クラブW杯、最終日は3位決定戦も決勝戦の前座として行われた。その開始時間は16時。決勝の表彰が終わったのは10時近くだった。試合後、記者会見に出たり、選手に話を聞いたり、原稿を書いたりすれば、報道陣の帰宅は深夜から未明になる。ほぼ丸一日仕事になる。あの場所で、だ。

 しかし、食事は例年通り振る舞われなかった。売店には300円のサンドイッチと150円のライスボウル、それに100円程度の駄菓子が申し訳程度に並んでいたが、立派な冠のついたクラブ世界一を決める大会の現場に相応しい食事事情とはいえなかった。トヨタの名前が泣くというものだ。

 おにぎりなんか、外国人の記者が食えるわけないだろ! ホスピタリティのなさここに極まれり、である。お金を取るのなら、もっとまともな食事を用意しろと言いたくなる。格好悪いったりゃありゃしない。

 少なくとも協会の広報は、外国のスタンダードは知っているはずだ。我々日本人メディアが、食事を振る舞われているところを見てきている。日本の常識で、外国人記者に接する姿は、本当に見ていて恥ずかしい。

 スタジアムは、懇親を深める場所でもある。今回は、外国からきた記者と日本人の記者が交わり、意見を交換する場でもあるが、横浜国際にはそもそもそうしたスペースがない。ウン百人という報道陣が詰めかけること想定した内部構造になっていないのだ。

 それでいて「記者席では極力食べ物を食べないでください」という高慢な張り紙がスタジアムの各所には至る所に貼ってある。お招きする心得が全くなっていないのだ。

 ハードも駄目ならソフトも駄目。スタジアムは見にくいし、アクセスも、ロケーションも悪い。試合以外に取り柄がない。これがクラブW杯の実情だ。

 2018年に完成する新国立競技場に僕がもっとも求めたいのは、ホスピタリティだ。お迎えする精神がにじみ出たスタジアムであって欲しい。設計図を見る限り、建物は近代的な匂い漂う格好いい作りになっている。が、内部構造は今のところ明らかになっていない。実際に使ってみなければ、評価しにくいものになるが、だからこそ今から一言いっておきたくなる。スタジアムの善し悪しは外見だけではわからない。

 とはいえ完成すれば、新国立競技場が再びサッカーのメッカになるはずで、となると、わざわざ横浜国際で試合をする意味はなくなる。使用頻度は激減することになるだろう。スタジアムの寿命は50年と言われるが、わずか20年足らずで、コンクリートの塊になる可能性は大きい。お金の無駄遣いになる危険をはらんでいる。愛着の湧かないスタジアムとし終わってしまうのか。少なくともメディアは、もっと心配してやるべきだと僕は思う。