トップ企業に内定を貰う学生の習慣|説明会で何を意識しているのか
企業説明会は、どうも良い印象を持たれることが少ないようです。「企業の良いところしか言わない」「質問時間が短く、知りたい情報が手に入らない」といった声をよく聞きます。しかし、これは説明会を十分活用できていないだけかも知れません。
まず、企業の説明会へ行く目的は何でしょうか。「入社したい企業の情報を手に入れるために決まってるじゃないか」もしそうとだけ思っているのだとすれば、あなたは説明会の時間を浪費している可能性があります。今回は企業説明会を就職活動に限定せず、人生のキャリアも含めて150%活用するために必要な3つのポイントをお伝えいたします。
説明会で得られるデータを利用すれば、業界全体に通じる情報を得ることができます。たとえば、説明会では必ず「業界でその企業がどの程度の規模、順位に当たるのか」を教えてくれます。すなわち、業界全体の経済規模を知る手掛かりになるのです。
例えばコンビニエンスストア業界1位のセブン-イレブンは、2位のローソンより1兆円多い売上規模であり、さらに1位〜5位の企業でおよそ7兆円といった寡占型市場構造であることが判ります。比較してドラッグストア業界では1位のマツモトキヨシでも3000億円の売上に留まり、2位以下も複数の企業が僅差で争っている状態です。
(参考図書↓)
以前、コンビニエンスストアで医薬品が販売可能になると話題になりましたが、それがドラッグストア業界にとってどのような影響を与えるでしょうか。トップ企業の売上高や市場構造を知るだけでも、ニュースへの感度が上がることがわかります。このように興味がない業界へもアンテナを伸ばして調査・分析しておくことにより、社会全体で「何がお金になっていて、何が斜陽なのか」というマクロなトレンドを知ることができます。
さらに、自分が志望する企業の取引先を知ることへも繋がります。例えばハーゲンダッツジャパンは、サントリーが株式の40%を保有しております。海外でアイスを店頭販売するスタイルだったのですが、日本進出時には小売店へ出荷できるカップアイスを中心に展開して売上を大幅に伸ばしました。日本企業が持つ伝統的な流通コネクションやアイディアを採用したからこそ、実現できたことです。
いずれも「お酒を売る会社へ行きたいからサントリーしか説明会は行かない」「外資食品メーカーしか興味がないから日系食品企業は見ない」という考えでは知ることができない情報です。企業提携やM&A、取引先を知ることで企業の全体像を知ることへ繋がります。「この社会はどういった産業で動いているのだろう」という全体観を得るため、自分が志望していない業界へも足を運ぶことに損はありません。
「でも、こんな情報わざわざ説明会へ行かなくてもネットや冊子で見られるじゃないか」と感じる方も多いかもしれません。しかしインターネット上の情報や資料では、取引先や関連会社が羅列してあるだけで「何がその会社にとって重要なのか」を知るのは難しいです。「◯◯は実はこんな分野も扱っています」と説明会でのプレゼンテーションで初めて、「目に入る」だけだった情報を「認識する」ことができるようになります。説明会の時間は限られていますから、企業は重要な情報を取捨選択して提供してくださっています。一言一句、関連取引先や事業モデルを聞き逃さないようにすることで、深い分析が可能になるはずです。もちろん疑問点があったら、遠慮なしに社員の方に聞いてみましょう。
JALの例は極端かもしれませんが、終身雇用制度が今後も継続できるかは大いに疑問です。これから新卒で入社した方々が1社目の企業で必ず定年まで過ごせるとは限りません。安定した企業を探すことも大切かもしれませんが、逆に「転職するとしたらどのような企業がいいか」を考えながら説明会へ行ってみてはいかがでしょうか。
中途採用は外資系ならばエグゼクティブサーチによるヘッドハンティング、日系ならば転職エージェントを経由した応募が一般的です。いずれにしても転職先企業が説明会を開いてくれるわけではありません(第2新卒へのセミナー開催例は多いです)。中途採用向けの説明会も徐々に増えてきてはいるものの、「人事部の方が来て直接会社の魅力を語ってくれる」のは新卒採用の特権と言えます。この機会に長期的なキャリアも考えて、10年後に働いたら面白そうな業界や職種を探してみるといいでしょう。
