人にはさまざまなタイプがあります。「この方法で叱る」という決まったやり方があるわけではありません。多くのレパートリーを持つことで、いくつかの選択肢の中から状況に合った方法を探すことができるのです。

 しかし、実際に多くの方法をすぐに修得することは難しいものです。叱り方を多く身につけるにはどうすればよいのでしょうか。

「怒り」と「叱り」の違いが、「反応」と「対応」との違いだということは、前回お話したとおりですが、叱り方のレパートリーを増やすためには、その「対応」の選択肢をどれだけ多く持ち、相手の状況や性格などに合わせて戦略的に使い分けられるかということが重要です。



 また、戦略的に「叱り」をとらえることによって、相手を望ましい方向に変えるという、直接的な目標のほかにも、場合によっては、別の目標を達成することにつながる場合があります。叱ったことによって当面の問題行動が変わらなかったとしても、相手との信頼の絆が強くなれば、それでよしということもあります。

 あるいは、叱る相手との間で磐石な信頼関係ができている場合、その人を人前で叱ることによって、職場全体の雰囲気を引き締めるということもあります。そういうグループ・ダイナミズム(一対一の関係だけでなく、グループメンバー相互の力を引き出す方法)をふまえた叱りの効果もあるのです。

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