静岡vs日大三島
静岡 16年ぶりの決勝進出
日大三島と静岡。9月27日に静岡大会準決勝で対戦した時は10対0で静岡が6回コールド勝ち。この時に打ち崩された日大三島のエース・小澤 怜史(2年)はリベンジに燃えていたが、県大会と東海大会の全試合で二桁得点を奪ってきた静岡打線が見事に返り討ちにした。
静岡の勝因は先手を取れたことと、二の矢、三の矢が見事に決まったことだ。｢じゃんけんに負けての先攻だった｣(安本 竜二主将＝2年)そうだが、その分、1回表の攻撃にはこだわった。
先頭の鈴木 将平(1年)がヒットで出塁した後、2番大石 智貴(2年)は初球から積極手に振っていき、レフトへ弾き返した。その後はマウンドの小澤が意地を見せて二死とするが、5番安本がライトへ2点タイムリーを放つ。大事な1回表、自分がアウトになるのと繋ぐのでは全然違うという気持ちだった安本は、この試合は抜群に球が見えていたという。
先手を奪った後の二の矢は、直後に見せた安本の盗塁。これが決まり、さらに相手キャッチャーの送球が逸れる間に三塁まで達した。結局このイニング3点目はならなかったが、ここで盗塁を決めたことで、相手バッテリーとの駆け引きで優位に立つことができた。
もう一つ、1回の攻防でポイントだったことがある、それは、裏の日大三島の攻撃。先頭の宮本が出塁すると、盗塁を仕掛けてきた。だが静岡のキャッチャー・堀内 謙伍(2年)の送球が勝ち、盗塁は失敗に。最初の盗塁を決めた静岡はこの試合で仕掛けた5回全て成功。逆に最初の盗塁に失敗した日大三島は、その後盗塁をすることができなかった。
4回、5番安本の本塁打と1番鈴木将のタイムリーで2点を追加した静岡。その裏、1年生エースの村木 文哉が一死二、三塁のピンチを背負う。だが点差があったことで、1点は与えても構わないとう守備隊形をとる。狙い通り、日大三島の5番小澤の犠牲フライのみに抑えた。
安本竜二主将(静岡)
そして5回表、静岡打線が三の矢となる攻撃を見せる。
このイニングでも起点になったのが主将の安本だ。先頭の3番内山 竣(2年)、4番堀内がいずれも初球を打ち上げて内野フライに倒れた。次は、｢(前の打者が)早打ちで、2球で2アウト。自分は球数を投げさせて何とか塁に出ようと思った｣という安本。日大三島の小澤が投じる球筋を冷静に見極めた。そしてフルカウントから自信を持って見送る。小澤にとってはこの試合初めてとなる四球だった。
嫌な形で走者を出した小澤は、次の6番平野 英丸(2年)に対しながらも、しきりに一塁を牽制する。安本も二塁に近い右足に体重をかけ、『走るぞ』という素振りを見せた。2ストライクからの3球目でスタート。投球はボールとなり、安本の盗塁が決まった。直後の4球目がワイルドピッチになり、労せずして三塁に進んだ安本。打席の平野はこの後ファウルで3球粘り、8球目をセンター前へと運ぶ。二死走者なしから、四球、盗塁、暴投を経てのタイムリー。両チームにとって大きな1点が刻まれた。
｢秋の大会でもう一度全国の舞台を味わうと決めている｣(安本主将)と新チーム結成時に明治神宮大会出場に目標を定めた静岡。インタビューを終えると、ナインの表情は決勝へ向けて引き締まっていた。
敗れた日大三島だが、全員が残って外野スタンドで第2試合を最後まで観戦している光景が印象的だった。悔しさをバネに、夏へ向けてチームがどう進化するか楽しみである。
