浙江省寧波(ニンポー)市で16日に起きた6階建て集合住宅の倒壊で、寧波房地産股フェン有限公司の王翔董事長(代表取締役)は、問題が多かった建物と認めた上で「1階を店舗にして壁を抜いたことも原因と思う」と述べた。中国新聞社が報じた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

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 浙江省寧波(ニンポー)市で16日に起きた6階建て集合住宅の倒壊で、寧波房地産股フェン有限公司の王翔董事長(代表取締役)は、問題が多かった建物と認めた上で「1階を店舗にして壁を抜いたことも原因と思う」と述べた。中国新聞社が報じた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

 同建物が作られたのは1989年。寧波房土産股フェン有限公司の前身だった寧波市寧波房地産公司が担当した。王董事長によると、事故発生後に市当局の求めに応じて、建物にかんする関連資料を提出したが、「古い話なので、(原因解明について)資料には欠落も多く、あまり期待できない」という。

 これまでのところ、古い基準で作られた建物なので構造部分に対する防水が考慮されておらず、住人が床にまいた水や雨水が浸透し、構造部分の風化も激しくなって倒壊に至ったとの見方が有力だ。

 王董事長は、上記の原因に加え、建物全体が住居用に作られていたにもかかわらず「1階部分の壁を抜き、店舗として使っていた。このことも建物の安全性に影響を及ぼし、倒壊の原因になった可能性がある」と指摘した。

 寧波市建築委員会の夏海明総工程師は、「1980年代から90年代初頭の建築物は、設計基準も施工のレベル、建材の品質も、現在と比べれば今ほど高くなかった」と説明。王董事長も同様の見方を示した。

 王董事長は、倒壊した建物を建設した当時と現在について「会社側の立場からすれば、株主も変わり、会社の性格自体も変わっている。責任と義務についても(当時と現在は)違う」と述べた。

 同事故では、住人1人が死亡、1人が負傷した。

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◆解説◆ 夏総工程師はかつての建築と比較して、「現在の建物は安全」との趣旨で論じた。中国メディアも夏総工程師の説明をそのまま紹介した。しかし逆に言えば、現在も普通に使われている1980−90年代初頭の建物には、大きなリスクが存在する理屈になる。(編集担当:如月隼人)