カッコイイ」が多くて、前作と違ってカッコよさが際立ってるみたいです。大人の方々から、好きって言われるんです。

−前作は同年代が共感できそうな元気な曲ですもんね。さて、西内さんと言えば一番ホットな話題としてレコ大最優秀新人賞ですよね。涙の受賞となりました。

西内まりや
いやー…芸能界は8年目なので、色々な思いがあってここまできて…歌手は本当にやりたかったことだったし、夢のひとつだったのでそれが叶って、最優秀新人賞を頂いた瞬間に、今までの思いが込み上げてきましたね、やっぱり。8年間の思いが、すごくあふれ出ちゃったんです。

−直ぐに実感はわきましたか?

西内まりや
たくさんの方に支えられて、まだまだ実力とか実績は追いついてないけれど、これからの期待の意味も込めた賞なのかなと思うと、なんか背中を押してもらえるような気分でした。絶対満足することはないけれど、自分の中での区切りというか、今までがんばってきたことがひとつ認められた気がして、自分を褒めてあげてもいいキッカケになったと感じました。

−もらった「盾」は?

西内まりや
リビングに飾っています。

−重いんですか?

西内まりや
重たいです。それを持って歌って、落としそうになりました(笑)。ぴょんぴょん飛びながら歌ってたんで。ヒール履いていたので転びそうになった(笑)。

−受賞後の涙は感動的でした。

西内まりや
歌手としてデビューしてから4ヶ月間、もうホントに周りなんて見えないぐらい自分の目の前しか見てなかったですし、とにかく嬉しかった。ちょっと諦めかけてた時期とかもあったんで、そう思うと、がんばってきて良かったなって思えた瞬間でした。

−「諦めかけた」って歌手を?

西内まりや
そうですね。モデルを中学2年生から始めて、高校生になった頃くらいに、だんだんモデルのお仕事も切り替えの時期で、他の雑誌に移るっていうときにすごい不安と、これから頑張んなきゃっていう思いがあって。気持ちの切り替えの時期に、それと同時に演技のお仕事もやらせて頂いていたのですが、それがピタリと1年くらいオーディションも受けてない時期があって。そこで、毎日とにかくひたすらレッスンに行って、学校行っての繰り返しになり… 13歳で事務所に入って、東京に出てきたからには、目指すものは「この業界で大きくなる」ことだったので、すごい焦ってしまって、その時に、同年代の子たちが頑張っている中、テレビに出たりしている中で、自分は何が欠けているんだろう?自分は何を頑張ったら認めてもらえるかな?と、いろいろ悩んでいました。そのときには、「歌手」っていう夢も遠く感じたし、ああ、「このまま福岡に帰るのはイヤだな」っていつも思っていました。そういうときに、いや、何かやっておけばいつか実るときがくるって思って、歌とかダンスのレッスンを一生懸命にやって…ドラムもギターもやっていたんです。

−その頃はまだ歌手デビューの話もないわけですもんね。

西内まりや
ないです。去年の6月でしたから、デビューを聞いたの、ホントに急に。

−世間からしたら、「西内まりやは人気があるから、歌もついでにやっているんだろう」と思っている人も多いと思うんです。

西内まりや
確かに、8年間何していたかというと、モデルと演技をやってきて、歌手のイメージは全くないですよね。けど、わたしは生まれたときから…ホントに保育園、小学校のときから音楽と体育が一番好きだった。一番やりたかったことで、自信をもって楽しんで伝えられるものが音楽だったと思うんです。

−西内さんが積み上げてきたもの、っていうのはファンにも見えづらい部分ですもんね。

西内まりや
そうですね、ホントに。わたし、自分のスマホのボイスレコーダーにメロディーがいっぱい入っていて。とにかく歌を作りたかったんです。で、思いついたメロディーとかは、ボイスレコーダーに入れて、でも結局それが一つの曲になることはなく…たぶん、100個以上は貯まっているんですけど、それが最近やっと、作詞作曲に挑戦し、一曲全部自分で作れたんです。その曲をライブで歌わせてもらって、ちょっとずつ・・夢が叶っている現状です。すごく毎日感謝して、充実してる時間を過ごしている。でも多分そういう悩んでいた時期があるから、ありがたみとか感じるっていうか、忙しかったり、余裕がなくても、「やりたいことをやらさせてもらってるし、やりたくてもできない人もたくさんいる中で、やらせてもらっているんだから」って思えるようになりました。

