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●かつてモンハンを遊んでいて、今は離れてしまった人たちへ人生でもっとも夢中になったゲームタイトルを挙げろと言われたら、真っ先に出てくるのが『モンスターハンターポータブル 2nd G』、いわゆる『MHP2ndG』である。ほかにもハマった作品はいくつかあるが、のべ数千時間を費やしたゲームは、後にも先にもこれ一つだけだ。筆者にとっては初めてのモンスターハンターでもあり、さまざまな出会いをもたらしてくれた思い出深い作品でもある。

そんな『MHP2ndG』が、なんとiPhone/iPadでリリースされるという発表が飛び込んできた。(現在配信中/1,600円)えっ、いやまさか、嘘でしょう!?……思わずそんな風に聞き返してしまうくらいには衝撃であった。頭の中は「?」でいっぱいだ。本当にフルパッケージで移植されるのか。グラフィックはどうなるのか。そもそも本当にiPhoneで動くのか。PSPのすべてのボタンを駆使した複雑な操作はタッチパネルでどうなるのか。疑問は尽きない。

百聞は一見にしかず。実際に『MhP2ndG』をプレイして、そのあたりを確かめてみるこ とにしよう。幸い、本作の製作陣にも話を聞くことができたので、そちらと合わせて本作をレビューしていくことにする。

先に言っておくと、今回の『MHP2ndG』はオリジナル版とほとんど同じ内容、つまりフ ルパッケージだ。イベントクエストもコラボ系を除き、最初からすべて入っている。昨今のスマホゲームはアプリ本体を無料で提供し、アイテムやガチャに課金するというシステムが主流になっているが、『MHP2ndG』はあえて「1,600円で売り切り追加課金なし」と いうスタイルでリリースされた。実はここはカプコン社内でもかなり意見が分かれたところだという。

単純に儲けることだけを考えるなら、アイテム課金やガチャを用意した方が間違いなく稼げるからだ。ビジネスである以上、より収益性の高い方向へ流れるのは仕方ないし、実際カプコンからもそうしたスマホゲームは多数リリースされている。

しかし、確実にそっちの方が儲かることがわかっていても、製作陣はあえて今作を売り切りスタイルで販売することにした。「『MHP2ndG』に関しては、どうしても売り切りで やりたかったのです」と担当者は言う。なぜなら、本作は「かつてモンハンを遊んでいて、今は離れてしまった人に戻ってきてもらいたい」のが最大の狙いだからだ。

MHP3rdでもなく、MH3(トライ)でもなく、『MHP2ndG』を選んだのもそのためだ。「MHP2ndGは、モンスターハンターシリーズが世の中に広まるきっかけになった作品」であり、多くのモンハンユーザーにとって特別なタイトルなのである。

さあ、起動してみよう。アプリを立ち上げると、カプコンのロゴに続いて、懐かしいオ ープニングムービーが流れ始める。次にタイトル画面。キャラクターを作成して、ゲームスタート。このあたりの流れはオリジナル版とまったく同じである。

●グラフィックはすべてHD化という気合の入れようハンターの目が覚めると、そこはポッケ村だ。懐かしさのあまり、しばらく村の中をぐるぐると歩きまわってみた。操作はもちろんタッチで行う。画面左下にアナログパッドに当たるバーチャルパッドがあり、右下に各ボタンに対応したアイコンが配置されている。レスポンスも良好だ。画面を切り替えた際のロード時間が短くなっているところなどは、むしろオリジナル版よりも進化している。iPhoneだとメニュー画面の文字がかなり細かいのがちょっと気になるが、慣れればそれほど問題はない。

村をうろうろしながら、ふとグラフィックの精細感が増していることに気づいた。そう、iPhoneはゲーム専用機よりも解像度がかなり高いため、グラフィックをそのまま移植すると、なんだかボヤッとした画面になってしまうはずなのだ。それが逆に精細に感じられるということは……。

「iPhone/iPadの高精細なディスプレイに対応して、グラフィックはすべてHD化しています」(担当者)

やっぱりそうだったか! 昔の解像度のままiOSに移植されるタイトルも多い中、『MHP2ndG』はかなりの気合の入れようだ。それにしても、PSPの画面は当時めちゃくちゃ綺麗だと感じたものだが、6年も経つともうスマホにはぜんぜん敵わない。この業界の進化のスピードは本当に速い。

さて、さっそくクエストを受注して出かけてみよう。まずは簡単なところで小型モンスター討伐クエストから。武器は弓を選択した。

クエストが始まったら、とりあえず操作の練習からやってみよう。『MHP2ndG』の操作やボタン配置はかなり練られていて、意外にも(?)快適に操作することができる。たとえば アイテムはタッチですぐ使用できたり、ボタンの同時押し操作がフリック入力に割り当てられていたりといった具合だ。そりゃあボタンの方がやりやすいのは間違いないが、あの複雑な操作をタッチパネルに最適化して落とし込んだだけでも拍手ものだと思う。

