便器だけでなく、組み立てるだけでトイレの個室全体が再現されます。

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「なんで!?」と思うと同時に、爆笑、そして「バカだなぁ」(いい意味で)と、思う。

トイレの便器、洋式便器がプラモデルになっちゃったのである。しかも便器だけでなく、トイレットペーパーホルダーやサニタリーボックス、仕切り壁など、周辺の小物等も一緒に。まるごとトイレの個室が再現されている。
パーツをニッパーで切り離し、場合によってはやすりがけしたり、塗装したりして、完成するのはトイレ。トイレを組み立てているという、その過程がすでにバカバカしい(やはりいい意味です)。

3月上旬発売予定のこのプラモデル、その名も、「俺たちの1/12洋式便所」。
昭和の時代には、扇風機やラジカセなどの身の回りの物のプラモデルが発売されたこともあったが、なぜ今トイレなのか。
製品を開発するマイルストンの担当者に聞いたところ、昨年他社から発売された、「餃子」のプラモデルが、きっかけだったという。
「そんなシュールなプラモデルを、弊社でも作りたくなったのが、そもそもの始まりです。会議を重ねるうち、自然と便器に着地しました。海外に行くとトイレの写真を必ず撮るという趣味があるので、その影響も少なからずあるかもしれません」
とのこと。

この“ベンプラ”(勝手に略しちゃいましたが)、製品名にもある通り、「1/12」と、プラモデルらしくスケール表記されている。そのスケールについては、
「まず便器ありきで一番売れるスケールを考えた時、市販のアクションフィギュアやドールハウスに使われる、1/12が最適と考えました」
プラモデル化する際、モデルとしたトイレはあるのだろうか。
「学校や駅のトイレをイメージし、なるべくあか抜けない感じにしたかったので、そこはこだわりました。だから、商品名も『トイレ』ではなく、『便所』にしました。『いかにも』な感じのフォルムに仕上がっているかと思います」

以前、コネタでも紹介したが、近年アクションフィギュアの完成度は飛躍的に高くなり、さまざまなポーズや組み合わせの面白ネタ写真を撮ったりすることの人気が高まっている。世界観を広げるため、色んな小道具も発売されてきていて、最近は学校や会社の机や椅子、階段など、それら人気のアクションフィギュアのサイズに合わせた製品が各社から続々商品化されている。今回の「洋式便所」も、そんな流れでの商品化といえる。
「ぜひフィギュアとからませて遊んでいる写真をネットなどで共有して、どんどん市場を盛り上げていただきたいですね。また、情景用としてだけでなく、トイレ単体でもフォルムを楽しんでいただけると思っています」

今回共同製作のかたちを取っているのが老舗模型メーカーのアオシマ。開発担当者は言う。
「設計・製造はアオシマさんですから、初心者向けのプラモデルとして、しっかりした作りになっています。また、成形色は白で、配管部分はメッキしてありますので、塗装をしなくても十分楽しめます。普段あまりプラモデルを作らない方は、これを機会に塗装や『汚し』にチャレンジしてほしいですね」
汚し……。磨きまくったピカピカ仕上げか、ある程度使い込まれた感じを出したりディティールアップにこだわったり。シンプルなだけに製作の際のイメージもいろいろふくらんでくる。

ところで商品名の「俺たちの1/12洋式便所」。「俺たちの」って何ですか?
「弊社で制作している他の商品で、ネタ系の『ヘンな商品』、『情熱先行で企画した商品』には、『俺たち』を冠して、なるべく作り手の気合いが伝わるようにと、『俺たちの』をつけているんです。若干後付けですが」

この“ベンプラ”、男子用小便器(2個セットで“連れション”ができる!)や和式便所も続々と発売が予定されている。
「何個も買って、個室を増やしていっても違和感がない仕様になっておりますので、ぜひ大きいトイレを作ってほしいですね」

トイレに集うフィギュアたち。シュールな光景になること間違いなしです。
(太田サトル)

■ 俺たちの1/12 洋式便所