たとえばあなたが将来、教育産業で起業したいのであれば最初に入る会社は大手教育関連企業にフォーカスして、そういった企業の説明会に参加すると同時に、ベンチャー企業にも足を運んでみてください。そうすれば大手とベンチャー双方の強みと弱みを学べるだけでなく現存する市場をどのように捉えているか、プロから学ぶことができるからです。
就職先も決まる前から転職先を考えるだなんて無謀かもしれません。しかし、人材がどういった業界で流動しやすいかを知るだけでも志望業界からのステップアップを考えるときに役立ちます。どの企業へ移籍する人が多いかを知るには、転職エージェントの方をOB訪問するのが最も簡単です。「御社の顧客はどういった業界の方が多いのでしょうか」「キャリアアップに成功するのはどういった方でしょうか」と質問することで、志望する企業が転職市場で価値が高いかどのようなキャリアの選択肢があるかを知ることができます。
また、説明会には中途入社の社員がいることが往々にしてあります。そういった社員の方へは説明会の後に「個別で質問させていただきたいのですが」と話しかけて以前の業種を訊いてみると分かるはずです。説明会の時間に設けられている質疑応答の時間では質問しづらいパーソナルなことも、説明会直後になら捕まえて訊くことができます。最後の瞬間まで気を抜かずに、集中して挑みましょう。
エントリーする企業の中にも、「ここは本命」と思っている企業から「なんとなくエントリーしてみた」といったところまで様々な優先順位があるかと思います。志望企業研究の一環として、本命企業だけではなくと競合する企業への説明会にも参加しましょう。ライバル企業の強みを知ることで、本命の企業が現在抱える問題とその解決策を考えるヒントになります。
また、内定後も競合企業は必ず見て回ってください。入社後は競合企業と実際にシェアを巡って戦うことになるのですから、就職活動中に考えたことが役立つかもしれません。さらに本命企業の強みも再確認することができます。単に志望する企業の説明会で「弊社は◯◯分野に強く……」と説明されたからといって鵜呑みにするのではなく、実際に競合の説明会で比較することにより、「どのように強いのか」「なぜ強いのか」という一歩前へ進んだ企業研究をすることができます。
ここで重要なのは「競合企業」を従来の枠にはめて考えないことです。たとえば、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドにはどのような競合が考えられるでしょうか。富士急ハイランド、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどは当然ですが、それ以外にもあらゆるリゾート地や進学塾、カルチャースクール、家にあるコタツまでもが競合商品に該当します。なぜならば、これらは「本来ならディズニーランドに使うことのできる余剰時間・お金を別の用途に使わせる体験や商品」だからです。こういった幅広い視野で競合を捕えることは、入社後に自分が扱う商品を生かす方法を考える上でとても重要になります。内定を取ったら卒業までの猶予期間をフルに活用して、ライバル企業を研究しましょう。
では、説明会の情報からどのように競合企業の強みを分析すべきでしょうか。まずは自分の志望する本命企業の強み・弱みをリストアップしておきます。そして競合企業の強み・弱みも同様にリスト化します。もし同じ強みが2社にあるならば、片方が勝つためには「資金、人材、情報、スピード」のいずれかで勝る必要があり、厳しい競争が待っているかと思います。逆に相手の弱みと本命企業の強みが逆であれば、資金などを消耗することなく本命企業の強みを生かすプランを考えることができます。そのためには両社の弱みを知ることが大前提になりますから、質疑応答の時間に「御社の課題は何だと思いますか」と質問したり、各商品へ配分している予算の大きさを比較することで導き出してください。
説明会の活用方法をご覧になって「何もそこまでしなくても」と思われた方もいらっしゃるかと思います。私見で恐縮ですが優秀な人はごく一部の天才を除いてほとんど能力に差はありません。一歩先へ進むためには「誰よりも早く」行動すべきなのです。テスト勉強を1週間早く開始すれば対策が立てやすいように、入社前に入社後の業務を想定したマインドで説明会へ挑むことは決して損にはなりません。クリック合戦とも言われる果てしない確率で手に入れた説明会なのですから、参加のチャンスを存分に生かし、見ている世界を広げるきっかけになれば幸いです。
