大学乱立の今だからこそ、高いレベルの大学を目指してみない?(写真はイメージです)

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受験事情が、昔とは大きく変わっている。

近年は「大学を出てもなかなか就職できない」とよく言われるが、その大きな理由のひとつに「かつて短大や専門学校だったところが、四年制に変わっていること」が挙げられるということは、ご存知の方も多いだろう。

田中真紀子元文部科学大臣の大学不認可騒動で数々の問題点が指摘されたが、その是非はともかく、「大学が増えすぎている」というのは事実。
そして、実際、「四年制大学を出たらなんとかなる」時代ではない一方で、どんな氷河期においても、優秀な学生はちゃんと就職できているという事実も否定できない。

また、「良い大学を出たら大丈夫」というのも、ちょっと違う。ある教育系編集者は言う。
「『国際』や『グローバル』などを掲げる学部が近年は増えていますが、その実、単に留学しやすいとか交換留学生制度があるとか、語学力を謳っているだけのところは多いんです。留学しない限り、大学内では外国人とコミュニケーションをとることなんてほとんどできないという大学もけっこうありますね」

他にも、近年人気があるこんな学部も……。
「コミュニケーションを謳う学部や心理系、スポーツマネジメント系、福祉系とか、新設の学部がたくさんありますが、それら全てとは言わないものの、おしなべて偏差値の低いところが多いです」

もちろん「偏差値」がすべてではなく、低偏差値の地方大で非常に興味深い研究をやっている大学だってある。でも、実際のところ、能力に個人差があるとはいえ、普通の高校生で、大学での専門的な研究内容などを理解したうえで選んでいる人というのは、ほとんどいないのではないだろうか。
となると、やっぱり「大学名」と「偏差値」で選ぶ人は依然として多いはず。
「今なら、学部によって『有名私立大』と言われるようなところでも、簡単に入れるところがけっこうありますよ。自分ももっと遅く生まれていたら、苦労しなかったのになんて思うことありますもん(苦笑)」

単に大学名だけにこだわるのであれば、有名私大に入るのはさほど難しいことではないそう。だからといって、「大学名」だけで就職できるわけでももちろんない。
「幼いうちに有名私大の附属に入れてしまえば、あとは大学まで行けて安心……などとお子さんに教えているご家庭もありますし、『小学校や中学校だったら、○くらいの偏差値で入れるけど、高校や大学で入るとなると、偏差値が急にはねあがる』なんて言うご家庭もありますが、エスカレーター式で大学まで行った人たちは、企業での評価が低いことも多々あります。これは昔から言われていることで、もちろん個人差はありますが、中学受験などにすべてのエネルギーを注いでしまって、後に全く勉強しなくなる人は、大学に一般入試で入った人との学力差が大きいのは当然ですよね」

バブル期などは別として、結局、「時代のせいで就職が難しくなっている」わけではない。それを言い訳にせず、自分の足で歩ける人にとっては、むしろチャンスがたくさんある時代なのかも?
(山田山子)