塩釜が29大会ぶりの県大会出場を決める

 県大会出場を懸け、敗者復活戦を勝ち抜いた泉松陵と塩釜がラストチャンスに挑んだ。

 試合は3回、ここまで好投を続ける塩釜の先発・宮井 大治のセンター前ヒットで動いた。続く1番・相澤 友彦が四球で歩き、2番・久保 京太が犠打を決めて1死二、三塁。3番・水間 幹也の犠牲フライで1点を先制した。 さらに4番・千葉 文月が四球を選ぶと、5番・土井 礼斗の打球をショートがエラー。これで1点を加え、塩釜は2点のリードに広げた。

 しかし、4回、泉松陵が反撃に出る。4番・及川 雄飛のセンター前ヒットで1点を返すと、6番・高橋 風樹のレフト犠牲フライで同点に追いついた。

 この後、塩釜は幾度も得点圏に走者を置いてチャンスを作るも得点に結びつけられず。泉松陵は二塁すら踏めなかった。 得点が入る気配がなく、2-2のまま進んだ延長13回、塩釜の6番・小野山 洸人が一死から左中間を破る三塁打を放つ。 そして、6番・清野 政尭のショートゴロの間に勝ち越しのホームイン。その裏、塩釜は2死から走者を背負ったが守りきり、3-2で勝利した。

 塩釜は1984年以来の県大会出場だ。2011年春、東日本大震災の影響で宮城県大会(地区予選も含む)は中止となったため、29大会ぶりの出場となる。

 佐藤 純二監督から、しばらく、県大会から遠ざかっている事実を聞かされていた塩釜ナインは喜びいっぱいだ。

 阿部 裕太朗主将は、「県大会出場を目標にやってきたので良かったです。私生活や清掃活動に力を入れてきたので、そういったところから見えない力が出たのかもしれません」と振り返った。現チームは練習前の清掃活動を毎日に増やし、学校生活でも制服の着こなし等に気を付けてきたという。 さらに、冬の1ヶ月ほど、現3年生は練習から離れ、塩竈市内の清掃活動に取り組んだ。自由奔放で身勝手な選手たちが、この1ヶ月で協調性を持てるようになり、「野球に対する思いが強くなった」と阿部主将。チームのまとまりで得た29大会ぶりの県大会出場だ。

 先発し、好投した宮井は背番号10。昨秋はエースナンバーを背負ったが、肘の故障により、梅津 栄朗に譲っていた。 敗れはしたが、準々決勝の東北戦で「変化球やボール球の使い方を覚えた」と、復活の兆しを見つけ、敗者復活戦を勝ち上がる原動力になった。

 さぁ、目標にしてきた県大会。 「厳しい勝負が増えると思いますが、粘り強くやっていけば結果はついてくると思います」と阿部主将が言えば、「勝ち進んで仙台育英や東北を倒すことを目標に頑張りたい」と宮井。

 「頑張って来た成果を勝って味わわせたかった」という佐藤監督は、「この中部地区を抜けるということは、県では8強くらいの力はあると思います」と自信をのぞかせた。

(文・高橋 昌江)