台湾人の同情心につけこんだ物乞い中国客、強制送還へ

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(台北 3日 中央社)ふだん北京で物乞いをしている中国大陸の身体障がい者の男が6000人民元(約10万円)をはたいて先月初めからの台湾医療ツアーに参加。しかし、到着するやツアーを抜け出し、台北市内・台湾大学前の公館エリアで物乞いを始めた。日々の収入は悪くなく3週間余り順調だったが、先週ついに警察官に話しかけられ、台湾語が聞き取れなかったばかりに身分がバレてしまい、違法滞在で強制送還されるハメになった。

台北市思源派出所の警官、李碩華さんは先週木曜日、メインストリートからひとつ外れた汀州路のコンビニ前で上半身裸の男が赤いプラスチックの容器を持って物乞いをしているのを発見した。これまで見かけたことのない顔だったので職務質問しようと「どこから来たんです? 身分証、見せてください」と台湾語で話しかけたところ、言葉が聞き取れない男は固まってしまい目が泳ぎ始め、ついには中国大陸から来たと白状した。

男は今年44歳になる湖南省の出身者で、小児麻痺があり、杖をついている。ふだんは北京にいるが、これまで、シンガポール、クアラルンプール、香港など東アジア各国での物乞い経験は豊富。また、今回参加した台湾への医療ツアーは一般的には富裕層限定だと思われがちだが、男は自分が障がい者であることをうまく利用したため、ツアー参加の手続きは至極簡単だったという。

取り調べに対して、男はシンガポールがいちばん儲かったと評価、香港人については「ドケチだった」と酷評している。また、来台後は毎日2000〜3000台湾元(約6700〜1万円)の「収入」があり、夜は歩道橋の下に寝泊まりしていたが、朝目が覚めるといつも容器は硬貨で満杯だったという。男は「台湾人はなかなか優しい」と絶賛している。【 資料写真 】 公館エリア付近

(編集:谷口一康)