一流外資系のビジネスパーソンは部下のミスをいかにして脱したのか

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 最近はほどほどに働いてほどほどの収入が得られて幸せに暮らせればよいというワークバランスを重視した考え方をする若者が増えている。
 とはいえ、日々、成長し、ばりばり働いて収入もアップしたいという仕事に関して上昇志向の高い人も少なくはないはずだ。

 『外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術』(川井隆史/著、日本実業出版社/刊)では、著者の川井氏が一流の外資系企業で学んだ、どこでも通用する仕事のルール50を紹介する。川井氏は、大学卒業後、政府系金融機関を経て、アーサー・アンダーセン、日本コカ・コーラ、GEの外資系企業3社で財務、経営企画関連のディレクター、マネジャーを歴任し、各社で実績を残した人物だ。

 川井氏がGEの事業計画責任者のとき、利益が出ないはずなのに出ると報告するという誤りをしてしまったことがある。予算の積み上げの際、部下からもらった資料に計算間違いあり、それを見落としてしまったのだ。
 川井氏の頭にまず浮かんだのには、上司に怒られるだろうか、左遷されるのではないかということ。次に、もともと計算を間違えたのは川井氏の部署のナンバーツーのかなり経験のある人間であり、彼を責める言葉が浮かんだ。最後に、そもそも日本法人社長がプレゼンの前日に重要なパラメーターを変える決断をしたため、損益計算をすべて徹夜でやり直さなければならなかったからだと、社長を責める言葉が出た。
 ミスが起きた場合、自分以外にも要因があったり、部下とはいえ誰かのミスのせいであれば、内心では責める言葉や言い訳が浮かぶのは誰にでもあることだろう。ただ、川井氏は最初の衝撃から立ち直ったところで「悩みの損切り」をした。考え得る最悪の結末を思い浮かべ、そこで悩むのをやめたのだ。
 次に川井氏が考えたのは、間違って報告を受けた社長や上層部は何をしてほしいだろうかということ。言い訳をくどくど聞きたくはないのはたしかなこと。そこで、川井氏は正しい結果を出すと共に、上層部が望んでいたような数字を達するための新たな要素を考えて社長に報告した。短いお小言は頂いたものの、この件はこれで終わったという。

 すぐに成長する人は、何か大きなミスを犯したり、トラブルに巻き込まれたとき、「悩むよりも考える」タイプの人が多い。「悩みの損切り」をすれば早く開き直れ、とりあえずどうやって事態を打開するかに気持ちを切り替えることができるのだ。
 「すぐ成長する」からには、自分の時間を削ってでも仕事をして、努力し、苦しい思いもすることが必要となる。外資系の会社など、厳しい環境に身を置いてみるというのも1つの手だろう。外資系企業で働かないまでも、本書で紹介されている「すぐ成長する」仕事術は、現状維持から脱するためのきっかけになるはずだ。
(新刊JP編集部)