豪華な外国人助っ人とともに歩んできたレアル・マドリーの輝かしき歴史

写真拡大 (全5枚)

 2014-2015シーズンに向けての補強として、レアル・マドリーはブラジル・ワールドカップで大飛躍を遂げたビッグネーム3人を獲得した。
 
 MVP級の活躍を見せてドイツの世界制覇に貢献したMFのトニ・クロース、得点王に輝き、一躍世界中から注目の的となったコロンビアのハメス・ロドリゲスを迎え、さらに快進撃を見せたコスタリカの守護神ケイラー・ナバスとも入団で合意したとされている。
 
 3選手ともに、大会前からクラブレベルで大いに評価されていた選手だが、ワールドカップという大舞台での活躍によってさらなる箔が付いたことで、R・マドリーは迷わず獲得に動いた。
 
 さらに、一時はCFのオプションとしてラダメル・ファルカオやロメル・ルカクの獲得も噂されたが、こちらはカルロ・アンチェロッティ監督が否定。もっとも、8月末の移籍市場が閉まるまでは、何が起こっても不思議ではなく、突然のビッグニュースが世界を駆け巡る可能性は否定できない。
 
 さて、R・マドリーといえば、いつの時代にも世界トップクラブの自負の下に、ワールドクラスの選手を獲得してきた。その歴史が始まったのは1953年。アルゼンチン生まれのアルフレッド・ディ・ステファノをコロンビアのミジョナリオスから迎えた時だ。国内でもライバルの後塵を拝していたクラブが、ここから世界に冠たる高貴なクラブへと上昇していく。
 
 55 年にスタートしたチャンピオンズ・カップ(現リーグ)の初代王者となったR・マドリーは、56年にフランスの大スターだったレイモン・コパ、58年にはハンガリーの天才フェレンツ・プスカシュを次々に獲得して、チャンピオンズ・カップ(現リーグ)5連覇という、いまだ破られていない大記録を樹立した。
 
 その後、70年代にはクラブ、代表ともに世界の舞台で結果を残していた西ドイツから、ギュンター・ネッツァをはじめ、パウル・ブライトナー、ウリ・シュティーリケといった優秀な中盤の選手を迎える。そして80年代にはアルゼンチンからホルヘ・ヴァルダーノ、メキシコからウーゴ・サンチェスというストライカーを獲得。後者は5度のリーグ得点王に輝き、歴史に名を残した。また88年には、宿敵バルセロナから西ドイツ産の華麗なMFベルント・シュスターを迎えるという、“禁じ手”も行なっている。
 
 80年代といえば、セリエAが最盛期を迎え、世界のトップスターはイタリアに集中していたが、そのなかでも頂点にいたディエゴ・マラドーナ(バルセロナに在籍していたこともある)には、何度かR・マドリー行きの噂が流れたものである。
 
 90年代に入ると、「東欧のマラドーナ」と呼ばれたルーマニアのゲオルゲ・ハジ、ユーゴスラビア(後にクロアチア)の天才ロベルト・プロシネツキを獲得するも、この頃は補強が奏功せず、ヨハン・クライフ率いるバルセロナの後塵を拝していた。
 
 しかし94年、そのバルセロナから禁断の移籍を果たしたデンマーク人トップスター、ミカエル・ラウドルップやアルゼンチンの優雅な中盤の司令塔フェルナンド・レドンド、そしてチリの点取り屋イバン・サモラーノなどの活躍で、R・マドリーは宿敵の5連覇を阻んだ。
 
 
【写真で見る】スターとともに歩んだレアル・マドリーの歴史(1955〜2014)
 クラブ史上初のイタリア人監督ファビオ・カペッロを迎えた96年には、ボスマン裁定によってEU圏内での外国人枠が撤廃。ドイツのボド・イルクナー、カペッロ監督がミランから連れてきたクリスティアン・パヌッチ、オランダのクラレンス・セードルフ、ユーゴスラビア(現セルビア)のプレドラグ・ミヤトビッチ、クロアチアのダボル・シュケル、そしてロベルト・カルロスなど、GKからFWまで多くの外国人選手が加入した。
 