それでもやはり、押した感触が指に伝わらないタッチだけでは思うように立ち回れないないことも多い。そんな初心者のために、今回のiOS版ではオリジナル版にはなかった「タ ーゲットカメラ」機能が搭載されている。さらに、本作オリジナルの機能としてモンス ターを常に正面にとらえてくれる自動追尾カメラモードも用意。ディスプレイが小さい iPhoneにとっては、これがあるとないとではクエストの難易度ががらりと変わる。特に久しぶりのモンハンだというハンターは、ぜひオプションメニューからターゲットカメラをオンにしてプレイしてもらいたい。

ちなみに画面全部がタッチパネルになっており、フリックで視点切り替え、タップでカメラが正面を向く。これをうまく使えば懐かしの"モンハン持ち"も可能だ。

このほか、操作は細かいところまで気が配られている。たとえば抜刀状態ではアイテムが使えないことを示すためアイコンがブラックアウトしたり、アイテム欄をフリックでも左右に送れたりする。

●個人的にはほぼ100点の移植といえる出来製作陣としてもこのインターフェースは相当考え抜いて作ったそうで、約1年の開発期間の多くはここに費やされているという。

「操作だけでなく、レスポンス面でも細かく調整しています。例えば走っているハンターが立ち止まって切り返し、逆に走るという場合、ボタンとタッチパネルでは押してからハンターが反応するまでの時間を変えないと、プレーヤーが違和感を覚えてしまうのです」(担当者)

さらに、それでももっと本格的にプレイしたいという人のために、今回HORIにてBluetoothで接続できる「MFi」規格に対応したゲーミングコントローラーを開発中とのこと。左右アナログスティックに4つボタン、4つのLRボタンなど、PSコントローラーの操作系をほぼ踏襲。実際に操作してみたが、特にラグも感じられずストレスはない。自宅でじっくりやり込みたいときにオススメしたい。

さて、モンハンといえばマルチプレイだ。今回もWi-Fiに接続することで、最大4人でのマルチプレイを遊ぶことができる。実際に試してみたが、ラグもなく、オリジナル版と遜色なく遊ぶことができた。Wi-Fi接続なので、プレーヤー同士は遠くにいても問題ない。ただし、『MHP2ndG』はデータ量が多いため、モバイル通信やBluetoothでのマルチプレイはどうしてもラグが発生してしまう。そのため、プレーヤー同士が目の前にいたとしても、マルチプレイはWi-Fi接続時のみに限られるという。

「本当はBluetoothでのマルチプレイができるようにしたかったのですが、モンハンのようなアクションゲームではちょっとしたラグがストレスにつながります。2人プレイに限定すればBluetoothも可能だったかもしれませんが、4人でプレイできないモンハンは本来のモンハンではありません。今回は『MHP2ndG』を完全な状態で提供することが目標でしたから、4人で遊べないゲームにすることは考えられませんでした」(担当者)

なるほど。でも可能であれば、2人プレイ専用でいいのでBluetoothマルチプレイを実装してほしかったかも。

ともあれ、単なる移植ではなく、もう一度モンハンの新作を作るくらいの意気込みとこだわりが感じられた『MHP2ndG』。1,600円というパッケージ売りはかなりのチャレンジだ が、これが売れれば他のタイトルの移植なども現実味を帯びてくるかもしれない。

○『モンスターハンターポータブル2nd G for iOS』プロモーション映像

『モンスターハンターポータブル2nd G for iOS』は、Wi-Fiでしかマルチプレイできない点を除けば、個人的にはほぼ100点の移植といえる出来だった。 最近のスマホは「無料+アプリ内課金」のゲームが多すぎて、それはそれで楽しんではい るのだけど、やっぱりちょっと食傷気味だ。無課金プレーヤーと課金プレーヤーが混在 すると、ゲームバランスにはどうしても不満が出てくるしね。『MHP2ndG』が呼び水となって、こうした売り切り型のゲームがもう一度復権するといいなぁと思うのだ。■モンスターハンターポータブル 2nd G for iOS対応OS:iOS6.0以上ジャンル:ハンティングアクション配信日:好評配信中価格:1,600円プレイ人数:1人(通信プレイ時最大4人)※3G回線を使用した通信(協力)プレイには対応しておりませんので、ご注意ください。※通信(協力)プレイをより快適に楽しむには、通信環境の良い場所でのプレイを推奨し ます。対応周辺機器:MFiゲームコントローラー対応

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(山田井ユウキ)