ネットには「情報」が溢れている

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 EUの欧州委員会が2012年1月25日(現地時間)、インターネット上のプライバシーにかかる権利を強化し、欧州のデジタル経済を拡大することを目的とした法案をまとめた。この中には、インターネット上の個人情報取り扱いについて、「忘れられる権利」という新しい概念が盛り込まれている。

 法案の要点をまとめると以下のようになる。

■「忘れられる権利」により、不要になった名前や写真、クレジットカードなどの情報について、個人が事業者に対して削除要請ができる
■正当な理由がない限り、事業者は要請通り個人情報を削除しなければならない
■個人情報漏洩が発覚した場合、事業者は速やかに(可能なら24時間以内)各国当局に届け出なければならない
■EUの個人情報保護法に対する深刻な違反があった場合、事業者には最大100万ユーロ(約1億円)か、売り上げの2%の罰金が科される

 この「忘れられる権利」について、ヤフー株式会社(法務部)での勤務経験があり、プライバシー侵害や名誉毀損に関する紛争を主に扱っている弁護士の落合洋司氏に話を聞いた。落合氏は、

「プライバシー侵害や名誉毀損は、人が尊厳を持って生きる権利、つまり『人格権』の侵害だと捉えられている。この『忘れられる権利』も『人格権』の一つと考えられるのではないか」

と説明。また、日本への影響については

「日本にも議論が及ぶ可能性は高い。今まで、プライバシー侵害や名誉毀損でないと個人情報の削除要求ができなかったが、(個人が)不要ということだけで要求できるのは話が早い」

と語った。

 なお、法案は欧州議会とEU加盟各国の承認を得た上で、2年後に発効される。この法案に対しツイッターでは、「これは必要だわ」「日本にも影響するかも」のように、関心を示す反応が多く見られた。一方で、「あるべきだけど、技術的に可能なイメージがわかない」「個人がハードディスクに残した画像などは消せないのだろう」「I doubt Facebook will agree(フェイスブックは同意するだろうか?)」と、その実効性については疑問の声もあった。

◇関連サイト
・「忘れられる権利」に関するプレスリリース(英語) - EU公式サイト
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/12/46&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

(寺家将太)