映画化が決定した大阪カルチャー中心地「味園ビル」が怪しくて楽しくてヤバい
今、大阪のサブカルチャーシーンで大いに盛り上がっている場所があると聞いて、実際に足を運んでみた。
場所は大阪中央区千日前。最寄り駅は、御堂筋線 なんば駅、南海本線 難波駅、千日前線 日本橋駅、堺筋線 日本橋駅。どの駅からも徒歩五分以内という、おそろしく交通の便が良い場所である。
いかにも大阪らしい、にぎにぎしいなんば千日前通を歩いて行くと、ドーン!! と巨大なビルが現れる。
「レジャーシティ味園ビル」という名の、巨大娯楽ビルである。佇まいから、昭和な雰囲気がプンプンただよってきて、いやが上にも期待が高まってくる。
看板にはビルの名前と共に「ユニバース」と書かれている。これは味園ビルの地下一階部分にあった、キャバレーの名前だ。
50年以上営業を続けてきたが、2011年に惜しまれつつも閉店してしまった。しかしそのゴージャスなホールは健在で、現在は映画の撮影やコンサートなど、貸しホールとして活躍している。
2015年2月14日に公開予定の『味園ユニバース』は、ユニバースを舞台にしている。『リンダリンダリンダ』『苦役列車』の山下敦弘監督の作品で、記憶を失った歌い手の主人公を渋谷すばるが演じる意欲作だ。
宴会場にホテル、BARまで…一日中楽しめるレジャービルそれでは一旦、最上階まで登ってみる。屋上は「宴会天国味園」というめでたい名前の大宴会場だ。なんと最大500人の宴会が出来る。年末年始には是非利用したい!!
そして3〜4階は、ホテルになっている。レジャービルは全国に数あれど、内部にホテルを有しているビルは珍しい!! お値段も安く、3600円から利用できるので、大阪に観光旅行に訪れた人も、飲み過ぎちゃって終電を逃した人も利用したい。
3階にはマッサージルームもある。30分の本格マッサージ1600円と利用しやすい価格だが、かなり丁寧な仕事をしてもらえると人気が高い。なんと深夜４時まで営業している。
そして、今一番話題になっているのが、味園ビル2階である。1階から、螺旋階段を登っていくのだが、その横には人工の噴水と滝が流れている。最近できたビルでは見ることができない豪華な光景だ。
そしてビル内に入ると、BARなどの飲食店がずらりと並んでいる。これがもう壮観なのだ。例えるなら、新宿のゴールデン街をビルのフロアにギュッと詰め込んだ感じ。ドアを開放していて中が見えるお店も多いのだが、どの店舗もかなり凝った作りをしている。ほんの一部だけ紹介すると……。
（右上）ちょっと和風な作りな店内と気さくなママが安らぐ「八咫烏」（右下）アングラ・サブカル・ヲタな空間が楽しい「深夜喫茶銭ゲバ」（左上）キュートなママ＆店内が楽しい「ニューコンコルド」（左下）カウンターがショーケースになっていてステキなアクセサリーを展示販売している「群青海月」
などなど個性的なバーが揃っていて、毎晩盛り上がりまくっている。
バー以外にも、アンダーグラウンドからエロスまで幅広いトークライブを繰り広げる『なんば紅鶴』など、いかにもサブカルなお店があって楽しい。
入り口で一番目を引くお店は「赤狼」かもしれない。赤いドアの横には立派な角を生やした、鹿の剥製が飾られている。
落ち着いた店内で振る舞われるのは獣肉。ワニ、イノシシ、クマ……など滅多に食べられないお肉を提供している。筆者は、カンガルーの肉野菜炒めをいただいたのだが、これがすごく濃厚な味で美味しかった。たまには変わった物を食べたいな〜と思ったら、足を運んでみてはいかがだろうか？
最後に紹介するのが、とても地味なのだが、駐車場だ。味園ビル内部は駐車スペースが大きく取られている。とても便利なのは当然なのだが、駐車場を歩いていると、変な場所にシャッターや、部屋の跡があったりするのだ。
「60年の歴史を誇るビルですから、このビルで働いている人でも全容を把握している人はいないと思います。隠し部屋があるとか、四神（青龍・朱雀・白虎・玄武）の壁画がどこかにあるとか、そんな噂もあるくらいです」
と、語ってくれたのは、なんば紅鶴のオーナーぶっちょカシワギさん。
まるで『ダ・ヴィンチ・コード』みたいにミステリアスな部分も、九龍城的娯楽ビルの魅力の１つなのだ。
本当に時間を忘れて楽しめる場所なので、大阪を訪れた際は、ぜひ足を運んで欲しい!!
（取材・文／村田らむ）
