富士山を未来へ！ 富嶽三十六プロジェクト
認定NPO法人 富士山を世界遺産にする国民会議による、「富嶽三十六プロジェクト」だ。
同プロジェクトは、富士山にまつわる文化コンテンツで寄付を集め、富士山の保全にあてようというもの。いうまでもなく、ネーミングの由来は、江戸時代の浮世絵風景画、葛飾北斎の『富嶽三十六景』から。
「約200年前に作品が生まれてからも、富士山にまつわる文化醸成はずっと進行しています。そこで、誰もが聞き慣れている『富嶽三十六』を用いて、『景』の部分を入れ替え、富士山の文化を楽しんでしまおう。そして、そこに少し、寄付の仕組みを入れようというプロジェクトです」
と説明してくれたのは同プロジェクトを担当する嶋瀬徹さん。
具体的にはさまざまなカテゴリーごとに、富士山にまつわるコンテンツを36個ずつチョイス。初年度は、「富嶽三十六冊」「富嶽三十六曲」「富嶽三十六プロダクト」「富嶽三十六スイーツ」「富嶽三十六Tシャツ」「富嶽三十六チャレンジ」の6レーベルの活動がすでに始まっている。
初回のレーベル担当には、富士山と縁があったり、富士山の文化醸成に賛同した人たちや企業がそろっているのもおもしろい。
たとえば、「富嶽三十六冊」は千代田区富士見に拠点を構える角川グループの電子書籍シリーズだし、「富嶽三十六Tシャツ」として富士山デザインのTシャツを製作する久米繊維の本社は北斎生誕の墨田区にある。また、「富嶽三十六プロダクト」は誰よりも富士山グッズに詳しいカリスマバイヤー山田遊さんによるセレクトであり、「富嶽三十六スイーツ」は山梨・静岡を含む全国の特産品を熟知したお取り寄せサイト「47CLUB」がチョイス。さらに、「富嶽三十六曲」の選曲は富士山の継続的な保全活動に積極的なTOKYO FMが担当し、富士山チャリティープロジェクト「富嶽三十六チャレンジ」に協力している「JustGving」の担当者は以前から同NPOと縁がある。
各レーベルの売り上げの一部は同NPOの「富士山基金」へ寄付され、「富士山基金」は山梨・静岡両県が設定する予定の「富士山世界遺産センター（仮称）」に対する寄付などに充てられるという。
「世界遺産は登録されてからがスタートです。100年後も美しい富士山を保つには、まずは富士山を楽しんでもらい、次に少しでも保全のための寄付につなげる。この2つの要素を取り入れた継続的な保全システムです」
コンテンツは富士山の文化を醸成しており、みんなが楽しめるものであればOK。今後は、「ゲーム」や「歌舞伎」など、さらに多彩なレーベルを作っていきたいというから楽しみだ。
プロジェクト開始以後、問い合わせも徐々に増えているそうで、継続して話題になるように努めていきたいとのこと。
「ぜひ、富士山の文化に触れて、楽しんでいただきたいです。そして、少しだけ、寄付活動に参加いただけると嬉しいです」
世界遺産登録は喜ばしい一方で、保全活動など課題も多い富士山。こんな遊び心あふれるプロジェクトで、楽しみながらその保全に協力してみては。
（古屋江美子）