−やりたかったけど、やれなかった時期が長かったんですもんね。

西内まりや
テレビで歌っているアーティストさんを観てどれだけ「はぁ…出たい…」って思ったか・・・ 何度かレコーディングしたんですけど、特に何も進展せず…。

−西内さんって、いろいろ人気番組出たりして、とんとん拍子のイメージもあると思うんですけど。

西内まりや
デビューしたての頃はやっぱ若かったので、私生活の環境変化だったり、友達関係だったり一気に変わって。なかなか受け入れられなくて、すごく落ち込んで、ひとりぼっちだったんです。だからこそ、逆に踏ん張れたのかなと思うんです。「見返してやる!」って思うくらい悔しい思いもしたので。

−福岡出身のミュージシャンやタレントさんって、「見返してやる!」ってイメージがスゴイありますね。

西内まりや
(笑)。なんか、負けず嫌いなのかな?わかんないですけど。芯が強いんでしょうね。

−そういった悩みは抱え込んでいたんですか?

西内まりや
母にしか言えなくて…。友達のこと、学校のこと、仕事のこと…全部悩みはお母さんにしか言ってなかったです。で、母に言うと、「大丈夫、あんた。絶対神様見てくれとる」って言ってくれて、頑張れば絶対いいこと起きるよ!って。しばらく全然笑ってない時期とかもあって、とにかくつまらなくて。だから、今ようやくスタートラインに立ったのかなって感じです。自分の中で。

−メディアに出ている西内さんしか知らない人から見ると、「今がスタートライン」って聞いたらビックリする話ですよね。「もう人気者じゃん?」ってみんな思ってますよ。

西内まりや
常に満足しないというか、夢って持ち続けることってスゴイ大事なんだなって思ったし、それが生きがいだし、パワーになるので、せっかく1度の人生だし1回しか生きられないから今を楽しむべきだし、ホントにやりたいことをやるべき。夢を諦めたくなかったので、踏ん張ろうって自分で選択をしながら逃げずに向かってきたつもりです。

−昨年末のライジングフェスで発表された、自身で作詞作曲をした楽曲の弾き語りが良かったです。

西内まりや
いやいや、あれはもう、出来上がった3日後くらいだったんで…。譜割もまだ覚えてない、くらいの。だからもう変わってます。ライジングフェスは3日間で5公演やったんで、最初と最後の公演を見ると、だいぶ変わっているんです。

−演奏しながら変えていってるんですか?

西内まりや
ここ、ちょっと違うなと思ったら変えたり。

−じゃあ、だんだん自分で作詞作曲の曲も増やしていく?

西内まりや
はい、増やしていきたいですね。無理矢理作るのがイヤなので、そういうふうには作りたくないんです。思いがあふれ出るときに、また曲を作りたいし、うん。なんか今回はバラードで、しっとりと伝えたいという気持ちで作ったので結構しんみりですが、アップテンポだったり、元気のでるような、テンション上げたいときに聴くような曲も作りたいなって思ってます。

−基本ピアノで作るんですか?

西内まりや
そうですね。ってか、ピアノの方が幅が広いじゃないですか?色のつけ方が。だから弾き語りとなるとピアノの方がいいかなって思って。あと一応一番長く弾いているので。ギターはコード進行とかで、ちょっとメロディーつけるくらいなんですが、今後はギターの曲とかもやりたいですね。

−楽器が色々と出来るんですね。

西内まりや
勉強や、台詞覚えるのめっちゃ苦手なんですが(笑)。本音的な部分で言えば、もう「パン!」と思ったときに、感性でやりたいタイプなんです。考え込むタイプなんで、ダメなんですよ。ここもうちょっとこうしようとなると、もう、ああってなっちゃう。ライブとか生モノがすごい好き。

−ライブも増やしていきたいんですね?

