医療費抑制のため、政府は後発医薬品のシェア3割を目指している。そこに海外メーカーが参入し、後発医薬品市場が動き出している。

 後発医薬品世界最大手のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(イスラエル)は16日、日本の後発医薬品3位メーカー大洋薬品工業を買収する方針を固めた。買収額は約370億円。

 現在、日本の後発医薬品のシェアは拡大傾向にあるものの20%台前半。海外では普及率が50%を越える地域もあり、まだまだ拡大の余地がある。さらに政府が、2012年度までに普及率3割の目標を掲げて、利用促進に向け動き出している。同社は、こうした動向に目をつけたとみられる。

 後発医薬品は「ジェネリック医薬品」とも呼ばれ、新薬の特許期限が切れた後に発売される安価な医薬品のこと。研究開発費が少なくて済むため、価格が新薬よりも安くなる。

 後発医薬品は、有効成分などは新薬の配分に合わせて作られているが、結合剤などの添加物はメーカーによって異なるため、薬の効き具合が異なるケースもあるという。また、特許期限切れの新薬にしか後発医薬品がないため、利用が一部の医薬品に限られているほか、全体的な流通量が少なく、希望しても全ての医薬品を後発薬に切り替えることが難しい。このような経緯もあって、これまで日本では後発医薬品の普及が進んでこなかったとみられている。

 一方、厚生労働省が発表した「平成21年度 国民医療費の動向」によると、平成21年度の医療保険と公費から支払われた医療費は、前年度比3.5%増の35.3兆円になり、7年連続で過去最高を更新した。また、平成22年度の国民医療費は、集計が終わっている4月〜11月の8カ月間ですでに24.2兆円に達しており、このままの伸び率で推移すれば、平成21年度を上回る見通しだ。国民医療費は今後も増え続けることが予想されることから、医療費抑制に向けた対策の必要性が高まっている。

 そこで政府は、後発医薬品の利用を促進させるため、昨年4月の診療報酬改定の際、医薬品調剤体制加算の要件を数量ベースに変更し、直近3カ月の医薬品の調剤数量に対する後発品の調剤数量の割合に応じ加算する制度を導入した。

 こうした政府の促進策の甲斐もあり、後発医薬品のシェアは拡大している。日本ジェネリック製薬協会が4月25日に公表した後発医薬品のシェア分析結果によると、昨年度第3四半期の数量ベースにおける後発医薬品のシェアは23.1%で、2009年度の20.3%から2.1ポイント増加した。

 海外メーカーの参入もあり、日本での後発医薬品市場もようやく動き出しそうだ。

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サイトウ イサム、 加藤 秀行[著]

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