内閣府経済社会総合研究所が発表した「企業行動に関するアンケート調査報告書」によると、新商品・サービス開発を担う人材の確保や能力発揮について、多くの企業が課題と認識していることが分かった。

 新商品・サービスの開発に関する課題について聞いたところ(複数回答)、「市場ニーズの把握(65.3%)」が最も高くなっており、販売戦略と関連する需要者のニーズに合った商品の開発や改善が大きな課題となっている。

 次いで、製造業を中心に「研究開発・企画の人材確保(52.8%)」が、非製造業を中心に「良質の商品・サービスを提供する人材の確保(37.5%)」といった人材確保に関する項目が続き、以下、営業力の不足(34.7%)、現場での創意工夫による改善(29.3%)で、同研究所は「人材の能力発揮が欠かせない分野にも多くの企業が課題と認識している」と指摘する。

 これまでの人件費の削減や雇用・就業形態の柔軟化に関する評価(複数回答)では、コスト削減に貢献したという回答が圧倒的に多かった。(71.2%)。

 ポジティブな評価としては、部門間の業務量の偏り、景気変動に柔軟に対応できるようになった(27.7%)、適材適所やチームによる職務執行により付加価値が向上した(18.4%)が挙がった。

 一方、ネガティブな評価としては、技術やノウハウの蓄積・伝承が困難になった(22.3%)、モラール・モチベーションの低下が生じた(18.1%)となっている。

 今後3年間の人材育成の取り組みの方法(正社員)を聞いたところ、「業務改善能力向上のための社内教育を実施する(80.1%)」と最も多く、次いで「定常業務を確実に執行できるような社内教育を実施する(74.0%)」が続いており、外部の機能だけにゆだねるのではなく、自社で教育を行う企業が多数を占めている。

 社外の教育機能の活用については、自己啓発への支援(67.9%)、民間機関等を活用(47.4%)と続く一方、大学・各種学校等(16.2%)、公共機関(4.4%)を利用するとした企業は少ない。

 同調査は、2009年12月〜2010年2月に、東京・大阪・名古屋の各証券市場上場企業(2457社)を対象に実施し、1032社(製造業532社、非製造業500社)から回答を得た(回答率42.0%)。

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