西内まりや
はい。やりたいです!せっかく今までいろんなお仕事させてもらってるので…ファッションもそうですし、コントもやる、演技もやるとなると、何か違う演出もできそうだな、とか、ちょっといまワクワクしてます。

−ライブといえばなんですが、歌が上手い、と言うのはテレビなどでも話題ですが、その上でダンスもでき楽器も弾ける…なぜ何ですか?

西内まりや
自分ではわからないですけど…。中学1年生の時に事務所に所属してから、1年間レッスンを受けていて、ダンス・歌・演技・モデルのレッスンを毎週やっていたんです。それで、歌って踊るのがすっごい楽しくて。当時、中学生の時に、姉の高校で行われたカラオケ選手権みたいなのがあって、結構大きい、地元では有名な。そこに応募して、友達とユニット組んでダンスしながら歌ったらグランプリもらったんです!で、その時、「わたしこういうことやりたい」、ってその時から思ってました。憧れは、歌って踊れるアーティストさん。でも、チャンスもないし、東京に上京してからも、モデルの仕事と、演技のオーディションばかりで、音楽からどんどん離れていって…。それでもやっぱりピアノは弾きたいから、福岡からピアノを持って来て弾いたりとか、時間さえあればカラオケ行ったり、学校終わったらレッスン行ってダンスやったり…ひたすら音楽には常にふれてたんです。

−ライジングフェスでのダンスも見事でした。

西内まりや
もう、ずっとレッスンしかやってないんです。だからあのステージが初披露になります。

−そうなんですね。

西内まりや
あのイベントのリハまで鏡の前でしか踊ったことがなかったんです。鏡の前だと自分が見えるから、焦点が合いやすいんですよ、ターンした時とか。でも初めて、あの会場で、あの前の日に練習した時に、もうヨタヨタなっちゃって、難しくて。

−慣れなくて。

西内まりや
そう。もう、ステージ慣れしてないんで。だから1日目なんてガチガチですよ。

−その状態で、あのパフォーマンスって、本番強いですね(笑)。

西内まりや
度胸は、スポーツで据わってますね。

−だって、2000人以上いたじゃないですか、お客さんが?

西内まりや
いましたね。もう、始まっちゃったらやるしかないっていう。

−そんな中で、今後の西内まりやは、ダンスパフォーマンスがメインなのか?弾き語りがメインになるのか?どっちなんですか?

西内まりや
わかんないです。もう全部やりたいです(笑)。

−何でもかんでも、やってみたい?

西内まりや
やってみたいですね。だって、ダンスのよさは、カッコイイし、PV作ったらめちゃくちゃ見てておもしろいじゃないですか?そのテクニックを磨いたら、もっと楽しめる。逆に弾き語りは、聴いて、心に届く音楽も魅力的だし。全部魅力的すぎて(笑)。だから、これって絞っちゃうのは、今はもったいないかなって。で、ホントに自分に向いてること、自分のやりたいことを今後見つけていって、そこで絞っていけたらなってとは思うんですけど…でも絞って、っていうよりも全部やりたいし、やれそうだったら、やってみた方が、来てくださる方が楽しめるんじゃないかな。

−自分の評判とか、気になります?ライブの後にネットで調べたりとか。

西内まりや
やっぱり、Twitterとかネットとかって、リアルタイムな声がすぐ見られるので、気になるから見ちゃうんですよね。母親が一番気にしてます(笑)。すっごい繊細に気にするワケじゃないんですけど、単純にどういう風に見えているんだろうっていうので…何かイメージと違うとか、こんな声出るんだとか、こんな低い声で歌うんだとか色々ありますね。やっぱりガーリーでふんわりしたイメージがモデルの印象からあるみたいで、そういう意味では、やっぱりいい意味では期待を裏切られたっていう声が多かったりとか。いまだに、「歌ってないんでしょ?」ともよく言われますし(笑)。

−表現して、それが届くっていうことがすごく自分の中で一番しっくりくるってことなんですね。

西内まりや
対等でいたいんです、いつまでも。いままでは、「憧れの存在」「まりやちゃんみたいになりたい」って言われると、どんどん自分を隠してきたんです。いままでは、よそよそしいっていうか、「西内まりやです!楽しんでいますか?これからもよろしくお願いしま〜す」で終わってたんです。でも、それだけじゃ伝えたい思いは伝わらないと思って。ホントの心の声だったらボソっとマイクで言っても、会場にみんなが1000人いたってやっぱり「1人の心」にキチンと届くんだなって思ったし、それがホント反応が返ってくるので、話し方とかMCとかもすごい勉強になってます。

−こう話していると、感情がすごい出ますね、熱い!

