「早食い」は“あの病気”の原因に?「血糖値スパイク」を防ぐ正しい食べ方【医師監修】

日常のなかに潜むNGな食べ方として、まず挙げられるのが「ながら食い」です。スマートフォンやテレビに意識が向くと、噛む回数が自然と減り、早食いにつながりやすくなります。
「まとめ食い」も注意が必要です。朝食や昼食を抜いて夕食に一度に食べると、空腹状態からの急激な吸収により血糖値スパイクが起きやすくなります。
また、ほとんど噛まずに飲み込む「丸飲み」や、噛んでいるようでも回数が極端に少ない「早噛み」は、消化器への負担が大きく、胃炎や腸内環境の乱れを招くリスクがあります。噛む行為は消化を助けるだけでなく、唾液の分泌を促してむし歯や歯周病の予防にも役立つと考えられています。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)

2014年岩手医科大学卒
2016年仙台市立病院循環器内科
2019年江戸川病院糖尿病・代謝・腎臓内科
2023年岩手県立中央病院糖尿病・内分泌内科 兼 救急診療科
2023年医療法人社団啓愛会理事
2026年孝仁病院美希病院
所属学会
日本医師会 産業医
日本循環器学会 循環器専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内科学会 総合内科専門医

早食い・噛まない--代表的なNGな食べ方とその問題点

このセクションでは、早食い・噛まないに関連する代表的なNGな食べ方を具体的に取り上げ、それぞれが身体にどのような問題をもたらすかを解説します。日常の食事の中に潜むリスクを把握することが、改善の第一歩です。

「ながら食い」と「まとめ食い」が引き起こす問題

現代生活の中でよく見られるNGな食べ方の一つが「ながら食い」です。スマートフォンを操作しながら、テレビを見ながら食事をする習慣は、食事への注意が分散されるため、噛む回数が自然と減り、早食いになりやすい傾向があります。また、食事に集中していない状態では、満腹感を感じる信号が脳に届きにくくなり、気づかないうちに食べ過ぎてしまうことがあります。

「まとめ食い」も問題のある食べ方の一つです。忙しくて朝食や昼食を抜いてしまい、夕食に一日分の食事をまとめて食べるようなパターンは、血糖値の急上昇を招きやすくなります。空腹の時間が長いと、食事を始めた際に消化・吸収のスピードが速まりやすく、血糖値スパイクが起きるリスクが高まります。さらに、夕食後すぐに就寝することが多い場合は、摂取したカロリーが消費されにくく、内臓脂肪の蓄積にもつながりやすくなります。

これらの食べ方は、個別に見れば「ちょっとした習慣」に過ぎないかもしれません。しかし、毎日繰り返されることで、身体への影響は確実に蓄積されていきます。日常の中に潜むNGな食べ方に気づき、少しずつ改善していくことが大切です。

「丸飲み」「早噛み」が消化器官に与える具体的な影響

噛まないに関連するNGな食べ方として特に問題視されるのが「丸飲み」です。食べ物をほとんど噛まずに飲み込む行為は、胃や腸に大きな負担をかけます。胃は食べ物を機械的に砕く働きをしていますが、大きな塊が大量に送られてくると、胃の筋肉(胃壁)が疲弊し、消化不良を起こしやすくなります。消化不良の状態では、栄養の吸収効率も下がるため、しっかり食べているつもりでも栄養が身体に届きにくくなることがあります。

「早噛み」は、表面上は噛んでいるように見えても、実際には噛む回数が極端に少なく、食べ物が十分に細かくなっていない状態で飲み込む食べ方です。このような場合も、消化への負担が大きく、前述のような胃炎や腸内環境の乱れを引き起こすリスクがあります。

噛む行為には、消化を助けるだけでなく、唾液の分泌を促し、口腔内の健康を守る役割もあります。よく噛むことで唾液が十分に分泌されると、口腔内の細菌の増殖が抑えられ、むし歯や歯周病の予防にもつながります。噛むという行為の重要性は、消化器の健康にとどまらず、口腔内の健康にまで広く及んでいるのです。

まとめ

早食い・噛まない習慣は、血糖値の急上昇や膵臓・肝臓・腸への負担を通じて、糖尿病リスクの上昇や内臓の機能低下につながる可能性があります。ながら食いや丸飲みといったNGな食べ方が積み重なることで、身体への影響は少しずつ蓄積されていきます。噛む回数を意識し、食事環境を整え、食事のリズムを規則正しく保つことが、これらのリスクを低減するための具体的な一歩です。すでに血糖値の異常や消化器の不調が気になる方は、糖尿病内科や消化器内科への受診・相談をお早めにご検討ください。

参考文献

厚生労働省「糖尿病対策」

厚生労働省「速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」

国立国際医療研究センター糖尿病情報センター「糖尿病予備群といわれたら」

厚生労働省「メタボリックシンドローム(メタボ)とは」e-ヘルスネット