 97年にはフランスのクリスティアン・カランブーを加え、このシーズンに66年以来のチャンピオンズ・リーグ制覇を達成。その後も99年にフランスの新星ニコラ・アネルカを獲得したR・マドリーだが、さらにクラブのグレードを高めることになったのが、2000年のフロレンティーノ・ペレス会長就任だ。
 
 当時、バルセロナでプレーしていたルイス・フィーゴの獲得、さらに毎年、ワールドクラスのスター選手を獲得して「銀河系軍団」を創成することを公約に掲げたペレスが会長となったことで、R・マドリーは、これまで以上に世界中からの注目を浴びる存在となったのである。
 
 01年にジネディーヌ・ジダン、02年にロナウド、03年にデイビッド・ベッカムと年々豪華さを増したていったが、その一方で偏った補強(前線の選手ばかり増えて守備的MFが不足)で逆にチーム力は安定せず、04年から2シーズンは無冠に終わるなど、クラブの方針が疑問視されることもあった。
 
 しかし06年にカペッロ監督が二度目の指揮で現実的なチーム作りで基盤を整えると、以降は09-10シーズン以外、全てのシーズンでタイトルを獲得してきた。その一方で、08年にはクリスチアーノ・ロナウドとカカというビッグネームを同時に迎え入れるなど、クラブの基本的方針は何ら変わることがなかった。
 
 もちろん、R・マドリーを輝かせるのは外国人選手だけではない。66年に欧州制覇を果たしたチームは国内選手で構成されたものだったし、何よりEURO2008以降、スペイン代表自体が世界で最も価値の高いブランドとなったことで、R・マドリーもシャビ・アロンソのような他国リーグでプレーしていたスペイン代表選手を獲得したり、これまで以上に国内産の逸材の獲得に積極的となっている。
 
 とはいえ、世界一を自負するクラブには世界から到来したトッププレーヤーが必要だ。その図抜けた実力でチームの勝利を保証しながら、さらに豪華さというプラスアルファの彩りを添える要素も……。歴代移籍金ランキングでは、ガレス・ベイル(推定1億ユーロ)を筆頭に、C・ロナウド、ジダン、カカ、フィーゴと、上位のほとんどを占めているR・マドリーだが、今シーズン、ハメス・ロドリゲス(推定8千万ユーロ)がこれに加わった。
 
 常に強者であると同時に、魅力的な集団として歴史を紡いできたR・マドリー。その揺るがぬ哲学は、今後も永久に続いていくのだろう。それはつまり、観る者にとっても永遠に楽しみや興味が続くことを意味している。
 
 
◆2000年以降にR・マドリーが獲得した主な外国人選手
<2000-2001>
フィーゴ(MF・ポルトガル)、ソラーリ(MF・アルゼンチン)、マケレレ(MF・フランス)
<2001-2002>
ジダン(MF・フランス)
<2002-2003>
ロナウド(FW・ブラジル)
<2003-2004>
ベッカム(MF・イングランド)
<2004-2005>
オーウェン(FW・イングランド)、サムエル(DF・アルゼンチン)、グラベセン(MF・デンマーク)
<2005-2006>
ロビーニョ(FW・ブラジル)、J・バチスタ(FW・ブラジル)、カッサーノ(FW・イタリア)
<2006-2007>
カンナバーロ(DF・イタリア)、ファン・ニステルローイ(FW・オランダ)、エメルソン(MF・ブラジル)
<2007-2008>
スナイデル(MF・オランダ)、ロッベン(FW・オランダ)、サビオラ(FW・アルゼンチン)
<2008-2009>
ファン・デルファールト(MF・オランダ)
<2009-2010>
C・ロナウド(FW・ポルトガル)、カカ(MF・ブラジル)、ベンゼマ(FW・フランス)
<2010-2011>
ディ・マリア(MF・アルゼンチン)、エジル(MF・ドイツ)、ケディラ(MF・ドイツ)
<2011-2012>
コエントラン(DF・ポルトガル)、シャヒン(MF・トルコ)
<2012-2013>
モドリッチ(MF・クロアチア)
<2013-2014>
ベイル(MF・ウェールズ)
<2014-2015>
クロース(MF・ドイツ)、J・ロドリゲス(MF・コロンビア)