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まず、企業の説明会へ行く目的は何でしょうか。「入社したい企業の情報を手に入れるために決まってるじゃないか」もしそうとだけ思っているのだとすれば、あなたは説明会の時間を浪費している可能性があります。今回は企業説明会を就職活動に限定せず、人生のキャリアも含めて150%活用するために必要な3つのポイントをお伝えいたします。
1.業界のしくみを知る
説明会で得られるデータを利用すれば、業界全体に通じる情報を得ることができます。たとえば、説明会では必ず「業界でその企業がどの程度の規模、順位に当たるのか」を教えてくれます。すなわち、業界全体の経済規模を知る手掛かりになるのです。
例えばコンビニエンスストア業界1位のセブン-イレブンは、2位のローソンより1兆円多い売上規模であり、さらに1位〜5位の企業でおよそ7兆円といった寡占型市場構造であることが判ります。比較してドラッグストア業界では1位のマツモトキヨシでも3000億円の売上に留まり、2位以下も複数の企業が僅差で争っている状態です。
(参考図書↓)
以前、コンビニエンスストアで医薬品が販売可能になると話題になりましたが、それがドラッグストア業界にとってどのような影響を与えるでしょうか。トップ企業の売上高や市場構造を知るだけでも、ニュースへの感度が上がることがわかります。このように興味がない業界へもアンテナを伸ばして調査・分析しておくことにより、社会全体で「何がお金になっていて、何が斜陽なのか」というマクロなトレンドを知ることができます。
さらに、自分が志望する企業の取引先を知ることへも繋がります。例えばハーゲンダッツジャパンは、サントリーが株式の40%を保有しております。海外でアイスを店頭販売するスタイルだったのですが、日本進出時には小売店へ出荷できるカップアイスを中心に展開して売上を大幅に伸ばしました。日本企業が持つ伝統的な流通コネクションやアイディアを採用したからこそ、実現できたことです。
いずれも「お酒を売る会社へ行きたいからサントリーしか説明会は行かない」「外資食品メーカーしか興味がないから日系食品企業は見ない」という考えでは知ることができない情報です。企業提携やM&A、取引先を知ることで企業の全体像を知ることへ繋がります。「この社会はどういった産業で動いているのだろう」という全体観を得るため、自分が志望していない業界へも足を運ぶことに損はありません。
「でも、こんな情報わざわざ説明会へ行かなくてもネットや冊子で見られるじゃないか」と感じる方も多いかもしれません。しかしインターネット上の情報や資料では、取引先や関連会社が羅列してあるだけで「何がその会社にとって重要なのか」を知るのは難しいです。「◯◯は実はこんな分野も扱っています」と説明会でのプレゼンテーションで初めて、「目に入る」だけだった情報を「認識する」ことができるようになります。説明会の時間は限られていますから、企業は重要な情報を取捨選択して提供してくださっています。一言一句、関連取引先や事業モデルを聞き逃さないようにすることで、深い分析が可能になるはずです。もちろん疑問点があったら、遠慮なしに社員の方に聞いてみましょう。
2.将来の転職先を見る
JALの例は極端かもしれませんが、終身雇用制度が今後も継続できるかは大いに疑問です。これから新卒で入社した方々が1社目の企業で必ず定年まで過ごせるとは限りません。安定した企業を探すことも大切かもしれませんが、逆に「転職するとしたらどのような企業がいいか」を考えながら説明会へ行ってみてはいかがでしょうか。
中途採用は外資系ならばエグゼクティブサーチによるヘッドハンティング、日系ならば転職エージェントを経由した応募が一般的です。いずれにしても転職先企業が説明会を開いてくれるわけではありません(第2新卒へのセミナー開催例は多いです)。中途採用向けの説明会も徐々に増えてきてはいるものの、「人事部の方が来て直接会社の魅力を語ってくれる」のは新卒採用の特権と言えます。この機会に長期的なキャリアも考えて、10年後に働いたら面白そうな業界や職種を探してみるといいでしょう。
たとえばあなたが将来、教育産業で起業したいのであれば最初に入る会社は大手教育関連企業にフォーカスして、そういった企業の説明会に参加すると同時に、ベンチャー企業にも足を運んでみてください。そうすれば大手とベンチャー双方の強みと弱みを学べるだけでなく現存する市場をどのように捉えているか、プロから学ぶことができるからです。
