龍谷大平安vs立命館宇治 堅守の龍谷大平安。投手起用も冴え、サヨナラ勝ちで春季大会優勝!

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堅守の龍谷大平安。投手起用も冴え、サヨナラ勝ちで春季大会優勝! 

最速141キロを計測した山上大輔(立命館宇治)

 龍谷大平安vs立命館宇治2011年夏の決勝戦以来のカードである。試合は終盤まで手に汗握る試合展開となり、お互い近畿大会出場を決めた後の決勝戦とは思えない緊張感があった。

 龍谷大平安の先発は左腕・高橋 奎二。立命館宇治は準決勝に続き、エースの山上 大輔が先発となった。

  高橋は立ち上がりから135キロ前後の快速球、キレのあるスライダーで三振を奪ったが、2番村尾が右前安打を放ち、二死一塁から4番林がレフトの頭を越える二塁打を放ち、先制に成功。龍谷大平安は一死三塁のチャンスを作り、バッテリーミスで同点に追いつく。

 3回裏、龍谷大平安はバッテリーミスで勝ち越した後、さらに二死満塁から5番石川の左中間を破る三塁打で、5対1と勝ち越しに成功する。さすが龍谷大平安。一瞬のチャンスを逃さず、しっかりと試合の主導権を握る。

 立命館宇治の先発・山上は序盤で5失点したが、ここからしっかりと立て直していった。右オーバーから振り下ろす直球は常時135キロ〜140キロ(最速141キロ)を計測。最速144キロを計測するというが、連投で、やや球威が落ちているとはいえ、コンスタントに130キロ後半を計測する馬力の強さは魅力的。

 打たれようが、動揺を見せることなく、130キロ後半の速球、キレのあるスライダーを低めへ投げ、龍谷大平安を打たせて取る投球を見せる。もう少しストレートに強弱を付けると、より速球が活きる予感をしたが、精神的にも図太さがある投手で、面白い右腕だった。

 高橋は5回まで1失点で好投をしていたが、5回表、3番奈良が高めに入った直球を逃さず、レフトスタンドへ飛び込む本塁打で、5対2とされてから、コントロールが乱れるようになった。球威も落ちて、それまで爽快感のある投球を見せていた高橋ではなかった。二死一、二塁にされて、なおもピンチ。だが龍谷大平安はここで継投策が出来るのがストロングポイント。エースの中田 竜次(3年)を投入する。中田は7番森田を打ち取る。

 

三塁打、サヨナラ打を放った石川(龍谷大平安)

 中田 竜次は全力投球。右スリークォーターから常時135キロ〜140キロの速球、スライダーのコンビネーションで6回表を無失点に抑える。しかし7回表、無死満塁のピンチを迎え、5番伊藤を空振り三振、6番村井を三ゴロに打ち取って、二死満塁したまでは良かった。しかし7番森田の打席で、バッテリーミスで5対3の2点差を追い上げられると、7番森田が同点となる右前適時打を放ち立命館宇治が5対5の同点に追いつく。

 立命館宇治は8回表にも二死一、二塁のチャンスを作り、5番伊藤が右中間へ鋭い当たり。普通の外野手ならば抜けていてもおかしくない。だが龍谷大平安のセンターは俊足堅守の徳本 健太朗である。全速力で打球に追いつき、絶妙なダイビングキャッチ! 1点を阻止した守備であった。

 龍谷大平安はやや捉え気味だった中田を交代し、左腕の元氏 玲仁を投入する。投手の球威が落ちて、捉えられそうと判断したら、すぐに交代するのはまるでプロ野球のような投手起用。それが出来る龍谷大平安の投手力は全国でも随一といっていいだろう。

 元氏はやや外回りな腕の振りの軌道から130キロ中盤の速球を投げる左腕だが、選抜に比べると腕の振りが鋭くなり、コンスタントに135キロ前後を計測し、よりパワーアップした姿を見せてくれた。腕が鋭い分、スライダーも手元で鋭く曲がり、無失点に抑える。

 そして9回裏。1番徳本が四球で出塁。2番大谷 司の犠打で一死二塁となって、3番中口 大地は三ゴロで二死二塁となったが、5番河合 泰聖の左前安打で、二死一、三塁として、3回に走者一掃の三塁打を放った石川が右前適時打を放ち、サヨナラ勝ちを決めた。

 龍谷大平安は緊張感のある試合でもガッチリとした守備で、無失策。投手起用も冴えて、接戦をモノにした。優勝を決めて、モチベーションを保つ難しさを感じていると思うが、こういう接戦をモノにすることで、夏へ向けてよりチーム力は上がっていくのではないだろうか。

 2週間後に近畿大会が開幕するが、さらに状態を高め、攻守ともに力強い野球を見せるか注目していきたい。

(文=河嶋 宗一)