【読む新刊ラジオ】“天才は早熟”は間違い?

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 今回の紹介する『マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか?』(講談社/刊)は、マルコム・グラッドウェル傑作選の第三弾です。翻訳は経済評論家の勝間和代さんによるものです。
 第一弾「ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”」では、TVショッピングにヘアカラー広告、犬の調教といった、アイデアと先見性とで未来の世界を大きく変えた、小さな業界の天才たちの物語でした。

 第二弾「失敗の技術 人生が思惑通りにいかない理由」では、問題や課題を解決しようとしてもなかなかうまくいかないのは、問題解決のためのセオリーや前提が間違っているからではないだろうか? というところから始まっていくコラム集でした。

 そして今回の第三弾「採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか?」には、6つの作品が収録されています。
 その中の一つ「大器晩成 天才=早咲きの花か?」の章にこんなコラムが書かれています。

 世間一般の考えによると、「天才」は「早熟」であって、真に創造的なことを為すためには、みずみずしさやあふれ出るエネルギーが必要だと考えがち。例えば、オーソン・ウェルズが『市民ケーン』を監督・主演したのが25歳。ハーマン・メルヴィルが『白鯨』を完成させたのが32歳。モーツアルトがピアノ協奏曲第九番変ホ長調『ジュノーム』を書きあげたのが21歳。では、その真意のほどはいかに……。

 このようにシカゴ大学の経済学者、デイヴィッド・ギャレンソンが数年前に調べた“若さの神話の真偽”を取り上げて、具体的に説明しながら本文は進んでいきます。中でも天才と呼ばれていたパブロ・ピカソと、人生の後半に才能が開花したポール・セザンヌの話が面白いです。

 この2人の違いを比べながら、“大器晩成”になるための条件とは何かを探っていきます。


『ピカソは鮮烈な輝きを放った早熟の天才だ。本格的な画家としてのキャリアのはじまりを告げる『“招魂(しょうこん)・カサヘマスの埋葬”』は20歳のときに描かれ、時をおかずしてピカソは代表作を次々と完成させた。 “アヴィニョンの娘たち”は26歳のときの作品である。

ピカソは、私たちが考える天才のイメージにぴったり一致する。
だが、セザンヌは違う。

パリのオルセー美術館・・・・・・
セザンヌの作品の世界で最も優れたコレクションを誇る・・・・・
セザンヌルームに行って数々の傑作の脇にある小さな札を見れば、それらが人生の後半に描かれたものだとわかるだろう。

ギャレンソンは簡単な経済分析を行った。つまり、オークションでピカソとセザンヌの作品に支払われた金額を、ふたりがそれらを描いた年代によって一覧表にしたのだ。

ピカソの場合、二〇代半ばに描いた絵は平均して一点につき、六〇代に描いた絵の四倍の値がつけられていた。
セザンヌは反対だった。
六〇代半ばに描いた画は、若いころに描いた画の一五倍もの値がつけられていたのだ。みずみずしさやあふれ出るエネルギーは、セザンヌには意味がなかった』



 この他にも、成功しそうな人を確実に見つけ出すことはできるのだろうか?
 危険なプロファイリングにからくりがあったとすれば・・?
 “才能”を信じてしまっていいのだろか?
 就職面接で受かる人は何社でも受かる。落ちる人は・・・。この違いはどこからくるのだろうか?

 などといった身近で興味津々なコラムが紹介されています。
 【新刊ラジオ】ではこの本のダイジェスト番組を放送しています。(無料)
 ぜひ聞いてみてください。
(新刊JP編集部)


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