「携帯オプション強制加入」疑惑をKDDIら各社に聞く。au店舗対応、限りなく強制に近くてブルー

写真拡大

auスマートフォンを購入すると、オプションサービスに強制加入しなければならない」そんな話がネット上を飛び交っています。一連のこうした動きについて、KDDIをはじめとした携帯各社に回答を求めるとともに、実店舗ではどういう状況なのか調べてみました。

結果から言うと、auの一部店舗ではオプションサービス加入の説明に他とは大きく違うものがありました。

携帯電話やスマートフォンは、基本的に販売代理店が売っています。ドコモショップやauショップ、ソフトバンクショップとブランド名を冠した店舗も、ごく一部の直営店を除いては販売代理店で、基本的に携帯電話会社は直接製品を売っていません。なお、代理店には各携帯会社から資本を受けているところもあります。

販売代理店は、携帯電話を売ることで、携帯電話会社から販売奨励金を得ます。奨励金は端末1台あたりから、目標台数に達した場合、特定条件で契約した場合などさまざまです。

各社「強制していない」と主張。auだけ説明の仕方が異なる


スマートフォンを購入する際に、オプション契約を強制しているのか?」というこちらの問いに、各社ともに「弊社では強制していない」という回答になりました。販売代理店にもそうした指示は出していないとしています。これに加えドコモでは、「お客のニーズにあった提案をするよう店頭に求めています」と話しています。

ちなみに、ネットの盛り上がりの中心はKDDIです。同社広報部では「(強制は)していません。アプリやサービスを楽しんで欲しいため、おすすめしています。オプションは契約時の必須条件ではなく、最終的にはユーザーの判断です」とコメントしています。

しかし、ネット上では「強制だ」といった言葉が飛んでいます。そこで、東京都内にあるドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップ、併売店(家電量販店や個店)を3店舗ずつ、合計12店舗がどういった説明をするのか聞いてみることにしました。

すると、auの一部店舗ではオプションサービス加入の説明に違いがありました。


ドコモショップ、ソフトバンクショップ、併売店の対応


ランダムに探した都内ドコモショップにおいて、特定の端末の価格を聞いたところ、販売代理店毎に金額にばらつきはあるものの、端末支払い総額を案内し、そこからオプション加入によって、最大数千円の割引があると説明を受けました。

「オプションに加入しなければ購入できないのか」と聞いたところ、3店舗ともニュアンスが同じ返答で「加入しなくても購入できますが、数千円の割引なので皆さん入ってますね」というものでした。実際の店頭での応対は少し違うかもしれませんが、少なくとも電話で質問する限りはオプション加入はあくまでも言葉通り、選択肢のあるもののようです。

ソフトバンクショップでも、オプション加入については言葉通り、選択して加入するものでした。あまり電話で質問されることがないのか、電話した3店舗のショップスタッフは、いずれもオプションサービス自体への反応が薄く、3人とも「MNPを利用した新規契約か?」「全く電話番号がない状態からの新規契約か?」をすぐに聞いてきました。聞いてみると、スタッフにとってMNPを利用した新規契約がもっとも欲しいもの、なんだそうです。

併売店は量販店1社と個店2店に聞きました。量販店はドコモの対応に近いものでした。個店については、そもそも格安で端末を購入したいユーザーが多いためか、細かい割引オプションについても、質問すると教えてくれました。

こちらもオプション加入は必須ではないものの、「オプション加入しなければ5000円高くなりますよ。入らなくてもいいですけど、月をまたいですぐに解約してもらうと安く済みます」とのこと。もう一方の併売個店では、解約日をスマートフォンのカレンダーに登録してくれるサービスをやっているそうです。


au強制加入なしも、断れない空気


さて、最後にauショップです。最初に言うと、強制加入はありませんでした。しかし、3店舗中2店舗で、事実上、オプション加入は断れないというニュアンスで説明を受けました。この説明の仕方は他社と異なります。

オプションサービスへの加入について、「必ず入らなくてはいけないのか?」と質問すると、1店舗では「入っていただかなくとも大丈夫ですが、お店にお越しいただいた際にきちんと説明させてください」とのこと。電話越しに強く推された感じは受けませんでした。

しかし、残りの2店舗は違います。

一方の店舗は、新規価格を説明した上で「これに安心保証など、いくつかのオプションが付きます」と話し、こちらが「そのオプションはオプションなのに、加入しなければならないのか?」と聞いたところ、「基本的には皆さんに入ってもらっています」とコメント。さらに、こちらが「必ず入らなければいけないの?」と聞くと、「やはり、基本的には皆さんに入ってもらっていますね。入らない方はいません」とのこと。

