浦和学院・小島 和哉、美里工・伊波 友和の気迫あふれる投手戦となった試合。 連投となった小島 和哉だが、昨日の疲れも見せないかのようなピッチングを疲労。3、4、5回に単打を一つずつ与えるだけでお役御免となった6回も三者凡退で締めるなど、無四球の 52 球。二日間合わせて 15 イニング連続無失点で沖縄のファンにその勇姿を刻み込んだ。

 だが、その小島 和哉をさらに上回ったのが伊波 友和だ。3回に盗塁で二塁ベースの占有を許したものの、5回を投げて2奪三振1四球ノーヒットと完璧だった。昨年の九州秋季大会決勝戦で煮え湯を飲まされた沖縄尚学へのリベンジを果たし、関東一に敗れた選抜での借りを夏の聖地で返すという高き目標を掲げるエースに、死角は無くなりつつある。

 美里工は二番手に島袋 倫が登板。二つの四球を許すが津田 将希と代打の西野 真也から三振を奪うなどまずまずのピッチングと言えようか。

 浦和学院も二番手の小倉 匡祐が踏ん張る。7回には一死一・二塁と走者を背負うも、田畑 瑛仁が二塁へ牽制しアウトにして助けるなど、無失点に抑えた。

 一番の見所となったのは8回。二死一・二塁とした浦和学院は代打の諏訪 賢吉がライト前へ運ぶ。もちろん本塁を狙った二塁走者だが、美里工にはこの男がいた。強肩はもちろん、常にグローブに吸い込まれるような送球の高さと、何よりも"攻め"の姿勢を見せる積極果敢な守りが売りの松堂 正だ。ライトからの見事なレーザービームが與那嶺 翔のミットへ届きタッチアウト。両軍ともに長打を許さず、投手を中心として築き上げてきた堅守を披露したゲームで、9回規定により引き分けとなった。

(写真・文=當山 雅通)