予告映像だけで「宮沢りえ」の熱演ぶりがひしひしと…咥えタバコで“夜の仕事”を演じた映画「しびれ」での圧倒的な存在感
一言のセリフに込めた思い
俳優の北村匠海(28)が主演を務め、宮沢りえ(53)と共演する映画「しびれ」(9月25日公開)で、宮沢が演じる主人公・大地(北村)の母・亜樹にフォーカスした特別予告編、場面写真が公開された。今作は、「佐々木、イン、マイマイン」(2020年)で高評価を得た内山拓也監督の最新作。内山監督自身の故郷でもある新潟を舞台に、居場所とアイデンティティを模索する少年の物語を自伝的作品として描く。
特別予告映像では、夜の仕事に向かう強気な表情、眉間に皺を寄せながら息子と相対する姿、窓外を眺める丸まった小さな背中。かつて息子に孤独を抱かせるような生活を送ってきた亜樹が、震える声で語りかける。

「母さんは、間違いしか選ばなかったね」
この一言に、母と子の20年間の慈愛と葛藤、後悔など複雑な感情が滲み出ている。あわせてひとりの女性の強さと脆さを体現、宮沢の俳優としての圧倒的な存在感が伝わってくるようだ。
コメントを寄せた内山監督は、亜樹のキャラを《たまたま運命の掛け違いの中で、なかなか順風満帆とはいかない中で、きっと環境が違えば、愉しく天真爛漫に生きていただろうなと想像させるチャーミングな人》と説明し、《僕には宮沢さんしか考えられませんでした》。
一方、宮沢は「佐々木、イン、マイマイン」が大好きな作品だったそうで、《私の中ではお会いする前から内山監督との信頼関係ができていたと思います。どんな役でも受けたいと思いましたし、この作品に絶対に携わりたいという気持ちでした》。まさに“相思相愛”だったようだ。
「『佐々木、イン、マイマイン』は、先日プロボクサーデビューした藤原季節さん(33)演じる主人公が俳優になるために上京し、うだつのあがらない日々を送っていた高校時代に、圧倒的な存在感だった同級生の佐々木を思い出すという作品です。佐々木自体の出番は多くなかったものの、演技派の細川岳さん(34)を起用し高評価を得ました。今作もその流れの作品で、亜樹役が物語の評価を大きく左右します。なので、公開されたビジュアルと予告編だけで話題を呼ぶ宮沢さんは、監督のコメント通り、《宮沢さんしか考えられませんでした》という存在だったはず」(映画業界関係者)
実力派俳優として
宮沢は11歳でモデルデビューしたが、その時点ですでに圧倒的な美貌が注目された。俳優デビューは、管理教育に抑圧された中学生が、学校教師や大人に「戦争」を挑むストーリーが話題になった「ぼくらの七日間戦争」(1988年)。学級委員役を演じた宮沢は、同作で「第12回日本アカデミー賞」の新人俳優賞を受賞し、一躍脚光を浴び、若くしてスターとなった。
デビュー当時は正統派美女路線を歩んでいたが、徐々に脱線。89年に発売したカレンダーでは大胆な“ふんどしルック”が話題となり、91年に発売したヘアヌード写真集『Santa Fe』(朝日出版社刊)が150万部以上のベストセラーに。この記録は、日本における芸能人写真集の売上部数として、その後も破られていない。
92年10月には、幕内力士(当時)として相撲ブームをけん引していた貴乃花光司氏(当時は貴花田、54)との婚約を発表。“世紀のビッグカップル”と呼ばれたが、わずか2カ月で破局。
「その後、映画『藏』(95年)の出演が決まっていたものの、クランクイン直前に突如降板する騒動を起こしたり、数々の男性たちと浮名を流したりなど“お騒がせ女優”と呼ばれた時期もあった。また、ステージママとして有名だった母・光子さん(14年に65歳で死去)との確執も報じられました」(ベテラン芸能記者)
ところが、こうした「波乱の人生経験」は、俳優として立派な糧となったようだ。フジテレビの人気ドラマシリーズ「北の国から」の好演で注目を浴び、山田洋次監督(95)作品「たそがれ清兵衛」(02年)で「第26回日本アカデミー賞」の最優秀主演女優賞など国内の主要映画賞を総なめにした。
「真田広之(65)さんが演じた主人公と恋仲となる相手役を演じました。宮沢さんはすでに20代後半に差しかかっていましたが、その演技は円熟味を帯びており、同年代の女優では飛び抜け過ぎていて、どの映画賞でも敵なしでした」(先の業界関係者)
09年にハワイ在住の日本人実業家と結婚し、同年に第1子を出産。しかし、12年に離婚協議中との報道が。16年にようやく離婚が成立したが、その間、俳優としては黄金期が到来する。
13年5月、天海祐希(59)が舞台「おのれナポレオン」の終演後、軽度の心筋梗塞と診断され入院。宮沢は、突然の代役要請だったものの快諾し、わずか2日間の稽古期間を置いたのち演じ切るという離れ業を成し遂げ、俳優としての存在感をアピールした。14年公開の7年ぶりの主演映画となった「紙の月」では2度目、16年公開の「湯を沸かすほどの熱い愛」では3度目となる「日本アカデミー賞」の最優秀主演女優賞を受賞。またもや国内の映画賞を総なめにしたのだ。
戴冠に期待
「『紙の月』では横領した金をせっせと年下の大学生に貢ぐ銀行員役。『湯を沸かすほどの熱い愛』では、夫が失踪し銭湯を営みながら娘を育てる中、末期がんと診断され残された時間で家庭を建て直す主人公を熱演し、多くの観客の涙を誘いました。主演作2作連続での映画賞総なめとなりました」(同前)
18年には共演経験のある元V6の森田剛(47)と再婚し、21年には森田とともに新事務所「MOSS」を設立。以後、映画を中心に、テレビドラマ、配信ドラマ、舞台など幅広く活動し、今回の「しびれ」の公開を迎えた。
「母親役ということに限れば、『しびれ』は『湯を沸かすほどの熱い愛』とは真逆の母親像ですが、それだけ演技の幅が広いことの証明。若い頃から主演が多かったので、映画賞は主演女優賞ばかりですが、今作は助演部門での獲得もありそうです。実現すれば、改めて名優ぶり、さらには女性俳優では希少な存在であることを世間に知らしめられそう。今作での戴冠に期待したいです」(映画担当記者)
デイリー新潮編集部
