東北生文大高が創部初の県大会出場 

東北生文大高・浅沼

 県大会出場最後の切符をかけて戦った泉館山と東北生文大高。 7対0の8回コールドで、東北生文大高が勝利し、2007年創部後、春秋通じて初の県大会出場を決めた。

 敗者復活戦は負けたら終わりだ。 東北生文大高は前日、仙台一と死闘を繰り広げ、“首の皮一枚”の状態でこの試合を迎えた。 仙台一との試合は、時折、雨も落ちる中、延長14回を戦った。1対2で迎えた9回表に1点を返して追いついた。 10回表に1点を加えるも、暴投で1点を返され、11回表に1点勝ち越すも、またもや同点に追いつかれた。 12、13回と両者無得点で迎えた14回、東北生文大高は3点を奪って突き放し、その裏を0点に抑えて勝利した。

 ゲームセットは16時20分。13回の先頭に四球を与えたところで降板した先発・浅沼 海渡の投球数は206球だった。

 その翌日のゲームである。東北生文大高には中部地区予選初戦で好投した2年生右腕・森川 龍之介がいたが、今大会中におたふく風邪を発症して入院。5日に退院したものの、当然、ベンチは外れている。

 前日、13回途中から登板した荒木 健汰もいたが、この日の先発は浅沼だった。 昨晩、整骨院で入念にマッサージをしてもらったという浅沼。ほどよく力が抜け、泉館山打線を寄せ付けなかった。 結局、4回に一・二塁間を破るヒットを打たれただけで、完封してみせた。

 

応援席に駆け出す東北生文大高ナイン

 打線もバックアップ。2回に4番・高橋 祐人の三塁打に5番・及川 元聡が二塁打で続いて先制。 6回も高橋、及川の連打の後、6番・阿部 樹が犠打を決め、1死二、三塁として7番・渡辺 太斗の犠飛、8番・大橋 輝のライト前タイムリーで追加点を奪った。

 7回にも2点を加えた8回、2死一、二塁から1番・佐藤 智輝のライト前ヒットで1点追加。さらにエラーが絡み、一走・浅沼もホームイン。7点差となり、コールドゲームが成立。 東北生文大高にとって創部初の県大会出場が決まった瞬間だった。

 3月まで石巻商の監督だった、水沼 武晴監督は4月8日に就任したばかり。まだ、ひと月経っていない中での快挙だ。

 関係者の喜びもひとしお。4年目の佐藤 俊輔部長は涙した。佐藤部長は水沼監督が仙台商で指揮を執っていた時の教え子。 「当時に比べ、“仏の水沼”になってしまいましたが(笑い)、チームは雰囲気が明るくなって、子どもたちに笑顔が増えました」とまた涙。

 及川主将は「気持ちを抑えきれないです」と胸いっぱいの様子で、連投となった浅沼は、「県大会出場を意識して投げました。自分でもビックリです」と、1安打完封劇に自分で驚いていた。そして、県大会を見据え、「ストレートに自信があります。今日のようなピッチングをしたいです」と意気込んだ。 及川主将も「まずは県大会で1勝して、勝ちを重ねていきたいです」と目標を話した。

(文・高橋 昌江)