就職先も決まる前から転職先を考えるだなんて無謀かもしれません。しかし、人材がどういった業界で流動しやすいかを知るだけでも志望業界からのステップアップを考えるときに役立ちます。どの企業へ移籍する人が多いかを知るには、転職エージェントの方をOB訪問するのが最も簡単です。「御社の顧客はどういった業界の方が多いのでしょうか」「キャリアアップに成功するのはどういった方でしょうか」と質問することで、志望する企業が転職市場で価値が高いかどのようなキャリアの選択肢があるかを知ることができます。
また、説明会には中途入社の社員がいることが往々にしてあります。そういった社員の方へは説明会の後に「個別で質問させていただきたいのですが」と話しかけて以前の業種を訊いてみると分かるはずです。説明会の時間に設けられている質疑応答の時間では質問しづらいパーソナルなことも、説明会直後になら捕まえて訊くことができます。最後の瞬間まで気を抜かずに、集中して挑みましょう。
3.競合企業の強みを研究する
エントリーする企業の中にも、「ここは本命」と思っている企業から「なんとなくエントリーしてみた」といったところまで様々な優先順位があるかと思います。志望企業研究の一環として、本命企業だけではなくと競合する企業への説明会にも参加しましょう。ライバル企業の強みを知ることで、本命の企業が現在抱える問題とその解決策を考えるヒントになります。
また、内定後も競合企業は必ず見て回ってください。入社後は競合企業と実際にシェアを巡って戦うことになるのですから、就職活動中に考えたことが役立つかもしれません。さらに本命企業の強みも再確認することができます。単に志望する企業の説明会で「弊社は◯◯分野に強く……」と説明されたからといって鵜呑みにするのではなく、実際に競合の説明会で比較することにより、「どのように強いのか」「なぜ強いのか」という一歩前へ進んだ企業研究をすることができます。
ここで重要なのは「競合企業」を従来の枠にはめて考えないことです。たとえば、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドにはどのような競合が考えられるでしょうか。富士急ハイランド、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどは当然ですが、それ以外にもあらゆるリゾート地や進学塾、カルチャースクール、家にあるコタツまでもが競合商品に該当します。なぜならば、これらは「本来ならディズニーランドに使うことのできる余剰時間・お金を別の用途に使わせる体験や商品」だからです。こういった幅広い視野で競合を捕えることは、入社後に自分が扱う商品を生かす方法を考える上でとても重要になります。内定を取ったら卒業までの猶予期間をフルに活用して、ライバル企業を研究しましょう。
では、説明会の情報からどのように競合企業の強みを分析すべきでしょうか。まずは自分の志望する本命企業の強み・弱みをリストアップしておきます。そして競合企業の強み・弱みも同様にリスト化します。もし同じ強みが2社にあるならば、片方が勝つためには「資金、人材、情報、スピード」のいずれかで勝る必要があり、厳しい競争が待っているかと思います。逆に相手の弱みと本命企業の強みが逆であれば、資金などを消耗することなく本命企業の強みを生かすプランを考えることができます。そのためには両社の弱みを知ることが大前提になりますから、質疑応答の時間に「御社の課題は何だと思いますか」と質問したり、各商品へ配分している予算の大きさを比較することで導き出してください。
おわりに
説明会の活用方法をご覧になって「何もそこまでしなくても」と思われた方もいらっしゃるかと思います。私見で恐縮ですが優秀な人はごく一部の天才を除いてほとんど能力に差はありません。一歩先へ進むためには「誰よりも早く」行動すべきなのです。テスト勉強を1週間早く開始すれば対策が立てやすいように、入社前に入社後の業務を想定したマインドで説明会へ挑むことは決して損にはなりません。クリック合戦とも言われる果てしない確率で手に入れた説明会なのですから、参加のチャンスを存分に生かし、見ている世界を広げるきっかけになれば幸いです。
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