「少女革命ウテナ コンプリートCD-BOX」。1500枚限定で再販が決定しました。10枚組CD+ブックレット封入。2013/1/23発売予定!

写真拡大

号外! 号外! 号外!
カシラカシラ、ご存じかしら?
「少女革命ウテナ コンプリートCD-BOX」が再販されます!
ヒューヒュー!

コンプリートCD-BOXは、アニメ『少女革命ウテナ』に使用されている劇判音楽のすべて+αを収録したもので、2008年に発売。現在は製造されておらず、プレミアがついてしまってました。『輪るピングドラム』から『ウテナ』にハマったファンや、当時購入できなかったファンにとってはもどかしい状況。
幾原監督も同じ気持ちだったようで、12/8のウテナオールナイトイベントではこのような一幕がありました。

幾原「CD-BOX友だちにあげちゃったからさー、いま手元にないんだよね。それってけっこう悲しくない?」
池田(池田慎一プロデューサー)「かなり悲しいですよ」
幾原「買おうと思ったら結構プレミアついてて。たっけー! みたいな。これ欲しい!」
池田「(会場に向かって)持ってらっしゃる方、いますか?」
(挙手)
幾原「けっこう持ってないよ。欲しいよね?」
(会場から「欲しい!」の声と拍手)
幾原「ほら、みんなも欲しいって言ってるから…ちょっと検討してほしいな〜」
池田「そんなに言うなら検討します!」
(会場内、大きな拍手)
池田「再販できたら、幾原さんお買い上げくださいね」
幾原「えっ」
池田「買えるようになるわけですから!」
幾原「ま、まあね!」

……そんな冗談が飛ばされつつも、幾原監督や会場のファンからのアツい要望にこたえてくれました。アンコールプレスが急遽決定!
店頭入荷日は2013年1月23日頃予定。
価格は税込で¥12,600、限定1500枚です。

音楽が非常に印象深い『ウテナ』。音楽を手がけているのは、光宗信吉とJ・A・シーザー。光宗の優美で繊細な曲&アレンジと、シーザーのアングラかつプログレな合唱曲が、絶妙に響き合っています。
特にシーザーの「絶対運命黙示録」は作品の中心になる音楽。「薔薇の花嫁」を巡り決闘するデュエリストたち。彼らとの決闘に赴くために螺旋階段を上る天上ウテナに合わせて流れる「絶対運命黙示録」。いわば変身シーンのバンクですが、少女漫画的な華やかな絵柄とのミスマッチが、強烈な違和感と衝撃を生みます。
もともとシーザーは、寺山修司の劇団・天井桟敷の音楽担当(現在は演劇実験室◎万有引力主宰)。幾原監督は天井桟敷時代からのファンで、スポンサーの反対を押し切って『ウテナ』に楽曲を使用することになりました。

シーザーの音楽と幾原監督の関係について書かれたもので、何度読んでも大好きな文章があります。サウンドトラックCD「絶対進化革命前夜」に幾原監督が寄せたものです。少し長いですが引用します。
〈あの頃、高校時代、僕にはFという同級生のガールフレンドがいた。正直、彼女を好きでもなかったのだが、女のひとりも口説けないのかと周囲に思われるのが癪だったのでなんとなくつき合っていた。二人で観る映画はいつも二番館の面倒くさそうなアート系の映画で、Fは僕に映画の解説を求め、僕はそんなたわいないことで男のプライドを保っていた。どうせ刹那的なつき合いだと酷く冷め、やがてくる彼女との別れの日をドラマチックにシミュレートして悦に入っていた。そんなある日、Fが僕を演劇に誘った。芝居はテレビで紀伊國屋ホールを収録したようなやつを観たことがある程度で、それもおそらくそんな感じだろうとまるで期待していなかった。が、打ちのめされた。体の震えが止まらなかった、舞台音楽が僕を子供の頃の暗闇の恐怖にいざなった。その後、Fは地方に就職先を決め、卒業の日、明るく「さよなら」と僕の前から去った。以来、彼女とは会っていない。結局、見透かされていたのは僕のほうだった、そして間違いなく、あの頃、彼女は僕の母だったのだ。今回、シーザー氏の歌に僕が固執したのは、あの頃の無知な自分と母との時間を追体験したかったからかもしれない〉

筋肉少女帯の「香菜、頭をよくしてあげよう」の世界の裏側を覗いてしまったようなエピソード! 『ウテナ』のラストシーンを彷彿とさせます。
幾原監督の熱に応えるようにして、シーザーも後半はウテナ用に楽曲を書き下ろしています。小学館文庫の『ウテナ』コミック3巻の解説も担当。ウテナへのアツい(そして凡人にはあまりにも難解な)想いが綴られています。

「絶対運命黙示録」だけではなく、デュエリストとの決闘で流れる曲(通称「決闘曲」)もシーザーが作曲しています。この決闘曲、デュエリストに合わせて毎回変わり、キャラクターやアニメーション表現と密接に結びついています。
たとえば、『ウテナ』ファンの中でも人気の高い第7話「見果てぬ樹璃」。有栖川樹璃との決闘です。使われている曲は「天使創造すなわち光」。曲の終盤には「二つのわたし」という単語が使われます。この単語からは、樹璃の強さと弱さ、樹璃とウテナの関係、そして樹璃と樹璃の想い人の関係へのイメージが広がるんです。第17話「死の棘」の決闘曲「地球は人物陳列室」と並べて聞くと、キャラの感情や関係性がさらに鮮やかに見えてきます。
またアニメーションも、剣の初撃や、決闘の終着など、要所要所で曲の展開や歌詞のタイミングと完璧にシンクロしています(ちなみに7話の絵コンテは橋本カツヨ、つまり細田守が担当)。「シンクロ? よくわからないなー」という人は、「MADムービー」(既存のアニメ映像や音楽を編集・合成して再構成したもの)をイメージしてみてください。
音楽とアニメーションのシンクロは、幾原監督の他の作品でも見ることができます。『劇場版美少女戦士セーラームーンR』のラストシーンや、『輪るピングドラム』の生存戦略バンクなどですね!
他にも第23話「デュエリストの条件」(決闘曲「ワタシ空想生命体」や第48話「世界の果て」(決闘曲「体内時計都市オルロイ」)ほか、気持ちいい決闘はたくさんあります。特に劇場版の決闘2つはもはや完成型。西園寺莢一戦(決闘曲「甦れ!無窮の歴史『中世』よ」)の箒を手に取るシーンやウテナとアンシーのキスシーンは、目で見ても気持ちいいし、耳で聞いても気持ちいい。ゾクゾクします。

アニメを見ると曲をまとめて聴きたくなるし、曲を聴くとアニメを見たくなる。好きな曲がかかる決闘シーンは好きになるし、決闘シーンが好きになると曲も好きになる。シーザーや光宗信吉の曲だけではなく、奥井雅美によるオープニングや、劇場版で使用された及川光博(ミッチー)の曲など、すべてが『ウテナ』世界を作り上げています。
ブルーレイの上巻とCD-BOXの発売日は同日。2013年1月23日です。ブルーレイマラソンからのCDマラソンも可能ですぞ! 
(青柳美帆子)