また、もう一方の店舗でも、オプション加入について「割引条件として、オプション加入してもらっています。無料のものも多いですよ。基本的にこの条件で、この価格になります」と言いました。

さらに今回、たまたま質問した端末が Galaxy Note 3 であったため、auがデビュー割という2万円近い割引キャンペーンを実施していました。そこで、「オプション加入の割引は要らないので、一括価格からデビュー割だけ値引きできるか?」と聞きました。するとスタッフは、「デビューキャンペーンはオプション加入割引の後から適用するため、加入が基本条件ですね」と言いました。

なお、電話取材した量販店でもデビュー割の説明を受けましたが、オプション加入は条件ではなく、「入らないとオプション加入の割引分、数千円が値上がりする形になりますがそれでもいいですか」と聞かれたのみでした。


強制加入と感じたら、まずはカスタマーサポートへ


もう一度言いますが、取材した限り、KDDIはオプション加入を強制していません。しかし、少なくとも今回取材した3店舗中2店舗では、まるで禅問答のような言葉のラビリンスによって、オプション加入以外は認めない空気感を作っている、と感じました。

なお、強制加入の有無についてKDDIに問うた際、「仮に強制加入と感じた場合、契約者はどこに連絡をすべきか? また、強制があった場合に販売店へのペナルティはあるのか?」とも聞きました。

KDDIの広報部では、お客様センター(カスタマーサポート)へ連絡するよう求めており、「実体にそぐわないのであれば是正します。社内で徹底します」と話しています。また、店舗へのペナルティについては、「なんとも言えないところですが、auの商品を扱うところには、指導というわけではないがモノは言えます」とのこと。

なんであれ、買い物をするなら気持ち良く買いたいものです。今回取材した限り、物言えぬ日本人の心を巧みに利用し、強制はしていないが断りにくい空気作っているショップがある、といった印象を受けました。

たとえそれがKDDI側の指図ではなく、仮に代理店の暴走だったとしても、auブランドである以上、矛先はauに向くはずです。ユーザーはauブランドの商品に期待して購入を決めた、これからauを好きになる可能性があった人です。「強制させられた」と思った人の多くは、裏切られたと感じたのかもしれません。


ビデオパス、うたパス、ブックパスが退会できないとの声


また、オプション加入の話には続きがあります。auがオススメサービスとして紹介する、 ビデオパス や うたパス ブックパス といった一連のサービスについて、退会できないとの声が上がっている問題です。

とくに、ビデオパスやブックパスについては、Q&Aの内容が話題になっています。非常にユニークかつ、ユーザーにとって残念な印象で、auという幻と戦っているかのような打たれ強さ感じます。辞め方を聞いている質問に対し、明後日の方向にある明るい未来をアピールしている点を前向きととるか、回答になっていないと取るかも含めて「新しいau」なのかもしれません。




【更新】
また、ネットで盛り上がっている中、このQ&Aサイトは順次改善を図っているようです。これがネットで話題になったために更新されたのかどうかはわかりません。当初の画像も入手したので掲載します。当初の画面からもわかる通り、退会方法がわからないとする疑問に対して、サービスの再アピールを優先する内容となっています。



KDDIは、auスマートパスでスマートフォン時代の新たな顧客接点を作ろうと奔走しています。「あたらしい自由」を標榜するau、しかし利用者は、auの囲いから外に出さない自由をKDDIに与えていないはずです。

KDDIでは、退会処理が煩雑だという意見について、「意図したものではなく、わかりにくければ是正していきます」と回答しています。Q&Aの回答は、わかりにくさ以前の問題ですが、KDDIとしては適切に対応する意志はあるとしています。なお、同じ「パス」サービスでもauスマートパスは解約方法はQ&Aに掲載されています。

ビデオパスやうたパス、ブックパスは店頭でオプション加入を求められるサービスです。その一方で、これら「パス」サービスは、店頭では現状解約できず、Web上から解約処理を行わなければなりません。

一部では、契約時に解約方法を記した紙を配布するといった店舗もあるようです。また、広報部によれば、解約の仕方がわからなかった場合に、auショップで解約方法を聞きながら対応できるとしています。

なお、こうした退会処理の煩雑さは今に始まったことではなく、フィーチャーフォン全盛期のコンテンツサービスは、携帯電話会社の別なく、何度も何度も解約を踏みとどまらせようと画策する、非常に煩わしさを感じるものでした。一連の退会処理関連のユーザーの不満は、その悪しき伝統を引きずっているようにも思います。

このほか「パス」サービスの加入について、「販売店へ奨励金を支払っているのか?」という問いに対し、KDDI広報部では「販売戦略上、申し上げられない」として、コメントしていません。