西内まりや
一時期、スゴく悩んだ時期とか、心開けなくなっちゃった時期とかに、ホントに友達がひとりも出来なかったんです。もう、どこに行っても、自分で殻を作って、当たり障りのないことを言って、そうすると、残るものがなかった。気づいたらひとり、みたいな。そこからですね、どうやったらもっと距離が縮まるんだろうって…。スタッフさんもそうだし、後輩も先輩も同年代、同級生、みんな仲良くなれないって思った時期に、やっと最近、「自分が心を開けば、みんなも開いてくれる」んだって解って。最近は自然でナチュラルにいられるようになりましたし、まあ、何か、恐れずに自分らしくいられるようになってきました。

−そんな西内さんは、ブログで今年の抱負を「進化」と書きました。

西内まりや
止まりたくない。同じところにいたくなくて、3ヶ月後の自分、半年後の自分、1年後の自分がどんどん変わっていたい。だんだん、いろんなことが慣れてくるとわかってくるじゃないですか?お仕事だったり…その状況を把握したうえで、そこから追求したり、向上心をもたないと進まないと思うんです。で、そこをさらに追求して、どんどんレベルアップしていきたいって感じ。歌もそうですし、ファッションもですし、表現力もそうですし、それこそ作詞作曲やギターやピアノやいろいろやりたいことがいっぱいあって。やりたいことがあって、それを披露する場所があるのが、それがすごくありがたいのでやらないでどうする?って感じです。今まで披露する場所がなくてもやってたんで(笑)。だったら、いまは見てもらえる場所があるんだから、もっとやるべきだと思うし、楽しんでやるべきだし…でも、自分が見えなくなるくらい行き詰まちゃうと意味がなくて届かないと思うんです。だから、バランスは難しいなと思います。ずっと仕事ばっかりしてると、人間味もなくなっちゃう。

−そうですね。曲も作りづらくなっちゃう。

西内まりや
そう。だからなるべく友達と会ったりとか、家族と過ごしたりとか、犬と戯れたりとか、なんか普通の考えすぎない時間も平行してできたら嬉しいです。

−その先に進化があれば。

西内まりや
そうですね。

−例えばもっと具体的に、目標はありますか?

西内まりや
まずは、自分のライブをやりたい。去年はクリスマスライブをやったけれども、まだ曲が少ないのでホントにちゃんとした、何曲も発表できて、ライブがしたいです。それがいまの一番近い目標。そこをだんだん、たくさんの人に来てもらえるようになったら、もっと嬉しいし、できるだけ、いろんな方に会いに行きたいし、会いに来て欲しい。どんどん自分を出して、それをこう、一緒に楽しんでもらえる人たちといたいなって思います。

−西内さんの中で、モデル・演技・音楽は全てがつながっている感じ?

西内まりや
繋がっていますね。それぞれの仕事現場で、やることや求められることは全然違うけど、全然無駄にはなってないんです。全部生かされていて。何かひとつに絞ればすごく磨かれるけれど、3つやってるから、3つのパワーがひとつになると、きっと大きいものになって進化すると思うんで、そこを信じて、地道に、全力で、時には緩くいきたいです。

−モデル、女優、タレント、歌手…全てパーフェクトだったタレントさんていないと思います。いまの西内まりやには、そのまだ見ぬ領域への可能性が一番高いと思っています。

西内まりや
自分の中では、モデルは8年間やってきましたけれど全然これからだし、演技だってまだまだだし、音楽だって始めたばっかだし、ホントに全部、スタートラインです。これからです!

−今年は濃い一年になりそうですね。

西内まりや
はい。ありがとうございました。いい一年になるよう頑張ります!!