映画『冷たい熱帯魚』黒沢あすかインタビュー
 『愛のむきだし』などで話題となった鬼才、園子温監督の最新作『冷たい熱帯魚』が1月29日に公開となる。実際に起きたいくつかの猟奇殺人をモチーフとしたこの物語は、誰しも触れずに生きていきたいと願う “死”や“暴力”が世界に蔓延していることをダークファンタジーの世界を形成して突きつけてくる。この問題作には、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかりの3人の女優が出演して、それぞれが強烈な個性を持った女性を演じている。今回、livedoorニュースでは、この3人をリレー形式でインタビューをして作品について語ってもらうことにした。まず第1回目は黒沢あすかに聞いてみた。

――今作での役柄について教えてください。

黒沢あすか(以下、黒沢):私の演じる愛子は、でんでんさんが演じる村田の年の離れた奥さんになります。二人は熱帯魚店を営んでおりまして、夫である村田は手広く熱帯魚販売をしていて、お金をよく右へ左へと動かしています。愛子も店番をしながら、夫をサポートして日々生活しているのですが、普段から一癖も二癖もあるこの村田がまた一つ行動し始める。そこで、またいつもの様に寄り添って共に“何か”を始める・・・そんな役柄です。

――出演までの経緯は?

黒沢:愛子役はオーディションがあり、私の他に数人の女優さんが参加されていました。私は、キャスティングプロデューサーである姫田さんが以前、私が出演した『サンクチュアリ』という映画を観られていて、その役柄から愛子のオーディションに参加してみてはいかがかとお声をかけていただきました。それで監督と対面できるようになったんです。

――今作はかなり過激な役回りですが、それでも出演したいと思ったのですか?

黒沢:はい!愛子の立場として台本を読ませていただいた時に、私が二十何年やってきた女優人生の集大成だっていう風に思えたのです。愛子が表現しなくちゃいけないシーンって、体も含めて強烈なシーンがあるけど、それよりも自分の歩いてきた女優人生がどんなものだったかを確かめたいという思いが強かったです。

――どの辺が一番、そう感じましたか?

黒沢:愛子はいくつもの顔を持っているんですよ。旦那さんに限らず、夫の顧問弁護士をしている男とも繋がりがある。もっと深く掘り下げれば、色んな所でちらほらと綻びが出てくるのかも知れない。でも、馬鹿な女ではないんですよね。そうかと言ってズルい女でもない。ちゃんと勝負をしているんですよね、夫と共に。真剣勝負というか(笑)。共に手を汚すし、痛い思いも色々するんです。それと男の世界、女の世界もしっかり見てきている。いくつもの顔を持っているから自分の人生を懸けられると思えたのですね。愛子に至るまでに、幾人もの監督さんと出会い、幾人もの女性を演じさせてもらってきたのですけど、その中にはかわいい女もあれば、ズルい女もあったし、いけ好かない女もあったし、様々な面を持った女を私は演じてきました。そして、それをこの愛子でぱらぱらと粉雪のように振り掛けて、“黒沢あすか”と言うこんな女優がいますっていう風にできたらいいなあとそういう思いがありました。