現地時間3月23日(日)21:00、スペインの首都マドリードにあるサッカースタジアムの1つサンティアゴ・ベルナベウで全世界が注目する戦いが行なわれる。

 レアル・マドリード対バルセロナ、スペインだけでなく世界を代表する伝統の一戦"クラシコ"、ライバル心、情熱、誇り、歴史、街そして人々の思い......この日、2チームはただリーガタイトルを懸けて勝点3を争うのではない。

レアル・マドリードとバルセロナの試合はピッチの中で完結しなければいけないサッカーの中の戦争」とバルセロナのスペイン代表MFイニエスタが表現するように、クラシコは両チームにかかわるすべてのことをエネルギーとして呑みこみ、ピッチ上で爆発させるサッカーの戦い以上の試合だ。

 両チームに与えられた武器は1つだけ。直径22cm、重さ450gのボール。その武器の主導権を握り、相手ゴールに叩き込むため、メッシ、クリスティアーノ・ロナウドをはじめとした世界トップクラスの22人がサンティアゴ・ベルナベウの芝の上でしのぎを削り合う。

 20世紀最高のクラブであるレアル・マドリードと、欧州ナンバー1を意味するチャンピオンズリーグタイトルを21世紀に3度獲得しているバルセロナの戦い。サンティアゴ・ベルナベウのリーガでの対戦成績は、ホームチームが51勝17敗15引き分けと圧倒しているが、ここ5年の対決では欧州の覇者として君臨しているバルセロナが3勝1敗1引き分けと結果を残してきた。

 だが、今回のクラシコではレアル・マドリード有利の声を聴くことが多い。その一番の理由は2014年の成績だ。レアル・マドリードはリーガ10試合で9勝1引き分け28得点5失点。1試合平均2.8得点の破壊力を持つ「BBC」と名付けられたベンゼマ、ベイル、クリスティアーノ・ロナウドを旗頭とした攻撃に注目が集まる。だが、それ以上に7試合を無失点に抑えているセルヒオ・ラモス、ペペを中心とした堅固な守備が今のレアル・マドリードの強さを支えている。

 レアル・マドリードを率いるアンチェロッティ監督自身、「レアル・マドリードは経験、若さ、レベル、キャラクター、個性とすべてを持っているチーム。今まで率いてきたチームの中で最も完成度は高い」とクラシコを前にレアル・マドリードが理想に近づいていると感じさせるコメントを残した。

 また、レアル・マドリードの好守の要であるシャビ・アロンソは、「ここ最近のバルセロナとの対決で、勝敗は別として良い戦いができている。試合を重ねるごとに相手のウィークポイントや、相手がどこを狙ってくるのかがわかってきた」と、バルセロナと互角に戦える手応えをつかんでいる。

 一方のバルセロナ、グアルディオラ時代の絶対的な強さに陰りが見えていることは否定できない。2014年に関して言えば、ここ2試合のアウェーでレアル・ソシエダ、バジャドリードに黒星を喫したほか、アトレティコ・マドリード、レバンテに引き分けるなど波に乗れないままクラシコを迎えることに。

 ただ、オサスナ戦でハットトリックを決めたようにメッシの復調は朗報だ。アルゼンチン代表FWは「この2週間調子は上がっているし、この調子を続けたい。ケガは過去のことだし、もう忘れた。これからリズムと自信をつかんでいく。クラシコは自分達にとって上位との差を縮める唯一のチャンス」とバルセロナを勝利に導くゴールを決めることに自信を見せている。

 クラシコとは――。バルセロナのダニエウ・アウヴェスはサンティアゴ・ベルナベウでの戦いに必要な選手としての心構えをこう語った。

「選手としてプレーできる最高の試合だ。選手は世界中が自分達に注目していることを知っている。だからこそ、人生で一番のプレーをしないといけない」

 レアル・マドリードのセルヒオ・ラモスもまた、「クラシコは特別な試合。両チームのそれまでの調子は関係ない。大きなインパクトを与えるためにも、すべての力をピッチで出し尽くす」と、100%以上の力を出すべき試合だと考えている。

 レアル・マドリードが勝利し、バルセロナに引導を渡すのか、それともバルセロナが勝利し、再び混戦の優勝争いを演じるのか。両チームのサポーターでなくともその結末が気になる情熱と情熱のぶつかりあう伝統の一戦"クラシコ"を見逃すわけにはいかない。

山本孔一●取材・文 text by Yamamoto Kouichi