レスリー・ヘッドランド

ニューヨークを舞台に、友人の結婚にショックを受けるバチェロレッテ(独身女子)3人が起こす大騒動を描いたコメディ映画『バチェロレッテ ―あの子が結婚するなんて!』(2月22日公開)。監督レスリー・ヘッドランドが演出した舞台を映画化し、公開直前にiTunes映画部門で1位を獲得するなど、全米独女の熱い支持を受けた話題作だ。昔はイケてたのに、今では“行き遅れ”てしまった女性の焦りや怒りによって巻き起こされるドタバタ劇は思わず声をあげてしまう可笑しさだ。公開を目前に控え、レスリー監督に作品を通して伝えたかったこと、日本女性へのメッセージなど話を聞いた。

――映画をとても楽しく拝見しました。友人の結婚にショックを受けた独女3名が、焦ったり、怒ったり、泣いたりする姿が真剣であればあるほど可笑しくて。でも、監督は戯曲の段階では「シリアスな作品」としてこの脚本を書かれたそうですね。

レスリー・ヘッドランド(以下、レスリー):そうなんです。失恋とかダイエットとか、ちょっとしたことなのに、あたかも大事件の様に振舞う女性はたくさんいて。「女性とはこうあるべきだ」という思いが強すぎて“スーパー・シリアス”になっている女性を書いた作品なのですが、舞台で発表した時に爆笑が起こって、あ、これは面白い話なんだなと。

そういった、私からするとどうでもいいことで悩んでいる女性に、本当の問題(この作品では友人のウェディングドレスを破いてしまったという事件)を与えたらどうなるのかという物語なんですね。

――完璧求めすぎのレーガン、元カレひきずりすぎのジェナ、すぐHしすぎのケイティという3人の“バチェロレッテ”のキャラクターはとてもリアルでした。

レスリー:実は彼女たちに特定のモデルはいないけれど、彼女たちと同じようなメンタリティを持っている女性はニューヨークにたくさんいて、日本にも同じ様に存在するからリアルに感じてもらえるんでしょうね。

――特定のモデルはいないのですね。てっきり、監督の友人の誰かをモデルにしているのかと思っていました。

レスリー:仲の良い友人は舞台も映画も観てくれていますけど、みんな観終った後に「全部レスリーじゃん!」って言うんです。ベッキーも含めて4人全員が私に似ている様で「こんなにあけっぴろげにしていいの?」と心配されたほど。映画が公開された後、友人を誰かに紹介すると、その友人が「私はモデルじゃないから!」と慌てて否定するのが面白かったですよ。

――4人のキャラクター全てにレスリーさんが投影されているとは意外です。

レスリー:自分の性格や行動を分裂させて4人それぞれに投影させてみたら面白いのではないかと思って登場人物を描いているので、みんな好きなキャラクターです。ちなみに自分は女性の友人と、この映画に出てくる様なグループ関係になったことはなくて、1対1で過ごすことが多かったんですね。なので、4人がギャーギャー騒いでケンカをするのは、私が不安に感じていたり、神経質に思っている事を、それぞれのキャラクターが代弁してくれているという感じなんです。

――日本にもキャリアがあったり、美人なのに結婚できないというレーガンの様な独身女性が増えているのですが、そういったことはご存知でしたか?

レスリー:もともとは知らなかったのですが、今回の来日でそういうった事を知り興味深く思いました。東京に来るのが初めてで、アメリカ以外の国でこの映画に共感をしてくれるのかなって不安だったのですが、良い感想を聞くことが多く嬉しいです。

特に、日本の女性は「レーガンが好き」とか「レーガンに共感した」と言ってくれるんですが、アメリカの女性たちは、自分が美人で完ぺき主義のレーガンに共感したとは告白したがらない。日本の女性のほうが正直で素敵だなって思います。

――この映画が公開される六本木をはじめ、銀座や丸の内といった東京の都市にはレーガンの様な女性がたくさんいて、きっとみんな「これは私だ」って喜んでくれると思います。

レスリー:本当に多くの日本の女性に観てもらうのが楽しみでしょうがないです。女性が抱えている不安だったり、悩み、犯してきた失敗が描かれている物語ですから、共感出来るシーンが多いと思うし。

――“痛い”シーンも多いけれど、最後にはやっぱり女って最高! と思える様な、笑顔になれるエンディングも魅力的でした。

レスリー:そうそう! 自分がパーフェクトじゃなくても、何も恥ずかしくないんだということを伝えたくて作った作品なので。最終的には自分を愛すべきで、自分が自分を愛すことができれば、周りの友人だったり男性だったりから愛を返してもらえると私は思っています。例え、自分が自分を愛せなくても、先に友達が自分を愛してくれることもある。映画に出てくる4人はそんな事を教えてくれます。

大いに失敗していいんだ、自分を愛そうよ! というエンディングはとてもポジティブになれる。失敗しても良いんです。だって最後はみんな同じゴール、死ぬわけですから(笑)。

――ちなみに、監督自身のお酒の失敗談は?

レスリー:そんなのもう、延々と1日は話せます! でも印象的なのは、大学時代に私がお酒を飲みすぎて、レストランの中で彼氏と大喧嘩して、酷いこともたくさん言って、翌朝目覚めて「ああ、やっちゃった……。私って人間的に最低かな」と落ち込んだんですね。そうしたら親友が「人のことなんて気にしなくていいのよ!」と励ましてくれて。そう、このセリフはこの映画の中でも何度も使っているのですが、その時に、自分は人の目を気にして生きていたんだなってことが分かったんですね。

男だったら飲みすぎてハメをはずしても許されるのに、女性だとなんだか許されない風潮がありますよね。そんな時に味方になるのはやっぱり女友達です。日本の女性もこの映画を楽しんで、“女子会”でたくさんお酒を飲んで、大いに盛り上がって欲しいです。

――どうもありがとうございました。


本作の見所は、何と言ってもリアルな人物描写。現在32歳と登場人物たちと同世代のアラサーである女性監督だからこそ作れた物語は、日本の独女たちの共感を得ること間違い無しだ。ぜひ本音を言い合える友人と一緒に観て、鑑賞後のガールズトークに盛り上がって欲しい。(中村梢)・映画『バチェロレッテ ―あの子が結婚するなんて!』公式サイト