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 7月も今日で最後、お盆休みを控えた“夏本番”の8月に増えてくるのが海外旅行だ。今年に入り原油価格が正常化、各旅行代理店も燃料サーチャージ代無しのプランを多く用意しており、今年は夏から9月の連休にかけて、多くの日本人が海外旅行に出かけることだろう。昭和55年には、年間3,909,333人だった海外渡航者も、平成19年には17,294,935人と約4倍、増加の一途をたどっている。異国の食文化や、歴史的建造物を巡る観光など、非日常な体験ができる海外旅行だが、その反面恐ろしい犯罪に巻き込まれる可能性があることを、忘れてはならない。

 8月22日に公開される映画「96時間」も、現実に起こっている許しがたい犯罪からアイデアを得た作品だ。「若い女性を誘拐する犯罪者が巣食う暗黒街では、連れ去られた女性はパリ郊外にある豪華な屋敷でオークションにかけられる」この事実をパリの警官から聞いたリュック・ベッソンは、製作を開始したのだという。

 では、実際に日本人が巻き込まれた誘拐事件はどのような物があったのだろうか。人質をとり、要求を達成しようという事件には様々な形態があるが、海外の日本人の安全対策上最も心配されるのは、組織的誘拐だ。外務省が発表している、「海外における主要な日本人誘拐」によると、1978年5月エル・サルパドルでの事件以降、大きく報じられたものだけでも26件の誘拐が発生。被害者38人の内4名が殺害されるという最悪の事態に陥ったケースもあり、政府は危機管理の重要性を説いている。しかもこれ以外の報じられていない事件、未遂に終わった物も含めるとその数はさらに増加するだろう。

 自分の身を自分で守る為に、具体的にどのようなことに気をつければいいのか。特に海外で安全に過ごす為には次の3原則が重要だ。

「目立たない」
「用心を怠らない」
「行動を予知されない」

 映画「96時間」ではこの3原則に留意していなかった為に、主人公の娘・キムは大変危険な目にあってしまう。もし自分が誘拐事件に遭遇してしまったら、「外務省は邦人保護の立場より人質の安全救出のため、最大限の努力を行う」とある。しかし、その直後には「法秩序維持のため日本政府に対する、不法な要求には“ノー・コンセッション・ポリシー”に従い対処することとしています」と明記してあるのだ。ノー・コンセッション・ポリシーつまり、“譲歩はしない”。どんなに日本政府の支援があろうとも、最終的に自分の身を守るのは自分しかいないのである。本作は、アクション・シーンや追走劇のストーリーとしても十分楽しめるエンタティメント作品であるが、海外旅行の危険、誘拐の恐怖など様々な状況を目の当たりにし、実感することができる。その点にも注目して欲しい。

映画「96時間」特集

外務省海外安全ホームページ - 出典